行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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天王寺

天王寺『モモンジ』(大阪)立ち飲み焼き肉屋さん。

焼き肉バナナ事件。IMG_2265

 天王寺の街を彷徨っていると、新装開店の花束に囲まれている焼き肉屋を見つけた。立ち飲み焼き肉の『モモンジ』である。
「いつ出来たんですか?」と人なつこい佐々木が、店先で呼び込みをしている店主らしきおじさんに話しかけた。

「一昨日なんですよ」と、店主が云った。
 僕と佐々木のせんべろ探検は、もはや4軒目を後にしていた。さらに焼き肉屋の探検は、危険を伴うのではないか、という危惧もある(ダイエットだってしないといけない)。でも、僕たちは探検することにしたんだ。
 せんべろ屋の開店に出くわすのは、珍しかったしね。
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 店内は、赤いTシャツを着たアルバイトでいっぱいだった。客は、僕たちだけである。お馴染みの焼き肉の匂いではなく、まだ、真新しい店の匂いがするように思う。
 イラッシャイマセー! とまだ慣れないけど、元気な挨拶で僕たちは迎えられた。
 みんないい笑顔である。
「店員がいっぱいなんだね」と僕が云うと
「開店したばかりで、みんな盛り上がってます」と、ショートカットの女の子が云った。
 僕はビール、佐々木はチューハイを注文した。
 5軒目のハシゴで、さすがに焼き肉はきつい。じゃぁ、と僕たちはユッケを頼むことに。
「一番、高くて旨いユッケや」と、佐々木が云った。
 高級桜ユッケである。僕たちにはね。せんべろ的には、贅沢な選択である。
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「タカダとヒガキと四人で焼き肉食べ放題に行った時のこと覚えてるか?」と、佐々木が云った。
 そりゃ、大学時代である。僕が、東京から帰省して難波で集まった時のことだ。
「バナナ事件や」と、佐々木が続けた。
 覚えていなかった。バナナ事件とはなんだい、と佐々木に尋ねた。
「あの時は、みんな若かった。気を使って、食べ放題で自分以外の肉とか果物とか、余分に皿に盛ってたんや。その店は、残したら追加料金というシステムやで。残したらあかん。でも、4人ともバナナを4、5本ずつ取ってきた。若気の至りや。テーブルに、バナナが15本やで。どーすんねん!」
「バナナ食べ放題って、ダメだろ」
「それから、自分の食べる少しだけを取ってくるのが、俺は食べ放題の作法だと学習してん。バナナ事件で」
「大げさなヤツだな」
「今日も同じや。つまみをちょっと、という時は、一番高くて旨いヤツから食う。焼き肉屋の作法やな」
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 ユッケが来た。
 タマゴを混ぜて、肉を一口食べてみる。いい肉は、旨いのであった。
「な」と、佐々木が云った。
「よく、この辺で飲むんですか?」と、ショートカットの娘が云った。
「オレは、京都や。せんべろ探検隊ってのがあって、天王寺を探検してるんや」と、佐々木が云った。
「インターネットでぐぐるとあるよ」と僕が云うと、
「探してみます」と、彼女が云った。

 しばらく飲んでいると
「あったあった」と、背の高い娘が云った。
 タブレットをのぞき込んで、興味深そうに読んでいる。
「ここに載るんですか?」と、若い男の子が云った。
「こいつが、酔ってなければ」と、佐々木が云った。
 で、いま、僕が書いている。
 ユッケ旨かったよ。また来ます。みんな。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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焼き肉 モモンジ
住所 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋2ー4ー48
交通 大阪府市営谷町線阿倍野駅より徒歩3分
ひとり千円ちょっとでした。店情報、酔っててあまりなくて申し訳ないです。分かり次第、載せますね。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一
  

天王寺『森田屋』(大阪)もはや、10年はひと昔ではないと思う。

気さくな天王寺は、変わらない。IMG_2289

「変わったな」と、佐々木が云った。
「どこ行く?」と僕が訊くと、
「そうやな。森田屋に行こう。あそこはいい」と、佐々木が云った。
 佐々木は、何度か来たことがあるらしい。
 新しくなった天王寺の街をしばらく歩くと、森田屋があった。大きな白い提灯の店だ。
 僕たちはカウンターに座り、瓶ビールを注文した。ビールを注ぎ合うのも、たまにはいい。
「10年一昔って云うけど、1990年以降は、さほど変わらへんな」と、佐々木が云った。
「焼いた穴子をください」と、僕は店員に云った。
 ビールを飲みながら、穴子が無性に食べたかった。それから、ハムカツも。

僕が子どもの頃、母親に連れられて天王寺動物園に行ったのを覚えている。
 1970年代の天王寺だ。
 天王寺駅は、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の上野駅そっくりだった。駅の造りも似ているけど、駅はこうあるべきだ、という哲学が似ているように思う。この瓜ふたつの駅の関係は、興味深い。
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「1960年代は、水洗トイレも珍しかったし、服を洗濯板で洗ってたで、冷蔵庫もなかった。あの時代は、10年ごとに、生活スタイルが違うんや。1970年になって、クーラーが家についたり、ジーパン履いたり、ジーパン刑事なんて人もいたよな。
 ジーパンだって珍しかったんや。女の子のファッションも変わった。
 当時は10年ごとに、服装ががらっと変わった。和装から洋装へや。洗濯機の登場で、女の人たちが重労働だった『洗濯』から解放されて、ウーマンリブ運動なんてのもでてきたんや」
「洗濯機は、大発明だったわけだ」
「そうや。女性解放の象徴やな」
 そう云うと、佐々木は僕のコップにビールを注いだ。
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 隣ではカップルが楽しそうに飲んでいた。
 女の子を口説いている自営業風の男は、クールビズのスーツで髪を短くカットしている。商工会議所あたりで見かけそうな三十代前半の男だ。女の子は、淡いブルーのサマーワンピースにフレアスカート。細身の体によく似合っていた。まだ、学生なのかもしれない。

「1990年からは、さほど変わってへん」と、佐々木が云った。
「天王寺は変わったけどね」
「まぁ、それは置いといて、俺らの生活スタイルが変わらへんねん。携帯電話はあるし、エアコンだってある。液晶テレビの台頭はあったけど、トイレだって同じスタイルや。ゲームも同じ。驚いたことに、鉄腕アトムは2003年に生まれや」
 もっと未来かと思っていた。2015年だと、街中をロボットが歩いていないといけないではないか。手塚治虫は、10年ごとに世界が一変すると考えていたんだと思う。たぶん。
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「アトムは原子力で動いてる。ロボット同士で喧嘩は迷惑な話や。アトムが壊れたら、原発事故やで」
 そう云うと、佐々木はビールを飲み干して手酌で注いだ。僕は瓶ビールを追加した。お待ち! と、ハムカツがやって来た。

「天王寺の居酒屋は、何も変わらへん。ファッションビル内に移動しても、頑なに昭和のままや。俺は、いままで不思議やと思ってたんや。
 鉄腕アトムに『ひげ親父』というヤツがおる。
『今は21世紀だろ、なんで、おいらはちゃぶ台にステテコはいて、お茶すすってんだ。もっと、未来的なさっそうとした服を着て暮らしてるんじゃねーのかい』とひげ親父が作者の手塚治虫に云うんや。確か、そんな台詞やった。
 森田屋で、おまえとこうして飲んでると、ひげ親父の台詞が理解できたわ。人はそんなに変わらへん」と、佐々木が云った。
 天王寺の居酒屋たちは、頑なに昭和を生きているように思う。
 天王寺は変わったけど、佐々木の云うように気さくな天王寺は変わらない。
 それはそれとして、僕はもっと変わった方がいいんじゃないか。佐々木の話を聞きながらそう思っていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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旬菜と海鮮 森田屋
住所 大阪府大阪市天王寺区堀越町12−11
電話 06ー6772ー6256
交通 JR天王寺駅から徒歩3分
   地下鉄御堂筋線天王寺駅から徒歩3分
営業 12時から23時(月曜日から土曜日)
   12時から22時30分(日曜日・祝日)
定休日 月曜日・第3月曜日
ひとり千円ちょっとでした。安いです。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

天王寺『ふじ』(大阪)海鮮が安いだけの店。

飲みながらダイエット!IMG_2206

「ダイエットしろよ」と、サナエが云った。
「死ぬよ!」とも。

 死ぬほど太っているわけじゃないけど、さすがにまずいと思っていた。
「アルコールは、エンプティーカロリーなんだ」と、僕が云った。
「なんやそれ」
「アルコールのカロリーは、蓄積されないから、いくら飲んでも太らない」
「嘘や! ならなんで太ってんねん」
「とても不思議なんだ。アルコール以外のツマミに問題があるような気がする」
「食い過ぎやで」
「だいたい、サナエも痩せた方がいいよ」
「ああ、いくら食べても太らない体が欲しいよぉ。ドラえもん」

 僕たちは天王寺駅界隈を歩いていた。
 太らない体にはなれそうにないけど、低カロリーの居酒屋なら選べそうだ。焼き肉とか揚げ物じゃなく、海鮮系の。
「ふじはどうや」と、サナエが云った。
「なに屋さん?」
「海鮮が安いだけの店や」
「なんやそれ」
 若向けの洒落た店が並ぶルシアスの地下に『ふじ』があった。サナエの云う通り提灯に『海鮮が安いだけの店』と、大きく書いてある。
 人気店らしい。店の外に客が3組、椅子に座って並んで待っていた。
 先頭は、子どもを2人つれた夫婦である。
 問題は、家族全員太っていることだ。お母さんは、椅子からはみ出て落ちそうである。立っているご主人もりっぱな太鼓腹で、小学低学年くらいの女の子も、中学生くらいの男子も太っていた。みんな、ぱんぱんである。
 ひょっとして、食いしん坊の店なのか?
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 横浜にいたとき、よく友人に横浜スタジアムのチケットを貰うことがあった。
 そのチケットはいつも同じ席で、前に座る人も同じである。その前に座っていた家族を思い出していた。全員、太っていたからだ。
 彼らの背中が壁になって、試合がよく見えないのである。
 彼らは試合中、ずっと、食べていた。ポテトフライに、ホットドックに、ピザに、ビールに、サンドイッチに、これでもかというくらい。
 その時、太るのって大変だな。と、思ったものである。
 痩せるのも太るのも、実は、大変なのだ。
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 僕たちの順番が来て『ふじ』の暖簾をくぐった。
 満員である。たまたまかもしれないけど、家族連れや若い人たちが多い。ファミレスの客層である。スタンドとあったけど、基本、みんな座って食事をしていた。
 さっとせんべろして次の店ではなく、腰を据えて飲む人がほとんどのようである。
 確かに安いからね。
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 海鮮には日本酒だろうと、僕たちは冷酒を頼んだ。
「だし巻きが旨そうだ」と僕が云うと、
「痩せないよ」と、サナエが云った。
 だし巻きを頼む。それとタコの刺身も。
「海老フライがよさそうじゃないか」
「だから痩せないよ」
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 海老フライを注文した。
 冷酒で乾杯である。生ビールが380円だったり、お酒も安い。海老フライにタルタルソースをつけて食べる。しっかり身が入った海老である。
 冷酒のお代わりを頼む。

 太った家族を笑えないのであった。

<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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スタンド ふじ
住所 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1−5−1 ルシアスビルB1
電話 050ー5872ー3873(予約専用)
   06ー6648ー8022
交通 JR天王寺駅より徒歩1分
営業 11時から23時
定休日 無休
ひとり2千円くらいでした。食べ過ぎだ。
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撮影 田原慎一

天王寺『袋屋(ふくろや)』(大阪)ある能楽師。

違いが分かる男。IMG_2247

 天王寺は、すっかり変わってしまった。
 なにしろ僕は、1970年代までの天王寺しかしらないのだ。映画『ALWAYS三丁目の夕日』に出てくる上野駅は、僕の中では天王寺駅である。
 初めて上野駅に行ったときも、まるで天王寺駅だと思ったくらい。
 この二つの駅は、似ている。うり二つである。

 あべのハルカスの横を通る歩道から階段を降りると、市電が走っていた。
「あの頃の天王寺の空は、市電の電線で四角く区切られていたんだ」と、僕は佐々木に云った。
「ああ、分かる。交差する場所やな。京都の空も電線だらけやったで」
 佐々木は、アロハにビーサンで歩いていた。だいたい、どこに行くにも佐々木はこのスタイルだった。
 天王寺の市電は、すっきりとしたデザインに変わっていて、かつてのイメージとは違っている。街も人も。
 しばらく歩いていると、創業三十五年という串揚げ屋の看板が目についた。
 『袋屋』である。
 1980年創業かぁ。80年代などは、つい、最近である。いつの間にか僕たちは、ずいぶん遠くへ来てしまったようだった。
「ストップというまで、串を出します」と、袋屋のカウンターに座ると店員が云った。単品でも頼めるらしい。
 僕は麦ロックを注文した。佐々木は生ビールだ。
 で、とりあえず乾杯である。
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「薪能やるんやって」と、佐々木が云った。
 中秋の名月の日に、僕たちがやる『千人の月見の宴』のことである。
 やるよ。と、麦ロックを飲んで僕が云った。
「戦国武将みたいで、ええなぁ」
「観世栄夫さんって、能楽師知ってる?」と、僕が訊いた。
「違いの分かる男やろ。遠藤周作とか北杜夫とかと、ネスカフェのCMに出てたのを覚えてるで。ずいぶん前に、亡くなりはった」
 野菜スティックが来た。麦ロックを飲み、ニンジンを囓ると、独特の苦みが口に広がった。
「取材で、一度、会ったことあるんだ。江戸っ子な感じで面白い人だったよ。僕がインタビューした時、僕は椅子に腰掛けていて、観世さんは木の床に正座して話すんだ。それで僕も、床で正座しようとすると『どうぞ、椅子におかけください。私は、正座が楽なのです』って、云うんだ。これには困ったね」
「上から話すことになるもんなぁ。そりゃ困る」
 佐々木は、ビールを旨そうに飲んで云った。暑い夏の日のビールは旨いのだ。
 揚げたてのアスパラを食べてみた。仄かに夏の香がした。
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「川についてのインタビューだったんだ。能と川の話しになって、僕が『能楽師や歌舞伎役者が、河原で興業して河原者と呼ばれた時代がありますね』と訊いたら『確かに、かつて能楽師は河原者と呼ばれた時代がありました。能は川と縁が深いのです』と、観世さんが答えてくれた。後で、録音を聞いたら、ずいぶん、失礼な質問をしてるんでヒヤヒヤしたのを覚えてるよ」
「遠慮してたら、ええ話しは聞けへんで」
「でさ、僕の名刺を三角に折りながら、観世さんが話すんだ。たぶん、観世さんは名刺交換する習慣がないんだと思う。サラリーマンは、絶対しないよね。相手の名刺を折りながら話すのって。観世さんは、生真面目でどこか子どもっぽい。つい名刺を折るなんて、なんて格好いいんだ! ってね。カタギにゃ、できないよ」
「そりゃ格好ええな。俺もそんなジイさんになりたいで」
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 佐々木ならなれそうだ。ほぼ、そんな人間じゃないか。と、僕は思っている。
 そう云えば『千人の月見の宴』も、河原で能だった。
 僕は、川とか能に縁があるのかもしれない。

 観世栄夫さんが床に正座しながら、名刺を折っている姿を、僕はありありと思い出していた。うまく云えないけど、格好いいのだ。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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袋屋(ふくろや)
住所 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1−3−16
電話 06−6623ー2571(お問い合わせ)
交通 JR天王寺駅より徒歩3分
   地下鉄御堂筋線天王寺駅より徒歩3分
営業 17時から22時(月から金)16時から22時(土・日・祝)
定休日 無休
ひとり千円くらいでした。普通に食べたら3千円くらいの店だと思います。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
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天王寺『づづっ』(大阪)女優とワンコインせんべろ。

日替わりマクベス。IMG_2229

 大衆酒場明治屋を出て二軒目のハシゴは、隣にある『づづっ』である。
 ワンコインで飲めるとあり、これは探検せねばと暖簾をくぐってみた。
 どうやら生ビールと串揚げか、おでんを選べるらしい。
 僕が串揚げ、サナエがおでんを頼んだ。
 まずは生ビールで乾杯である。

「台本が送られてきたてん」と、サナエが云った。
 サナエは、先月、京都の劇団『ユニット美人』のオーディションに受かったのである。で、日替わりマクベスでデビューなのだ。
 一応、主役らしい。大丈夫なのか・・・。
 サナエは、鞄からマクベスの台本を出した。クリップでビシッと留められた分厚い台本だった。出番も台詞も多そうだ。
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「こんなの覚えられるの?」と僕が訊くと、
「覚えられないから、いま、読み合わせするんだろ」と、サナエが云った。
「なんで、今なんだ」
「いつ覚えるんだよ。今でしょう」
 どこかで聞いたような台詞をサナエが云った。

 串揚げとおでんが来た。まず、串揚げを食べてみる。旨い。
「冒頭の台詞が長いねん。俺はマクベスだ。軍神のごとく無敵の・・・なんやこれ」
「漢字読めーねーのか、鎧(よろい)」
「その鎧をまといて、我がスコットランドのダンカン王の・・・。覚えられへん」
「いったい、ダンカンが玉袋筋太郎と何したんだ」
「変なこと云わないでよ。間違って覚えるやろ」
 サナエはビールを飲んで云った。
 店は空いていて、読み合わせをしても問題はなさそうだった。少し離れた席に、サラリーマンとOLが数人飲んでいるくらいだ。 
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「俺、学生の時、劇団に入ってたんだ。演劇舎蟷螂って劇団。すぐに辞めたからたいした台詞なんてなかったんだけど、台詞を覚えてないのに、たまにだけど、台本を忘れて舞台が始まる夢を見るよ。それと、試験に落ちる夢」
「やめてよ。ほんまになりそうやろ」
「俺はマクベスだぁって、冒頭、変じゃない?」
「なんで?」
「俺は、坂本龍馬だぁ、とかで始まらないだろう」
「わざとだろ、わざと」
「いかりや長介が『俺は忍者だぁ』と云う台詞があるんだ。すると『嘘だぁ!』って会場から子どもが叫んで『嘘じゃない』といかりやが云い返すのを思い出した」
 『8時だヨ!全員集合』というテレビ番組でである。今なら考えられないけど、毎回、生放送だったんだ。基本全部アドリブなんじゃないか、と思える演出が売りだと思う。番組中、停電したり、火事になったり、時にハラハラしながら見たのを覚えている。

「俺はマクベスだぁ、って云ったら、嘘だぁ、って僕、云っていい?」
「絶対やめてよね。やりそうだから怖いよ」
「ポールマッカートニーがコンサートの挨拶で、オィーッス! って云うのはやめて欲しい。いかりやみたいだし」
「ああ、覚えられない」
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 8月29日の本番まで、練習が3回しかないらしい。それもサナエは不安のようだった。
 結局、冒頭の長台詞は覚えられず、僕たちは店を出た。
 支払は、ふたりで1000円である。旨い! 安い! 大丈夫なのか『づづっ』と、思う。そして、大丈夫なのかサナエとも。
 せんべろ探検隊のチャレンジは続く。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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づづっ 阿倍野店
住所 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1−6−1 ヴィアあべのウォーク1F
電話 06−6556−7080
交通 JR天王寺駅から徒歩1分
   地下鉄御堂筋線天王寺駅から徒歩1分
営業 11時から13時(ランチはうどん)17時から23時
定休日 無休
ひとり500円でした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
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撮影 田原慎一

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ユニット美人は8月に結成10年を迎えます。そして劇団衛星はこの6月に結成20年!そんなわけで記念公演をいたします。劇団衛星×ユニット美人の競演です。乞うご期待!

『となりのヒロインたちと敵討ち』

日程

 2015年
  8月 27日(木)20:00衛星☆
    28日(金)20:00美人☆
    29日(土)11:00美人14:00衛星17:00衛星20:00美人
    30日(日)11:00衛星14:00美人17:00衛星20:00美人
    31日(月)休演
  9月 1日(火)14:00美人★20:00衛星
    2日(水)14:00衛星★
 ※時間をクリックするとPeatixの販売サイトに飛びます(☆は初回割引、★は平日マチネ割引あり!)

会場

 KAIKA

出演

黒木陽子 紙本明子
是常祐美(シバイシマイ) 村井春奈(何色何番)

友情出演
  • 8月28日20:00 丹下真寿美
  • 8月29日&30日  小林まゆみ(KAIKA劇団 会華*開可)
  • 9月1日14:00 朝平陽子
日替わりマクベス
  • 8月28日20:00 はなみ
  • 8月29日11:00 岸浩子(劇団にのいち)
  • 8月29日20:00 広瀬早苗
  • 8月30日14:00 西木達夫(大人の演劇部)
  • 8月30日20:00 えみりー(劇団月光斜)
  • 9月 1日14:00 ままれ

料金
 1プログラム  一般¥2300 学生¥2000
 衛星+美人セット 一般¥3600  学生¥3000
 (その他ペア割・トリオ割実施予定!)
 早期特別割引チケット 全ステージ各10枚限定で販売中!◆◆◆click!
 どなたも、¥1,000でご購入いただけます。
 (その他のセット/割引との併用はできません。)

お問い合わせ

劇団衛星
Tel:075-353-1660(平日10~18時/公演期間中は毎日10~21時)
E-Mail:eisei★eisei.info(★を@に変えてください)
http://www.eisei.info/20th/

主催:劇団衛星 ユニット美人 NPO法人フリンジシアタープロジェクト made in KAIKA  

天王寺『明治屋』(大阪)暖簾をくぐれば60年代。

寅さんが飲んでいそう。IMG_2214

「ねぇさん、お酒と大阪の旨いもんをお願いするよ」
「兄さんは、東京から来たん?」
「東京は、葛飾柴又よぉ」
「遠いとこから来てくれてんねぇ」

 近代的なビルの中に『明治屋』はある。
 創業昭和13年の昭和の香りがする大衆居酒屋である。再開発で移転したんだけど、昔の雰囲気を残して営業している。
 店先に自転車が停めてあったけど、これは演出だろう。地下一階のキューズ・モールまで、自転車で来るとは思えないから・・・。
 どこか映画のセットで飲んでいるような感じだった。蒲田行進曲のセットとか。
 とはいえ、そこはかと流れる非日常が楽しい。

 今夜のせんべろ探検は、昔の明治屋に通ったという、サナエの案内だった。
 暖簾をくぐり店に入ると、
「相席やけど」と、年配の女性店員に案内された。店内はOLやサラリーマンで混み合っている。
 相席では、若いサラリーマンが二人で飲んでいた。僕の隣の男は、パリッとしたスーツに、ロレックスのミルガウスをしている。IT関係の会社に勤めているのだろうか。ミルガウスは耐磁時計だし。

「湯豆腐はないの?」と、サナエが店員に云った。
「あれは五月までですねん」
 名物の湯豆腐があるらしい。ない、と聞いて、サナエが残念そうな顔をした。
「シュウマイが美味しいわよ」と、店員が云った。
 じゃぁと、シューマイとどて焼きを頼んだ。土佐鶴と酔鯨のコップ酒も。
「ボンボン時計があってんけどなぁ」と、サナエが云った。
 柱に古い時計がかかっていた。ボンボン時計じゃないけど。
 やはり、どこか映画のセットのようでは、ある。
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「もう、20年以上前に家は取り壊してて、更地になった近くに、家のお墓があるんだ。囲炉裏のある古い旧家だったんだよ。祖父と祖母がそこに住んでいた。それも、40年くらい前に空き家になっていた。二人とも亡くなったからね」と、僕が云った。
「ずいぶん古い話しやね」
「その家にボンボン時計があったんだ。祖母がたまに椅子に乗って、時計のネジを巻いていたのを覚えてる。アゲハチョウみたいに大きなねじ巻きだった」
 今でも、ねじを巻く祖母の後ろ姿がありありと思い浮げることができる。

 土佐鶴と酔鯨で乾杯をした。
 キリッと冷えて旨い。しかも安い。
「田舎だから、自分の土地に墓を建てるんだよ。祖母の家から少し離れた場所にね。文化四年だとか天保3年だとか、古い墓も一緒に建ってる。結構、満員なんだ。去年、お墓参りした時のことだけど、僕は、石垣のある細い道を上がって、家があった更地を横切ってお墓に向かって歩いていた。そしたら、ボーンボーンボーンって、ボンボン時計が鳴ったんだよ」
 懐かしい音だった。
「なんで?」
「見ると、更地に古い木材が積んである場所に、祖母のボンボン時計が横たわってたんだ。それが5回なって、それきり黙ってしまった」
 僕は少し黙って、酔鯨を一口飲んだ。
「たぶん、僕が歩いた振動かなにかで、鳴ったんだと思う」
 中原中也の詩に『村の時計』というのを思い出していた。
 
 時を打つ前には、
 ぜいぜいと鳴った。

 字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか
 僕にも誰にも分からなかった

 その時の祖母の時計も、僕にはぜいぜいと鳴っているように聞こえていた。
「怖かった?」と、サナエが訊いた。
「怖くない。祖母の時計だからね。僕は時計の蓋を開けてみたんだ。すると、見覚えのある大きなねじ巻きが入っていたんだ。それを何かに役立てようとするわけぢゃないけど、僕はポケットに入れて持ち帰ったんだ」
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 店内撮影禁止と書いてあった。
 かたいこと云わないだろうと、僕は、シューマイとどて焼きの写真をこっそり撮った。すまん。
「明治屋って、大衆居酒屋やけど、味に品があって好きやな」と、サナエが云った。
 永遠に続くように思えて、案外、儚い。
 明治屋の柱に掛かっている古い大きな時計が、僕にはぜいぜい云っているように見えていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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明治屋
住所 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1−6−1 ヴィアあべのウォーク1F
電話 06-6641-5280
交通 JR天王寺駅から徒歩4分
   阿倍野駅徒歩2分
営業 13時から22時
定休日 日曜日
ひとり千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

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