行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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大阪せんべろ探検隊

梅田『たこ焼き シオヤ』(大阪)たこ焼きタイムスリップ。

酩酊していた。IMG_4592

「焼くのに10分くらいかかるで」
「飲んで待ってる」と、僕が云うと
 おばちゃんは、クルクルとたこ焼きを回し始めた。
 おばちゃんの手元をぼんやりと眺め、僕はビールを飲んでいた。

「ビールだけでもええか?」
 ジャージを着た中年のオジサンがふらりと来店した。裸足にサンダルだ。
 するとおばちゃんは、不機嫌そうにビールを注ぐとオジサンに手渡した。常連なのか、通りすがりかは分からない。おじさんは僕の隣で、美味しそうにビールをチビチビ飲んでいた。
 僕のたこ焼きが出来上がり、おばちゃんが僕に手渡してくれる。
 青のりのかかったソースたこ焼きだ。
 僕は、熱々のたこ焼きを爪楊枝で食べた。青のりとソースの香りがぷんとした。 そうだ、高校生の時、近所の神社で食べたたこ焼きだ。
 あの時と、同じ味だった。
IMG_4594
「今から、桜井さんの家に行かへんか」と、原田が云った。
 中間テストが終わった、高2の秋のことだ。
 原田は同じクラスで、帰宅方向が同じだった。テストも終わり、みんなほっとした顔でぞろぞろと下校している。僕と原田は、自転車に乗って校門から伸びる坂をゆっくりと下っていた。
 桜井さんは、クラスで一番可愛い女の子だった。
「行ってどうするねん」
「呼び出して話しするやろ。オマエが」
「なんで俺やねん。原田が好きやって云ってる娘やろ」
「テスト終わって、気がするんでる今がチャンスや」
「なんのチャンスだ。ひとりで行ってこいよ」
「オマエ、そんなこと云うてると友だちなくすで。頼むから、な、な」
 ひとりでは、会いに行けないと、不機嫌になってくる始末だ。
 押しの強い原田に負けて、結局、僕はついて行くことになった。
「桜井の家なんて、知らんで」と僕が云うと、
「調べてあるんねん、ついて来い」と、原田が元気よく云った。
 ならひとりで行けよ。と思う。

 桜井さんの家は、旧街道にある古い家だった。僕が近くの神社に、彼女を呼び出すことになった。もう、ここまで来ればなんでもするよ。
 チャイムを鳴らす。いなければいいのにと思いながらだ。
「どうしたの?」
 いた。制服のスカートにブルーのセーターを着ていた。
「原田と遊びに来たんだ。神社で原田が待ってるから来てくれよ」
 間抜けだなぁ、と思いながらそう云うと「待ってて」と、彼女は云った。
 僕は神社に戻った。
「どうやった? おった?」
「来るって」
 原田は急にそわそわしだし、神社にあった錆びだらけの滑り台に上って、ずるずると降りた。僕は、ブランコに座る。なんで僕がいるんだ。とか、思いながら。
 着替えてきたらしい。
 桜井さんは、白いシャツとミニスカートをはいていた。
「こいつ、桜井のことが好きやねんで」と、突然、原田が滑り台の上から叫んだ。
 ヒューヒューと云いながらだ。原田の顔が赤くなっていた。人前であがると原田は顔が赤くなるのだ。
 馬鹿なのか? と、思ったけど「いや、原田が」とか、僕はもごもごと桜井さんに云っていた。どうすりゃいいんだ。こう云うお馬鹿は。ドン! と云いたい。

 何を話していいのか分からなかった。
 僕が黙っていると、
「たこ焼きを食べよう」と原田が云った。
 神社の境内に小さなたこ焼き屋があった。そこで食べようと云うのだ。
「ここ旨いねん」
「なんで、美味しいって知ってるの?」と、桜井さんが原田に訊いた。
「何度か食べたことあるから」
 何度も来てるんだ・・・。
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「たこ焼きセットください」
 若いカップルの男の子が注文した。お揃いのキャリーバッグを持っている。おそらく旅行者だろう。
「今から焼くから15分くらいかかるで」と、シオヤのおばちゃんが云った。
「ビールもういっぱい」と、サンダルのオジサンがお代わりをした。
 僕は、たこ焼きをひとつ、食べた。やはりあの時と同じ味だった。
 あの後、僕たちはどうしたんだろう。神社にあった狛犬を照らす夕日をなぜかよく覚えていた。
 ずいぶん後になって、あの時の神社に行ったことがあった。たこ焼きを食べようと思ったが、もう、店はなくなっていた。
 僕は、ずいぶん変わったのかもしれない。残りのビールを飲み干し、僕はカウンターを離れた。原田と桜井も、変わっているんだろう。なぜか、同じ味のたこ焼きが梅田にあるのが、不思議に思うよ。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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たこ焼き シオヤ
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食堂街1F
電話 06ー6313ー2714
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 15時から23時
定休日 日曜日
500円くらい。せんべろです。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG もーちゃん@トラベラー
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方『四万十 寺田屋』(大阪)龍馬の鯖寿司を食べる。

しばてん踊りの夜。IMG_4621

 川漁師のえっちゃんが大阪に遊びに来た。
 というより、飲みに来た。飲んだのは『寺田屋』である。
 何年か前、僕が四万十に取材に行ったとき、
「大阪に店を出すんよ」と、えっちゃんが云った店である。
 どの辺りに出すんだろう? と、思っていたら枚方である。僕の家から10分くらいの場所で、驚きだった。四万十までクルマで7時間くらいかかるのに・・・。

 淀川の宿場街で『寺田屋』と云えば、京都伏見にある龍馬の船宿である。お登世さんがやってた宿で、寺田屋事件とか幕末の歴史にしばしば登場する。
 えっちゃんの寺田屋って龍馬に関係あるの? と訊いたら、
「うちの苗字は、寺田やけん」と、えっちゃんが云った。
 なるほどね。ややこしや。
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「献杯」と、えっちゃんが云った。
 土佐流に、彼女がお銚子を斜めに注いでくれる。お銚子は、お酒が注ぎやすいように尖った口があるが、そこからは注がない。縁が切れないように、切れの悪い場所から注ぐ。
 献杯、返杯が始まると大変である。
「酒は、倒れるまで飲むもんやけん」は、えっちゃんの口癖である。
 返杯!! と、彼女がお猪口を差し出した。
 真似してお銚子を斜めにして注ぐ。
 じゃぁ、献杯。と、続く。果てしない。
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「ここの鯖寿司って、土佐の清水鯖?」
「そうやけど」
「酢は、橙酢かな」
「柑橘系の酢を使うちょるよ」
 坂本龍馬の好物の記録が残っている。
 龍馬が、友人の家に遊びに行ったときのことだ。
『坂本が好きであるから、鯖の刺身へ橙の酢をかけたものを出した』とある。
 えっちゃんの店では、その龍馬が食べた鯖寿司を食べることができるらしい。寺田屋では、特に何も云ってないけどね。
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 僕は、龍馬の鯖寿司と、カツオの藁焼きを頼んだ。カツオは、塩とニンニクで食べる。
 龍馬の鯖寿司食べてみたいしね。
「藁焼きやったら煙たくなるって、えっちゃんが嫌がるんや」と、厨房でカツオを藁でいぶしながら板長が云った。板長の手元から、炎が上がっている。
 厨房から藁が焼ける匂いが漂ってきた。田舎の民家で、囲炉裏を囲んでいるような気分だ。
「うち、そんなこと云うちょらんで」
 そうかな。云いそうである。
 僕は、日本酒が並んでいる瓶の中から、岡田以蔵を選んで頼んだ。龍馬の鯖寿司と、酒は人斬り以蔵だ。一口飲むと、旨い。
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 今日は、ええもん持っちょるんよ。と、えっちゃんが鞄から風呂敷のようなものを出した。
 何かの顔が描いてある手ぬぐいだった。ハサミを出して、目の部分を開ける。
「負けた方が、踊るんよ」と、えっちゃんは頭に被って云った。
 しばてん踊りだと云う。えっちゃんが手をヒラヒラさせて、ユーモラスに踊って見せた。
「何に負けたら?」
 なんでも、ええで。
「これを被ると、誰でも踊りたくなる魔法の手ぬぐいや」
 ことによると、龍馬も踊ったのかもしれない。ふと、そんな風に思った。
 献杯!!
 えっちゃんが踊っていた。飲みたいだけじゃないのか。ひらひらひらひら。
 返杯!!
 僕も被ってみる。すると、なんだか踊りたくなる。
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「ええやろう。土佐に来たら、いっぱい踊らせてあげるけん」
 何杯飲んだのか、分からない。
 献杯と返杯が続く。
 しばてんがひらひらと踊っている。えっちゃんの笑い声が聞こえていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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寺田屋
住所 大阪府枚方市岡東町11ー14 菊本ビル1F
電話 072ー845ー2001
交通 枚方市駅から徒歩2分
営業 17時から24時
定休日 月曜日
5千円くらいでした。飲み過ぎです。
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年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
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撮影 田原慎一

梅田『たこ梅』(大阪)日本一古い関東煮屋。

ガード下にある老舗?IMG_4554

 新梅田食道街に『たこ梅』はある。
 1844(弘化元)年創業だから、こいつは古い。もちろん、江戸時代に電車は走ってないから、大阪日本橋は道頓堀に本店があるけどね。
「かんとうだっきゃ、やで、かんとうにとちゃうねん」と、酒飲みのチエが云った。

 白い手編みのセーターを着て、ジーンズに赤いリーボックだ。今日は、飲む気まんまんで来てるようだった。
 そう、子どもの頃、確かに「かんとうだっきゃ」と、発音していたと思う。
「おでんって、いつごろからやろう?」
「コンビニで売り出してからちゃうか?」と、チエが云った。
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 『たこ梅』に入ると、中は客でいっぱいだった。
 これは待たないといけないな、と思っていると、丁度、若いカップルがふたり席を立ち、僕たちはそこに座ることができた。見回すとほどよく酔ったひとたちの顔がずらりと並んでいる。いい感じである。
 何にしようか? と、メニューを見てみる。
 まずは、名物の上燗酒だ。チロリから錫のコップに燗酒を注いで飲むのが旨い。それから、やはり名物のたこ甘露煮も。
「晩秋やから、土瓶蒸しも頼んでや」と、チエが云った。
「タコの甘露煮が名物やから、たこ梅なのかな」と、僕は呟いた。
「素人さんやな、ちゃうちゃう、カウンターがコの字になってるやろ、お客さんにたこ足配線のようにサービスができるから、江戸時代からタコって呼ばれてる形式なんや」
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 エマが、なんか物知り佐々木みたいである。
「お店の人なの?」
「へへ、ネットで調べてきてん」と、チエが舌を出して白状した。
 なるほど。そうだろう。チエは、ただの酒飲なんだ。
「じゃぁ、なんで『梅』なん?」
「初代が、梅さんやったからやな」
 う、詳しい。
「ど根性ガエルかよ」
「あれは、お江戸の下町や。こっちは道頓堀の梅次郎さんや。いま、五代目らしいで」
 燗酒で満たされたチロリが来た。
 僕は、もの欲しそうな顔をしたエマのコップに注いであげる。
「ええ、香りやなぁ」とチエは云うと、ひょいとひとくち飲んだ。
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「うちが子どもの頃、家の近くのお風呂屋さんにおとんと行っててん。帰りによく関東煮を買って食べたわ。真っ黒になったチクワとか、すじ肉、美味しかったなぁ」
「昔、住んでたとこ?」
「だんじりのある和泉市や。関東煮は、駄菓子屋の店先で食べたで」
「だんじり文化圏にいたんだ」
「太鼓の音に、今でも胸が躍るねん。隣町のだんじりが来たら、ぶっつけてた時代や。喧嘩だんじりは、今、あかんやろ」
「危ねぇなぁ。けが人とかでそうや」
「いや、それが意外と大丈夫なんや。ぶつかるの分かってるから、屋根の上で赤い団扇を持って踊ってる若衆がヒラリと降りてくるねん。それがかっこええねん。芸術的やったなぁ。ぶつけてだんじりの屋根がふっ飛ぶねんで」
「それを子どもも引いた?」
「危なくない先頭で引かせてもらえるんや。そうそう、男の子たちが下品な歌を意味も分からずうたいながら・・・。子どもだんじりじゃなくて、本物のやった」
 いい時代だったのだなぁ、と思う。
 チエがさえずりを注文した。名物らしい。
「鯨で、関東煮の味を出してるねん」
「なんの味かな、と思ってたんだ。鯨かぁ」
 日本の伝統、江戸の味なんだなぁ、とおでんを食べながら思った。おっと、関東煮である。
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 チエが酒のお代わりをした。
「梅さんの関東煮は、どんなんやったんかなぁ」
 チエはさえずりを食べながら云った。
「だんじりが喧嘩しなくなったように、関東煮も美味しく上品にアレンジされてるハズや(証明は難しいけどね)。初代梅さんの頃は、もっと、豪快な『かんとうたっきゃ』だったと思う」
「昔のだんじりおもろかったわ」
 チエはちろりから自分で酒を注いで、ぐいっと飲んだ。子どもの頃の、だんじりと思い出しているのかもしれない。ああ、昭和も遠くなってきたなぁ。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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たこ梅
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食堂街1F
電話 06ー6311ー3309
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 16時から22時50分(平日) 15時から22時50分(日・祝)
定休日 無休
ひとり三千円くらいでした。
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掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
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撮影 田原慎一

梅田『奴』(大阪)せんべろ巡礼。

「ひとり?」IMG_4528

 立ち飲み屋のカウンターで瓶ビールを飲んでる男に、声をかけられた。どこか馴れ馴れしい男だった。
 そうです。と、僕が答えた。
 男はデザインが昭和な白シャツと、グレーのズボンに茶色いサンダルをはいており、年齢は僕と同じくらいだ。
「どこかでお会いしましたか?」と訊くと、
「そうか」と、男は云った。

 そうか、は答えになっていなかったけど、男が残念そうな顔をしたので、たぶん、顔見知りなのだろう。ことによると名刺交換くらいしているかもしれない。僕は、顔と名前を覚えるのが苦手で、失礼することが多い。
 なので僕は、男に会釈をした。男は、ビールの入ったコップをかざし、乾杯とばかりに会釈を返した。思い出せない。というか、覚えがなかった。
 立ち飲み屋でよくいる酔っ払いだろう。

 僕は気にせず樽酒を注文した。さえずりと、カニ酢も。
 さえずりは亡くなった父の好物で、あるとなんとなく頼んでいる。独特の食感がいい。
「さえずりは、私も好物です」と、男が云った。
 男もさえずりをツマミにビールを飲んでいた。
 店主が樽酒を受け皿の枡に溢れんばかりに、というか溢れさせて注ぎ僕の前に置いた。
 僕が、溢れている酒の写真を撮ると、
「写真は手元にあるものだけにしてください」と、店主が云った。
 はぁ、と僕が生返事をする。
 樽酒を飲むと、檜の香りが口に広がった。旨い。
「私も樽酒をもらおうかな」と、男が云った。
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「子どもと映画を見に行ったんですよ」と、男が云った。
「何の映画です?」
「まだ、小学校に上がったばかりの男の子とふたりでね、ウルトラマンの五本立てですよ。大変でした」
 どこかで昭和の懐かしい映画特集でもやっているのだろうか。でも五本立てはきついな。と、僕も思う。
「全部見たんですか?」
「いや、3本くらいは見たんですが、もう眠たくてね。子どもも飽きたようなのでレストランで一緒に飯を食べて家に帰しました。で、私はここで飲み直してるところですよ」
 いささか疲れました。と男は云うと、ポケットからハイライトを出し火をつけ、ふぅっと旨そうに吸った。
「奥さんに吸うの止められててね。こうやって、こっそり吸ってるんです」
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 僕も子どもの頃、父とウルトラマンの映画を見に行ったことがある。やはり、五本立てだった。その時、最後まで見たかどうかは覚えていないけど、暗い映画館で父がスクリーンを凝視しているのを不思議に思っていたのを覚えている。大人がウルトラマン見て、面白いのだろうかと。
 で、その後、父と食事をして帰ったと思う。
「僕も男の子がひとりいます。幼稚園の頃は、ポケモンとかよく映画館で見てました。最近だと、宮崎駿の『風立ちぬ』とか。もう、大きいですから」
「昔は、子ども向けの映画がなかったねぇ」
 男は、受け皿の枡に溜まった酒を美味しそうに飲んだ。コップをひとつ、と店員に云い、まぁ、いっぱい。と、僕に注いでくれた。
「いま、子どもはいくつ?」と、男が訊いた。
「中学3年です。この間、幼稚園だったのに、驚いてます」
「なら受験だ。大変だ。私のところは、男の子と下に女の子だね。年子だ。でも、まだ小学生だよ」
 そう云うと、男はさえずりをひとくち食べて、酒を飲んだ。
「子どもはいつの間にか大きくなるからねぇ」と、男は呟くように云った。
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「相撲は好きかい?」と、男が訊いた。
 僕がどちらでもない。と、答えると、男は残念そうな顔をした。
「そうか。じゃぁ、野球か?」
「それも、あまり」
「なんだ、つまらないヤツだな。相撲は面白いよ。麒麟児とか好きだね」
「父が昔よく見ていました。僕は、裏番組のアニメが見たかったんですが」
 升酒をお代わりをした。店主が、また、溢れるように酒を注ぐ。
 少し酔ったらしい。
 店内は、いつの間にか、サラリーマンでいっぱいになっていた。
「すみません」と、若いカップルが僕の隣に入ってきた。
 どうも、と僕が体を斜めにして間を開ける。
 後から入って来た女の子が、すみませんと微笑んで頭を下げた。

 隣で飲んでいた男が、いなくなっていた。
 くしゃっと丸められた、空のハイライトがひとつ置いてある。
 父が、よくこうやってハイライトを丸めていたなぁ。男は、どこか亡くなった父に似ているような気がする。服装も髪型も、そういえば男の額にあった傷も、父そっくりだ。
 僕は慌てて店を出、男を捜した。迷路のような食堂街に、男の姿は見当たらなかった。もう、子どもが待っているあの頃の家に、帰ったのかもしれない。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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住所 大阪府大阪市北区角田町9−26 新梅田食堂街1F
電話 06ー6312ー6703
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 11時から23時
定休日 日曜日

せんべろ屋です。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
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      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
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東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
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梅田『みうら屋』(大阪)空心菜とシンハービール。

「初めてのビール、覚えてる?」IMG_4500

 シンハービールを僕のコップに注ぎながら、佐々木が云った。
 晩秋の夕暮れ、僕たちはタイ料理屋にいた。佐々木は、北海道大学からの帰りで「大阪は、街中に暖房を入れてるんか?」と、ここに来るまで繰り返していた。
 むわっと大気が湯気っぽく、暑いらしい。体が、寒さに慣れてしまったのだろう。
 僕には、震えるほどじゃないけど十分寒いのだけど。
「初めて飲んだビールはひどい味だった」と、僕が答えた。

「だろう。最初は、ビールの飲み方が分からへんねん」
 佐々木はビールをひとくち飲んで云った。
「特に、子どもにはね」とも。
 僕もシンハービールを飲む。ほどよく苦い濃厚なビールだ。
 タイ料理には、タイのお酒がいい。
「甘い味は、舌先で感じる。苦味は、舌の奥や。僕たち大人は、食べ物を上手に舌先でコントロールをして食べてるんや。舌で転がすって云うやろ」
「そんな風に思って食べてないけど」
 そうかも知れないと思っていた。
 空心菜の炒め物が来た。僕も佐々木も食べるのが初めてだ。もうひとつ頼んだのは、バナナ・ピーナツクリームで食べるポークステーキだ。バナナピーナツクリームも初めてだった。
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「子どもは美味しく感じる舌の場所に、ビールを運んで飲むことができへん。自転車に乗れないようにや」
 空心菜を食べてみた。塩加減も丁度良く、食欲をそそる味だった。ビールにも合う。
「子どもや外国人が、ワサビが苦手なのも同じ理屈や」と、佐々木が続けた。
「パクチーはどう?」と、僕が訊いた。
 独特の香りと味がする野菜。苦手な人と、なんでもパクチーを入れたがる人がいるように思う。僕のまわりだけかも知れないけど。
 そう云えば浦和のかおりんは、いつもてんこ盛りにして食べる。
 佐々木は、そのどちらでもないと答えた。ただ、ちょっと苦手かもとも。
「パクチーは、僕の舌がまだ対応できてへん」と、佐々木が云った。
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 ポークステーキが運ばれてきた。バナナ・ピーナツクリームがどっさり添えてある。
 箸でクリームをひとくち食べてみると(甘いから舌先で味わってみた)、ココナッツミルクの味がほんのりとして、旨い。肉につけて食べるのは、意表をついているけどね。
「甘さは、俺たちのエネルギーや。子どもの頃からみんな好きな味やろう。苦味とか、酸味は、学習しないと食べられない。酸味なんて、腐っていると脳は判断するし、苦味は毒と判断する」
「パクチーも、僕には複雑だ」
「肉と、甘いソースは誰でも旨い。でも、大人になると、こればっかり出てこられるとうんざりするで」
「北大には何をしに行ったんだ?」
「あそこの学食は旨いからね」
 佐々木は、チャーンビールを注文した。飲んでみると、シンハーより薄く感じた。僕たちは、シンハーが旨いに2票だ。

 余談だけど、子どもの頃、祖母の家に遊びに行ったとき、喉が渇いて冷蔵庫にある水を飲んだことがある。コップに冷えた水がいっぱいあったからだ(いかにも飲んでくれってばかりに)。あー水だ。と、僕が飲んだら、日本酒だった。すぐさま僕ははき出した。
 腐った水だと感じたからだ。
 子どもには、酒は毒だったり、腐った水だったりするのだと、今でも思っている。それきり、確かめずに、何かを飲むことはしなくなった。
 僕は、学習したのである。
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「オヤジになっても、初めて食べるものは多い。とはいえ、俺たちは経験で乗り越えられる」
 佐々木は、ポークステーキにバナナ・ピーナツクリームをたっぷり乗せて食べ、チャーンビールを飲んだ。
「チャーンビールはいまひとるかな」
「高校の時、ラジオのクイズで当たった高級中華覚えているか?」と、僕が云った。
 ホテルの中華料理10人前が当たったのだ。ひとり2万円のコースだったと思う。腹を減らせた17才の男子高校生が10人、ジュースを飲みながら食べたのである。
「最初の前菜で、俺たちは腹一杯になって食えなくなった」と、佐々木が遠い目をして云った。
「そうそう、檜垣くんが、dの料理もラーメンの十倍美味しいって、美人の店員に云ってなんだか恥ずかしかったことも」
 僕たちは食べきれなかった料理を持ち帰るという知恵も無かった、だから必死に食べた。もうダメだ死ぬ。と思ったら、最後にデザートで大学芋が出たんだ。
「あれは、きつかったな」と、佐々木が云った。
「でも、旨かった」
 なんて店だったのか。後で聞いても誰も覚えていなかった。
「あの時は、初めて食べる料理ばかりだったけど、どれも素敵に旨かったな」と、佐々木が云った。
 僕たちの記憶の中にしか残っていない料理をいつか探し出したいと、いまもで思っている。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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タイ食堂 みうら屋
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食道街1F
電話 06ー6361ー0081
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 11時30分から23時30分
定休日 無休
ひとり2千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方市『パン・デ・トール』飲み放題なの? ランチなの?

ランチせんべろ。IMG_4346

 居候のススムを連れてランチに行くことになった。
 たまには、昼飯じゃなくて、小洒落た店でランチに行きたかったからだ。
「さなちゃん、ここがいいよ」と、助手席のススムが云った。
 つぶれそうな小汚いラーメン屋だった。傾斜のついた狭い駐車場がひとつ。クルマの運転が苦手なので気が進まなかった。
「もっと、小ぎれいな店を見つけろよ」
「そーかなぁ、ラーメンにチャーハンにビールって魅力的だよ」
 母親と喧嘩して一文無しで家出をしてきたヤツが何を云ってるんだ。と思った。 服もいま着てるジャージだけ。帰りにユニクロにでも寄らないと、不潔で部屋に置いておくわけにはいかない。
「バイトくらいしろ」
「あ、ここは?」
 スルーかよ。
 パン・デ・トールというレストランだった。サナエが想像した素敵さに、いまひとつだけど、まぁ、いいか安そうだし、と駐車場にハンドルを切ることにした。
IMG_4332
「隣がパン屋さんだ。この洋食屋は、きっと旨いよ」と、ススムが適当なことを云う。確かに隣はパン屋さんだ。『ぱんの蔵』という看板が出ている。
 ファミレス風のパン・デ・トールに入ると、若い女性店員が案内をしてくれ、四人がけのテーブルに座った。広いテーブルが嬉しい。
「飲み放題があるよ」
「あるね」
「僕はそれ」
「ランチに来て、なんで飲み放題なんだよ」
「ランチも頼むよ。当たり前だろ。僕は、オムライスだ。さなちゃんは?」
 カツカレーにした。自分だけかよと思ったが、飲み放題の値段が1200円で安い。夜、飲まれるよりいいか、とススムの分だけ頼んだ。
 赤ワインから。面倒だからどんどん飲んでくれ! と、思う。
「俺、日本で五本の指に入るくらい不味いカツカレーを食べたことあるんだ」
 東京の渋谷のガード下にある食堂らしい。ああ、あの暗い通りか、と昔の記憶を辿っていた。
「カツカレーってさ、揚げたカツにカレーかけるだけじゃん。どうやったら、不味いカツカレーができるのか不思議なんだ。で、次云ったとき、カツ丼を頼んだんだよ」
IMG_4338
「なんで、不味い店に通うんだよ」
「なんとなく、入っちゃったんだよ。研究ってやつかな。そしたら、これが日本で三本の指に入るくらい不味い」
「なんで、三本なの?」
「だって、残したんだよ。この俺がさ。ハラ減ってるのにカツ丼残したのは生まれて初めてだよ。どうしたら、あんなに不味いカツカレーとかカツ丼とか作れるんだろう? カツとタマゴで不味いものなんて作れないよ」
 ススムは腕組みをして黙ってしまった。何を考えてるのかは不明だ。
 店員がカツカレーを運んできた。話しを聞かれたようで、怪訝な顔をしている。
 この店のカツカレーじゃないです。と、云いかけたけどやめとく。
 説明がややこしいし。
IMG_4340
「カツカレーちょっとくれよ」と、ススムがスプーンですくって食べた。
 旨い。旨い。と、笑ってる。40過ぎのおっさんがやることじゃない。
 オムライスも来た。ホワイトクリームのかかったオムライスだ。ずいぶん大きい。カツカレーもだけど、ここは全体的に大盛りなのかもしれない。
「さなちゃん、俺ができそうなバイトない? 楽でさ」
「ねーよ。あんたの母さんが迷惑かけるに決まってっから、さっさと長崎に追い返してくれって、手紙が来たよ」
「心配性なんだよ」
 ススムは、旨そうにオムライスを食べてワインをお代わりした。
 こいつ、馬鹿なの? 死ぬの?
「居候がいたら、彼氏ができないんだよ」
 従兄弟のススムは『居候』と呼んでいた。
「バンドのオーディション頑張るからさ。年内にバイトも探すよ」
 こいつ、来年までいる気かよ。

 友だちの広告屋からメールが来た。なんだろう。と、読むと、急ぎで選挙ポスターを貼るバイトを探しているという。
「誰かいない?」 
 目の前にいる。と、返事をした。

「何杯目?」
「わかんない。美味しいよワイン」
「叔母さん家で、何してたの?」
「引きこもりってやつだよ」
「引きこもってないじゃん。あたしの家に来てるし」
「じゃ、ニート」
「どうすんだよ。これから」
「自立しないとダメだね。だから家出なんだ」
 ススムは、自慢げに云うと、ワインのお代わりをした。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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パン・デ・トール
住所 大阪府枚方市田口山2ー31ー1
電話 072ー836ー5522
交通 JR東西線長尾駅から京阪バス『春日山』から徒歩3分
営業 9時から22時 9時から11時30分(モーニング)
   11時から15時(ランチ)
定休日 不定休
ひとり千円くらい。飲み放題は1200円でした。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
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東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
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会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
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撮影 田原慎一

牧野『丸天房』(枚方)酒屋に寄り添う立ち飲み屋。

気になる立ち飲み屋。IMG_4437

 看板もない。店名も分からない。
 日が暮れると提灯に灯りがともり、ビニールで囲われた中から、ぼんやりと人影が見える。たぶん、せんべろ屋だ。とは、思っていたけど、行きそびれていた。
 よし、と思い中に入る。
 女性の店主がサーバーから生ビールを注ぎ、帽子を被ったお爺さんがひとり黙って飲んでいた。グレーの作業着を着たおじいさんだ。大工さんか、何かの職人なのだろうか。

 僕は、壁に貼ってあるメニューから樽酒を選んだ。
 女店主がコップに浪波と注ぎ、溢れた酒が受け皿の枡に零れる。酒飲みは、この零れた酒が嬉しい。
 おじいさんが、焼き鳥を注文する。すると女主人が店を出て行った。
 隣の酒屋で調理しているのかもしれない。丸天酒店に寄り添うような立ち飲み屋だからだ。酒屋の隅で飲む角打ちとも、ちょっと違うように思う。
IMG_4445
 僕は樽酒をひとくち飲んだ。檜の香りが口に広がる。
 なかなか旨い。黙って、飲んでいると、
「どうしたんですか?」と、聞き覚えのある声がした。
 みーやんだった。カーキ色のジャンバーに、鞄をたすき掛けにしている。僕の隣にスッと入ってきた。
「そっちが、どうしたんです」と、僕が訊いた。
「僕の家は、この辺なんです」
 みーやんも行きそびれていた店だと云う。
 みーやんは、ビールとおでんを注文した。女主人が、また、店を出て行く。何か頼むと、主人がいなくなる。なんか可笑しい。
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 みーやんの携帯が鳴った。
 仕事の電話のようだった。鞄から地図を出し境界がどうのなど話している。そう云えば、みーやんは測量士の資格を持っていたなと、僕は思い出していた。
 長い電話が終わると、みーやんはビールを飲んでほっとしたような顔になった。
「ここって何という店なの?」と、僕が訊くと
「分からへんのです」と、みーやんが云った。
「せんべろ屋だよね。ここ」
「僕もそー思います」
 そう云うと、みーやんはビールを飲み干した。
「この後、ギター教室の先生をやるんです」と、みーやんが云った。
「誰が来るの?」
「よく分からへんねんけど、5人くらいかな」
 みーやんはビールのお代わりをした。
「樽酒旨いよ」
「酒の匂いをさせて先生はできへんからビールです」
 ビールだって酒だろう。でも、みーやん的には水らしい。
「フランス人は、水の代わりにワインを飲むじゃないですか。俺は、水の代わりにビールなんですわ」
 なんだか分かったような、分からないような、ことを云った。
 ビールは、ビール。ウィーンは、いつもウィーン。水は、水だと思う。
IMG_4447
 女主人が、また、店を出て行った。おじいさんが何か注文したらしい。
「なんで、店の中で作らへんのかな」と、みーやんが云った。
「このユルイ感じが、好きだな」
 僕は、この店が気に入っているのに気づいた。
 女主人が、お皿を持って戻ってきた。
 僕が、樽酒をお代わりをする。みーやんが焼き鳥を頼む。またまた、女主人が店を出て行く。なんか妙な具合だった。落ち着いて居心地がいいのに、忙しない。
 しばらくすると
「ギターの先生やってきます」と、みーやんが店を出て行った。
 お爺さんもいつの間にやら、居なくなっていた。
 僕もそろそろ、と思い樽酒の残りを飲む。雀が電線に集まったり、飛んでいったり、また帰って来たり。そんな風景が思い浮かんだ。
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 お勘定を払い、僕も店を後にした。
 振り向くと、ビニールにうっすらと店主の影が映っていた。
 幻のようなせんべろ屋である。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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丸天房
住所 大阪府枚方市牧野坂2ー5ー23
交通 牧野駅から徒歩2分くらい
せんべろ屋です。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
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撮影 田原慎一

北新地『金明飯店』(大阪)紹興酒でお疲れせんべろ。

選挙で一儲け?FullSizeRender

 タクマから呼び出されて、サナエは新地にやってきた。
 また、キャバクラかな。と、思って来たらごく普通の中華料理屋である。店はわりと空いていて、タクマはひとり飲んで待っていた。

「さなやん、悪いな」
 パンチパーマ、ロレックス、指輪が3つギラギラと光っている。昭和のヤクザにしか見えない。タクマと同じ席に座るのが恥ずかしかった。
「お疲れさまセットふたつ。それと、紹興酒や」と、タクマは店員に叫んだ。
 目立たないようにしろよ。あたしたちの席だけ浮いてる。と、サナエは思った。
「先輩のキャバクラに呼び出されるんかと思ってました」
 タクマは大阪市内でキャバクラを2店経営していたからだ。本業は、サナエと同じ不動産屋だけど。こんな不動産屋は、タクマくらいだ。
「あそこは、仕事の話しができんよってな」
「なんか、ええ物件あるんですか?」
「話しが早いわ」
 そう云うとタクマは紹興酒を飲み干して、お代わりを注文した。
「舞台はどうやってん。女優やってんのか?」
「仕事は何ですの?」
 サナエはタクマの話しを遮って云った。長居は無用である。
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 お疲れセットと紹興酒が来た。餃子と鶏である。
「物件はあんたや」と、タクマが云った。
「先輩、キャバクラはダメです」
「キャバ嬢は無理やで。さなやんには、向いてへん」
「ビシッと、ナンバーワンになる自信がありますわ。失礼やな」
 タクマは笑って紹興酒を飲んだ。
「町会議員やれ」と、タクマは真顔で云った。
「何を言ってるのか分かりません」
「田舎の町会議員や。でるだけで当選する物件や。さなやんのことはもう、話しつけとる。来月、引っ越しせいや」
「でませんけど」
「わがままなやっちゃなぁ。あんたの顔がええねん。革新系の議員顔しとんで。俺が、絵描いたるさかい。よっしゃ決まりや。乾杯!」
 タクマと乾杯をしてしまった。いやいや出ないから。
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「実は、もっとええ話しがあるねん。儲かるで」
「不動産ですのん?」
「そうやな。廃棄物の処理場探してるねんけどな」
「どっかの田舎にええ場所ないか? とか、云うんないでしょうね」
「お、その手があったな。どや」
 さなやんにお代わりや、とタクマは店員に叫んだ。
「それ、むっちゃあたしが捕まる話しやんか」
「俺が絵描くて。さなやんは、なにも考えんでええねん。先輩がええ話し持って来てんねんで」
 むちゃくちゃである。
「先輩が出たらええやないですか」
「この顔で出られるか? ヤクザにしか見えへんで。捕まったらどうすんねん」
 タクマは、ロレックスをちゃらちゃら振って云った。
「あたしも捕まりたくありません」
「そうかぁ、うちのジュリちゃんに頼むしかないんかなぁ。あいつ、顔はええけどアホやしなぁ」
 キャバ嬢の代わりかよ。
「まぁ、来週まで返事待つわ。お願いやで、この通りや」
 タクマは頭を下げてサナエに云った。
「キャバ嬢にならなるわ」
「それはお断りや」
 そう云うと、席を立って二千円をテーブルに置いて店を出て行った。
 相変わらず、ふざけた漫画みたいなオヤジである。
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 実はたまに、選挙にでないか? と、サナエは云われることがあった。どれも、革新系の人たちからである。
 あたしそんな顔してんのかな。と、思っていたけど、サナエそっくりの議員がその党にいるのを知っている。その議員と間違われることがあるくらいだ。
 議員をやるほどマメじゃないし、演説なんて無理だと思う。それにタクマの話に乗ると、あたしは確実に逮捕されそうだ。
 サナエは餃子を食べて、紹興酒を飲んだ。この組み合わせは美味しい。
 携帯にメールが来た。タクマからだった。
 『頼むで』
 だから、無理だって。
<取材 サナエ@女優 記事 紙本櫻士@コピーライター>

京都駅『凡凡屋』(京都)女優サナエ、ひとり酒。

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金明飯店
住所 大阪府大阪市北区梅田1ー2ー2 大阪駅前第2ビルB2F
電話 06ー6341ー2788
交通 JR東西線北新地駅(駅前第2ビル最寄りの改札)から徒歩1分
   阪急梅田駅から徒歩10分
   JR大阪駅から徒歩7分
営業 11時から23時30分
定休日 無休
ひとり、千円くらいでした。お疲れさまセットは818円です。
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東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
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撮影 田原慎一

長尾『鶏っち』(大阪)猫の結婚相談所。

見合い。FullSizeRender2

 雷が鳴った。
 話しも弾まないお見合いが終わって、サナエが帰る途中のことだ。
 ポツリポツリと、雨粒が落ちてきた。折りたたみの傘はなかったかな? と、鞄を探るが生憎、傘は事務所に置いてきたらしい。

 傘を買おうかと探していると、いつかの猫が現れた。
「おや、いつかの姉さん」と、猫が云った。
「ここも君の縄張りなの?」
「最近、世知辛くてねぇ、遠征してるんですよ」
「八剣伝は旨かったでしょう?」
「まぁまぁかな」
 サナエがそう云うと、猫は座ってぺろっと手をなめた。
「あそこの残り物は旨いんだけど・・・」
 残り物が旨いと云われても、困る。
 とはいえ雨宿りができそうなせんべろ屋はないか、と猫に訊いてみた。この辺には詳しいみたいだし。
 ピカッと空が光った。猫が耳を後ろに伏せて警戒をした。
 雷が苦手らしい。
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「降ってきそうですね」と、猫が空を見上げながら云った。
「雨宿りにちょっと飲める、ええ店知らん?」
「鶏っちは、どうです。この辺りじゃぁ新顔の店やけど、おいらたちの間では、いい匂いって評判や」
「食べたことないの?」
 へへ。と猫は笑い。
「おいらは、お金がないもので」と、云った。
「行ってくるわ。お土産も買ってきてあげる」
 そいつはどうも、と猫は手をなめた。
「いいことあるかも知れませんよ。店主は、独身やし」
 猫はそう云うと、狭い路地に消えてしまった。
 風が強くなってきた。低気圧が近づいているのだ。
 サナエは鶏っちへ急いだ。
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 店に入ると同時に、大雨が降ってきた。
「いらっしゃいませ」と、店主が云う。
 店内には誰もいない。時計を見ると、まだ、6時前だった。日が暮れるには早かったが、外は嵐で真っ暗である。
「季節外れの夕立やから、やみますよ」と、店主が洗い物をしながら云った。
「そうだといいねんけど」
 サナエは日本酒を頼んだ。それと焼き鳥。ついでに猫のお土産も。
「独身なんですか?」と、サナエが訊いた。
「そうですけど、どうしてですか?」
「猫がいってたから」
「え?」
「実は、さっきまで見合いしてまして、つい訊いてしまうんです」
 店主は、手を拭きながらサナエを見た。
「猫ってなんです?」
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 こんな猫見ませんか? と、サナエは以前撮った猫の写真を見せた。
「知りませんねぇ。このあたりをうろついてるんですか」
「ええ、まぁ」と、サナエは口を濁した。
 猫と話してるなんて云うと、変な女だと思われてしまう。

 今月は、お見合い強化月間だった。
 二週間に5人会ったけど、どいつもこいつも今ひとつである。子分みたいな男ばかりだとサナエは思っていた。
 お母さんと一緒に来て、自分はほとんど話さないやつ。明らかに人づき合いが苦手で、結婚に向いてなさそうなヤツ。どいつもこいつも・・・。
「どんなタイプが好きなんですか?」と、サナエが訊くと、
「阿部寛か速水もこみちがタイプです」と、さっき会った相手は云った。
 本人が気づいてないかも知れないけど、絶対にゲイだと思う。

 見合いにも飽きていた。
 猫にお見合いを進められて、これで6人目?
 あかんあかん、猫にお見合い相手を進められるようじゃお終いだ。とすると、お土産は紹介料なのか?
 サナエは日本酒をお代わりした。
 しばらくすると
「やんだようですよ」と、店主が云った。
「持ち帰りの焼き鳥できました?」
 これは紹介料だ。
 サナエは支払を済ませて、店を出た。すれ違いに子どもふたりを連れた夫婦が店に入っていった。絵に描いたような楽しげな家族だな、とサナエは思った。
 
「見合いどうでした?」と、猫が現れて云った。
「もう、ええって」
 サナエは紹介料の焼き鳥を猫に渡して云った。
「まだまだ、隠し球はあります」
 猫は美味しそうに焼き鳥を食べて云った。
 
雨は嘘のように上がり、夜空に半月がでていた。
<取材 サナエ@女優 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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鶏っち
住所 大阪府枚方市藤阪中町6ー40
電話 072ー867ー7533
交通 JR長尾駅から徒歩8分
営業 17時30分から24時
定休日 月曜日
ちょい飲み千円ちょいでした。
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撮影 田原慎一

堺筋本町『源』(大阪)なぜ、韓国料理は辛くなったのか?

生マッコリに自信あり。IMG_4215

「なんで韓国料理は辛いんだ?」
 『源』という韓国料理屋の前で僕が云うと、
「ほなら食ってみようや」と、佐々木が云った。
 料理屋は、時間が早いせいか店は空いていて僕たちだけだ。
「とりあえず、生」と、佐々木が生マッコリを注文した。
 テーブルに『当店のマッコリは、生マッコリだから味に自信があります』と書かれたモノがわざわざ置いてあったからだ。きっと旨いのだろう。
「加熱処理をしてないのが、生マッコリや。乳酸菌が生きてるってことやな」と、佐々木が云った。
 飲んでみると、まろやかで飲みやすい。
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「韓国料理は、唐辛子のサプカイシンって成分が辛いんや」
「水が欲しくなるね」と、僕が云った。
唐辛子系は、水を飲んだら最悪や、さらに火がつくで。印度料理では、同じ乳酸菌のラッシー飲むやろ。乳製品は、唐辛子系の辛さを中和するんや。生マッコリも同じやと思うで」
 頼んだ豚キムチが来た。一口つまんでみる。
「これは、旨いね」と僕が云うと、
「意外やな、たまたま入った店やけど、この豚キムチは絶品や。俺がこれまで食べてきた豚キムチを1ダース並べたら、イチバンかもしれん」と、佐々木が感心しながら云った。
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「メキシコ、アフリカ、韓国、四川、インド、タイ」と僕が並べると、
「辛い国ばっかりやな。でも、韓国だけが異質や」と、佐々木が云った。
 確かにそうだ。四川は寒い地方もあるけど、基本、亜熱帯である。暑い国の人々は、辛い食べ物で新陳代謝を上げて乗り切ると聞いたことがある。どれも、暑い国ばかりだった。
 ではなぜ、韓国は辛いのか?
「唐辛子は、日本から韓国に渡ったらしいで、文献にもいくつか記録が残ってる。ほんならなんで中国の『唐』なんや、ってことになるけど、当時、外国のことをなんでも唐って云ってたわけや」
「日本はなぜ辛くならなかったんだろう?」
「熱帯ちゃうしな」
「沖縄は?」と、僕が訊いた。
「韓国は赤いもんが好きみたいやで。唐辛子が入ってくるまでも、わざわざ料理に色素と使って赤く着色してたくらいや。赤が悪霊を遠ざけるのに効くって信じてたのもあるな」
「首里城は赤くないか?」
「沖縄は謎やけど、塩に関係あるのかもしれん」と、佐々木が云った。

 僕は白ワインを注文した。佐々木はビールを。それと、韓国海苔巻きのギンパ。酢飯じゃなく、ごま油を使った巻物だ。日本の海苔巻きに由来する料理である。
「キムチを食べてから、ワインとビールを飲み比べてみよう」と、佐々木が云った。
 やってみると、ワインもビールもさらに辛い。やはり唐辛子には、生マッコリがいいようだ。
「これは、あかんわ」と、佐々木が云って顔をしかめた。
 僕は口直しに、甘いギンパを食べた。
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「あんなに韓国の料理が辛くなったのは、わりと最近なんや。ひとつは、塩が不足した時代に、唐辛子を代用した。日本は、沖縄も塩が不足したのは聞かんからな。それでなくても、俺たちは塩の取り過ぎって云われるくらいや」
 白ワインをやめて、また、僕は生マッコリを頼んだ。ずっと、料理が旨く感じるしね。
 やはり土地の食べ物は土地の酒である。
「豚キムチ旨いな。次も辛い国を探検しよう」と僕が云うと、
「実は、辛いもんが苦手なんや」と、笑い佐々木が舌をだした。
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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源(げん)
住所 大阪府大阪市中央区本町橋1−17
電話 06−6809ー2453
交通 地下鉄堺筋線 堺筋本町駅13番出口から徒歩6分
   地下鉄中央線 堺筋本町駅1番出口から徒歩6分
営業 11時30分から16時 17時から24時(火曜日から日曜日)
定休日 土曜日
ひとり2千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
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