行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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梅田

梅田『百百(もも)』(大阪)怖い話し。

老舗の串揚げを食べながら。IMG_4588

「麻雀やったことある?」と、僕は佐々木に訊いた。
「モノポリーならやるけど、麻雀はないな。ルールは少しだけ」
 僕たちは、梅田にある老舗の串揚げ屋にふらっと入って、瓶ビールを頼んだ。ウズラとキス、ウィンナーも。
「秘伝のソースらしいで」と、佐々木が云った。
 シェリー酒や月桂樹やら入っているという。カウンターには、旅行客や女性客も飲んでいた。立ち飲みでさくっと飲むには、こんな店がいい。
 僕は、佐々木のグラスにビールを注いだ。

「麻雀は、所詮、ボーズめくりだよ。ボーズがでたら負け」と、僕が云った。
「あれは、ツキの奪い合いのゲームやな」
 確かにそうだと思う。長くやっていると、強いヤツが勝つけど、ツキだけでもかてる不思議なゲームだ。もともと、中国の占いだったとも云う。
 日本に初めて紹介したのは、夏目漱石である。中国を旅した紀行文に登場する。
 僕たちは、グラスを合わせた。
IMG_4575
「モノポリーもツキといえば、ツキやな。ニューヨークのあるオレンジをサイコロの目だけでそろえたら勝ちや。ツイてないやつは、どうしうようもなくなる。人生においても・・・。最後まで、ツイてないやつっておるで。なんでついているヤツがいて、なぜ、ついてないヤツがいるのか。数学者のジョン・ナッシュは、ゲーム理論で、ナッシュ均衡を導いたんや。おもろいテーマやと思う。数学のフィールズ賞やなくて、ノーベル経済学賞やったけど」
 ウズラが来た。秘伝のソースにつけて食べてみる。ソースは、すっきりとした味で好みだった。

「九連宝燈って、役があるんだ」と、僕が云った。
「役って?」と、佐々木が訊いた。
「麻雀を上がったときの形だ。ロイヤルストレートフラッシュみたいなやつ」
 佐々木は、ビールを飲みながら聞いていた。
 麻雀は、13個の牌を使ってやるゲームだ。最後の一枚をそろえると、上がることができる。自分で持って来てもいいし、他人が出してもいい。
 九連宝燈は、1112345678999とあって、1から9どれを持って来ても上がることが出来る。ただ、その形ができるのが、天文学的な確率なんだ。
 最終的な形だけで上がっても成立するけど、純正九連宝燈は、まず、できないとされている。宝くじに当たったような状態だよ。
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「九連宝燈を上がると、死ぬって云われているだ。ツキがなくなってしまうってことかもしれない」と、僕は云った。
「バカつきの後は、気をつけろってことやな」
「僕は、二度上がったことがあるんだ」
 ウィンナーが来た。ソースにつけて、僕はひとくちで食べた。佐々木は、黙ってビールを飲んだ。
 佐々木の顔が、どうなった? と、訊いていた。
「不思議なんだ。勝手に出来上がるんだよ。最後の一枚が、4だったんだけど、僕の順番が来て引く前に4が来るのが分かった。あ、4が来るって」
「何もなかったのか?」
「その晩、祖母が亡くなった。次の日は、お葬式だよ」
「たまたま、だろう。お年寄りだし」
 僕もそう思った。たまたまだと。
 とはいえ九連宝燈が、僕に何かをしたような嫌な気もしていた。
IMG_4582
「ところが数年後、また、できたんだ。今度も、勝手にできあがった。あの時と、同じだった。僕は、みんなに九連宝燈ができたから、僕の順番がきたら、牌を倒して(チョンボする)やめると3人に云ったんだ。ゲームで、命をはることないからね。でその時、大島くんが上がる寸前だと教えてくれた。そこで、当たり牌を岡村くんがわざと、大島くんに振ったんだ」
「大島が上がった? よかったやんか」
「その晩、大島くんの祖父が急性肺炎で亡くなった」

 本当である。
 友だちから聞いた話しじゃなくて、僕の実体験だ。
 幽霊やUFO、超能力とかがあるのかは分からないけど、九連宝燈の『上がるとよくないことが起こる』を、信じている。
 どちらも、お年寄りだったけど、偶然とは思えないじゃないか。
 もし、もう一度できたら・・・

「なんとも云えないな」と、佐々木が云った。
 何かあるのかもしれなかった。
 僕は、それからすすんで麻雀をやらなくなったように思う。
 何とも云えないけどね。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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串かつ 百百(もも)
住所 大阪府大阪市北区角田町9−26 新梅田食堂街1F
電話 06ー6313ー2714
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 9時から22時
定休日 日・祝
せんべろです。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG もーちゃん@トラベラー
         オーシタ@スリランカ アサミ@セレブ
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
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土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
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全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

梅田『たこ焼き シオヤ』(大阪)たこ焼きタイムスリップ。

酩酊していた。IMG_4592

「焼くのに10分くらいかかるで」
「飲んで待ってる」と、僕が云うと
 おばちゃんは、クルクルとたこ焼きを回し始めた。
 おばちゃんの手元をぼんやりと眺め、僕はビールを飲んでいた。

「ビールだけでもええか?」
 ジャージを着た中年のオジサンがふらりと来店した。裸足にサンダルだ。
 するとおばちゃんは、不機嫌そうにビールを注ぐとオジサンに手渡した。常連なのか、通りすがりかは分からない。おじさんは僕の隣で、美味しそうにビールをチビチビ飲んでいた。
 僕のたこ焼きが出来上がり、おばちゃんが僕に手渡してくれる。
 青のりのかかったソースたこ焼きだ。
 僕は、熱々のたこ焼きを爪楊枝で食べた。青のりとソースの香りがぷんとした。 そうだ、高校生の時、近所の神社で食べたたこ焼きだ。
 あの時と、同じ味だった。
IMG_4594
「今から、桜井さんの家に行かへんか」と、原田が云った。
 中間テストが終わった、高2の秋のことだ。
 原田は同じクラスで、帰宅方向が同じだった。テストも終わり、みんなほっとした顔でぞろぞろと下校している。僕と原田は、自転車に乗って校門から伸びる坂をゆっくりと下っていた。
 桜井さんは、クラスで一番可愛い女の子だった。
「行ってどうするねん」
「呼び出して話しするやろ。オマエが」
「なんで俺やねん。原田が好きやって云ってる娘やろ」
「テスト終わって、気がするんでる今がチャンスや」
「なんのチャンスだ。ひとりで行ってこいよ」
「オマエ、そんなこと云うてると友だちなくすで。頼むから、な、な」
 ひとりでは、会いに行けないと、不機嫌になってくる始末だ。
 押しの強い原田に負けて、結局、僕はついて行くことになった。
「桜井の家なんて、知らんで」と僕が云うと、
「調べてあるんねん、ついて来い」と、原田が元気よく云った。
 ならひとりで行けよ。と思う。

 桜井さんの家は、旧街道にある古い家だった。僕が近くの神社に、彼女を呼び出すことになった。もう、ここまで来ればなんでもするよ。
 チャイムを鳴らす。いなければいいのにと思いながらだ。
「どうしたの?」
 いた。制服のスカートにブルーのセーターを着ていた。
「原田と遊びに来たんだ。神社で原田が待ってるから来てくれよ」
 間抜けだなぁ、と思いながらそう云うと「待ってて」と、彼女は云った。
 僕は神社に戻った。
「どうやった? おった?」
「来るって」
 原田は急にそわそわしだし、神社にあった錆びだらけの滑り台に上って、ずるずると降りた。僕は、ブランコに座る。なんで僕がいるんだ。とか、思いながら。
 着替えてきたらしい。
 桜井さんは、白いシャツとミニスカートをはいていた。
「こいつ、桜井のことが好きやねんで」と、突然、原田が滑り台の上から叫んだ。
 ヒューヒューと云いながらだ。原田の顔が赤くなっていた。人前であがると原田は顔が赤くなるのだ。
 馬鹿なのか? と、思ったけど「いや、原田が」とか、僕はもごもごと桜井さんに云っていた。どうすりゃいいんだ。こう云うお馬鹿は。ドン! と云いたい。

 何を話していいのか分からなかった。
 僕が黙っていると、
「たこ焼きを食べよう」と原田が云った。
 神社の境内に小さなたこ焼き屋があった。そこで食べようと云うのだ。
「ここ旨いねん」
「なんで、美味しいって知ってるの?」と、桜井さんが原田に訊いた。
「何度か食べたことあるから」
 何度も来てるんだ・・・。
IMG_4595
「たこ焼きセットください」
 若いカップルの男の子が注文した。お揃いのキャリーバッグを持っている。おそらく旅行者だろう。
「今から焼くから15分くらいかかるで」と、シオヤのおばちゃんが云った。
「ビールもういっぱい」と、サンダルのオジサンがお代わりをした。
 僕は、たこ焼きをひとつ、食べた。やはりあの時と同じ味だった。
 あの後、僕たちはどうしたんだろう。神社にあった狛犬を照らす夕日をなぜかよく覚えていた。
 ずいぶん後になって、あの時の神社に行ったことがあった。たこ焼きを食べようと思ったが、もう、店はなくなっていた。
 僕は、ずいぶん変わったのかもしれない。残りのビールを飲み干し、僕はカウンターを離れた。原田と桜井も、変わっているんだろう。なぜか、同じ味のたこ焼きが梅田にあるのが、不思議に思うよ。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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たこ焼き シオヤ
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食堂街1F
電話 06ー6313ー2714
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 15時から23時
定休日 日曜日
500円くらい。せんべろです。
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撮影 田原慎一

梅田『たこ梅』(大阪)日本一古い関東煮屋。

ガード下にある老舗?IMG_4554

 新梅田食道街に『たこ梅』はある。
 1844(弘化元)年創業だから、こいつは古い。もちろん、江戸時代に電車は走ってないから、大阪日本橋は道頓堀に本店があるけどね。
「かんとうだっきゃ、やで、かんとうにとちゃうねん」と、酒飲みのチエが云った。

 白い手編みのセーターを着て、ジーンズに赤いリーボックだ。今日は、飲む気まんまんで来てるようだった。
 そう、子どもの頃、確かに「かんとうだっきゃ」と、発音していたと思う。
「おでんって、いつごろからやろう?」
「コンビニで売り出してからちゃうか?」と、チエが云った。
IMG_4548
 『たこ梅』に入ると、中は客でいっぱいだった。
 これは待たないといけないな、と思っていると、丁度、若いカップルがふたり席を立ち、僕たちはそこに座ることができた。見回すとほどよく酔ったひとたちの顔がずらりと並んでいる。いい感じである。
 何にしようか? と、メニューを見てみる。
 まずは、名物の上燗酒だ。チロリから錫のコップに燗酒を注いで飲むのが旨い。それから、やはり名物のたこ甘露煮も。
「晩秋やから、土瓶蒸しも頼んでや」と、チエが云った。
「タコの甘露煮が名物やから、たこ梅なのかな」と、僕は呟いた。
「素人さんやな、ちゃうちゃう、カウンターがコの字になってるやろ、お客さんにたこ足配線のようにサービスができるから、江戸時代からタコって呼ばれてる形式なんや」
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 エマが、なんか物知り佐々木みたいである。
「お店の人なの?」
「へへ、ネットで調べてきてん」と、チエが舌を出して白状した。
 なるほど。そうだろう。チエは、ただの酒飲なんだ。
「じゃぁ、なんで『梅』なん?」
「初代が、梅さんやったからやな」
 う、詳しい。
「ど根性ガエルかよ」
「あれは、お江戸の下町や。こっちは道頓堀の梅次郎さんや。いま、五代目らしいで」
 燗酒で満たされたチロリが来た。
 僕は、もの欲しそうな顔をしたエマのコップに注いであげる。
「ええ、香りやなぁ」とチエは云うと、ひょいとひとくち飲んだ。
IMG_4563
「うちが子どもの頃、家の近くのお風呂屋さんにおとんと行っててん。帰りによく関東煮を買って食べたわ。真っ黒になったチクワとか、すじ肉、美味しかったなぁ」
「昔、住んでたとこ?」
「だんじりのある和泉市や。関東煮は、駄菓子屋の店先で食べたで」
「だんじり文化圏にいたんだ」
「太鼓の音に、今でも胸が躍るねん。隣町のだんじりが来たら、ぶっつけてた時代や。喧嘩だんじりは、今、あかんやろ」
「危ねぇなぁ。けが人とかでそうや」
「いや、それが意外と大丈夫なんや。ぶつかるの分かってるから、屋根の上で赤い団扇を持って踊ってる若衆がヒラリと降りてくるねん。それがかっこええねん。芸術的やったなぁ。ぶつけてだんじりの屋根がふっ飛ぶねんで」
「それを子どもも引いた?」
「危なくない先頭で引かせてもらえるんや。そうそう、男の子たちが下品な歌を意味も分からずうたいながら・・・。子どもだんじりじゃなくて、本物のやった」
 いい時代だったのだなぁ、と思う。
 チエがさえずりを注文した。名物らしい。
「鯨で、関東煮の味を出してるねん」
「なんの味かな、と思ってたんだ。鯨かぁ」
 日本の伝統、江戸の味なんだなぁ、とおでんを食べながら思った。おっと、関東煮である。
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 チエが酒のお代わりをした。
「梅さんの関東煮は、どんなんやったんかなぁ」
 チエはさえずりを食べながら云った。
「だんじりが喧嘩しなくなったように、関東煮も美味しく上品にアレンジされてるハズや(証明は難しいけどね)。初代梅さんの頃は、もっと、豪快な『かんとうたっきゃ』だったと思う」
「昔のだんじりおもろかったわ」
 チエはちろりから自分で酒を注いで、ぐいっと飲んだ。子どもの頃の、だんじりと思い出しているのかもしれない。ああ、昭和も遠くなってきたなぁ。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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たこ梅
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食堂街1F
電話 06ー6311ー3309
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 16時から22時50分(平日) 15時から22時50分(日・祝)
定休日 無休
ひとり三千円くらいでした。
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撮影 田原慎一

梅田『奴』(大阪)せんべろ巡礼。

「ひとり?」IMG_4528

 立ち飲み屋のカウンターで瓶ビールを飲んでる男に、声をかけられた。どこか馴れ馴れしい男だった。
 そうです。と、僕が答えた。
 男はデザインが昭和な白シャツと、グレーのズボンに茶色いサンダルをはいており、年齢は僕と同じくらいだ。
「どこかでお会いしましたか?」と訊くと、
「そうか」と、男は云った。

 そうか、は答えになっていなかったけど、男が残念そうな顔をしたので、たぶん、顔見知りなのだろう。ことによると名刺交換くらいしているかもしれない。僕は、顔と名前を覚えるのが苦手で、失礼することが多い。
 なので僕は、男に会釈をした。男は、ビールの入ったコップをかざし、乾杯とばかりに会釈を返した。思い出せない。というか、覚えがなかった。
 立ち飲み屋でよくいる酔っ払いだろう。

 僕は気にせず樽酒を注文した。さえずりと、カニ酢も。
 さえずりは亡くなった父の好物で、あるとなんとなく頼んでいる。独特の食感がいい。
「さえずりは、私も好物です」と、男が云った。
 男もさえずりをツマミにビールを飲んでいた。
 店主が樽酒を受け皿の枡に溢れんばかりに、というか溢れさせて注ぎ僕の前に置いた。
 僕が、溢れている酒の写真を撮ると、
「写真は手元にあるものだけにしてください」と、店主が云った。
 はぁ、と僕が生返事をする。
 樽酒を飲むと、檜の香りが口に広がった。旨い。
「私も樽酒をもらおうかな」と、男が云った。
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「子どもと映画を見に行ったんですよ」と、男が云った。
「何の映画です?」
「まだ、小学校に上がったばかりの男の子とふたりでね、ウルトラマンの五本立てですよ。大変でした」
 どこかで昭和の懐かしい映画特集でもやっているのだろうか。でも五本立てはきついな。と、僕も思う。
「全部見たんですか?」
「いや、3本くらいは見たんですが、もう眠たくてね。子どもも飽きたようなのでレストランで一緒に飯を食べて家に帰しました。で、私はここで飲み直してるところですよ」
 いささか疲れました。と男は云うと、ポケットからハイライトを出し火をつけ、ふぅっと旨そうに吸った。
「奥さんに吸うの止められててね。こうやって、こっそり吸ってるんです」
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 僕も子どもの頃、父とウルトラマンの映画を見に行ったことがある。やはり、五本立てだった。その時、最後まで見たかどうかは覚えていないけど、暗い映画館で父がスクリーンを凝視しているのを不思議に思っていたのを覚えている。大人がウルトラマン見て、面白いのだろうかと。
 で、その後、父と食事をして帰ったと思う。
「僕も男の子がひとりいます。幼稚園の頃は、ポケモンとかよく映画館で見てました。最近だと、宮崎駿の『風立ちぬ』とか。もう、大きいですから」
「昔は、子ども向けの映画がなかったねぇ」
 男は、受け皿の枡に溜まった酒を美味しそうに飲んだ。コップをひとつ、と店員に云い、まぁ、いっぱい。と、僕に注いでくれた。
「いま、子どもはいくつ?」と、男が訊いた。
「中学3年です。この間、幼稚園だったのに、驚いてます」
「なら受験だ。大変だ。私のところは、男の子と下に女の子だね。年子だ。でも、まだ小学生だよ」
 そう云うと、男はさえずりをひとくち食べて、酒を飲んだ。
「子どもはいつの間にか大きくなるからねぇ」と、男は呟くように云った。
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「相撲は好きかい?」と、男が訊いた。
 僕がどちらでもない。と、答えると、男は残念そうな顔をした。
「そうか。じゃぁ、野球か?」
「それも、あまり」
「なんだ、つまらないヤツだな。相撲は面白いよ。麒麟児とか好きだね」
「父が昔よく見ていました。僕は、裏番組のアニメが見たかったんですが」
 升酒をお代わりをした。店主が、また、溢れるように酒を注ぐ。
 少し酔ったらしい。
 店内は、いつの間にか、サラリーマンでいっぱいになっていた。
「すみません」と、若いカップルが僕の隣に入ってきた。
 どうも、と僕が体を斜めにして間を開ける。
 後から入って来た女の子が、すみませんと微笑んで頭を下げた。

 隣で飲んでいた男が、いなくなっていた。
 くしゃっと丸められた、空のハイライトがひとつ置いてある。
 父が、よくこうやってハイライトを丸めていたなぁ。男は、どこか亡くなった父に似ているような気がする。服装も髪型も、そういえば男の額にあった傷も、父そっくりだ。
 僕は慌てて店を出、男を捜した。迷路のような食堂街に、男の姿は見当たらなかった。もう、子どもが待っているあの頃の家に、帰ったのかもしれない。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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住所 大阪府大阪市北区角田町9−26 新梅田食堂街1F
電話 06ー6312ー6703
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営業 11時から23時
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せんべろ屋です。
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梅田『みうら屋』(大阪)空心菜とシンハービール。

「初めてのビール、覚えてる?」IMG_4500

 シンハービールを僕のコップに注ぎながら、佐々木が云った。
 晩秋の夕暮れ、僕たちはタイ料理屋にいた。佐々木は、北海道大学からの帰りで「大阪は、街中に暖房を入れてるんか?」と、ここに来るまで繰り返していた。
 むわっと大気が湯気っぽく、暑いらしい。体が、寒さに慣れてしまったのだろう。
 僕には、震えるほどじゃないけど十分寒いのだけど。
「初めて飲んだビールはひどい味だった」と、僕が答えた。

「だろう。最初は、ビールの飲み方が分からへんねん」
 佐々木はビールをひとくち飲んで云った。
「特に、子どもにはね」とも。
 僕もシンハービールを飲む。ほどよく苦い濃厚なビールだ。
 タイ料理には、タイのお酒がいい。
「甘い味は、舌先で感じる。苦味は、舌の奥や。僕たち大人は、食べ物を上手に舌先でコントロールをして食べてるんや。舌で転がすって云うやろ」
「そんな風に思って食べてないけど」
 そうかも知れないと思っていた。
 空心菜の炒め物が来た。僕も佐々木も食べるのが初めてだ。もうひとつ頼んだのは、バナナ・ピーナツクリームで食べるポークステーキだ。バナナピーナツクリームも初めてだった。
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「子どもは美味しく感じる舌の場所に、ビールを運んで飲むことができへん。自転車に乗れないようにや」
 空心菜を食べてみた。塩加減も丁度良く、食欲をそそる味だった。ビールにも合う。
「子どもや外国人が、ワサビが苦手なのも同じ理屈や」と、佐々木が続けた。
「パクチーはどう?」と、僕が訊いた。
 独特の香りと味がする野菜。苦手な人と、なんでもパクチーを入れたがる人がいるように思う。僕のまわりだけかも知れないけど。
 そう云えば浦和のかおりんは、いつもてんこ盛りにして食べる。
 佐々木は、そのどちらでもないと答えた。ただ、ちょっと苦手かもとも。
「パクチーは、僕の舌がまだ対応できてへん」と、佐々木が云った。
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 ポークステーキが運ばれてきた。バナナ・ピーナツクリームがどっさり添えてある。
 箸でクリームをひとくち食べてみると(甘いから舌先で味わってみた)、ココナッツミルクの味がほんのりとして、旨い。肉につけて食べるのは、意表をついているけどね。
「甘さは、俺たちのエネルギーや。子どもの頃からみんな好きな味やろう。苦味とか、酸味は、学習しないと食べられない。酸味なんて、腐っていると脳は判断するし、苦味は毒と判断する」
「パクチーも、僕には複雑だ」
「肉と、甘いソースは誰でも旨い。でも、大人になると、こればっかり出てこられるとうんざりするで」
「北大には何をしに行ったんだ?」
「あそこの学食は旨いからね」
 佐々木は、チャーンビールを注文した。飲んでみると、シンハーより薄く感じた。僕たちは、シンハーが旨いに2票だ。

 余談だけど、子どもの頃、祖母の家に遊びに行ったとき、喉が渇いて冷蔵庫にある水を飲んだことがある。コップに冷えた水がいっぱいあったからだ(いかにも飲んでくれってばかりに)。あー水だ。と、僕が飲んだら、日本酒だった。すぐさま僕ははき出した。
 腐った水だと感じたからだ。
 子どもには、酒は毒だったり、腐った水だったりするのだと、今でも思っている。それきり、確かめずに、何かを飲むことはしなくなった。
 僕は、学習したのである。
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「オヤジになっても、初めて食べるものは多い。とはいえ、俺たちは経験で乗り越えられる」
 佐々木は、ポークステーキにバナナ・ピーナツクリームをたっぷり乗せて食べ、チャーンビールを飲んだ。
「チャーンビールはいまひとるかな」
「高校の時、ラジオのクイズで当たった高級中華覚えているか?」と、僕が云った。
 ホテルの中華料理10人前が当たったのだ。ひとり2万円のコースだったと思う。腹を減らせた17才の男子高校生が10人、ジュースを飲みながら食べたのである。
「最初の前菜で、俺たちは腹一杯になって食えなくなった」と、佐々木が遠い目をして云った。
「そうそう、檜垣くんが、dの料理もラーメンの十倍美味しいって、美人の店員に云ってなんだか恥ずかしかったことも」
 僕たちは食べきれなかった料理を持ち帰るという知恵も無かった、だから必死に食べた。もうダメだ死ぬ。と思ったら、最後にデザートで大学芋が出たんだ。
「あれは、きつかったな」と、佐々木が云った。
「でも、旨かった」
 なんて店だったのか。後で聞いても誰も覚えていなかった。
「あの時は、初めて食べる料理ばかりだったけど、どれも素敵に旨かったな」と、佐々木が云った。
 僕たちの記憶の中にしか残っていない料理をいつか探し出したいと、いまもで思っている。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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タイ食堂 みうら屋
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食道街1F
電話 06ー6361ー0081
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 11時30分から23時30分
定休日 無休
ひとり2千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
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土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
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全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

梅田『松葉』(大阪)タイガー&ドラゴン。

どっちが虎で、龍?IMG_2033

 京橋『松井』と梅田『松葉』が、僕の中では、二度づけ禁止の串カツ店では双璧である。いわば、タイガー&ドラゴン。どっちが虎かはわからないけど。

 串揚げ店では、有名どころに新世界の『だるま』とか『横綱』があるけど、こっちは双璧というより、みんな仲良く龍である。

 いつ来ても新梅田食道街は、迷路だ。お目当ては、松葉の串カツなんだけど、うろうろ彷徨うことになる。彷徨うのも、また、楽しである。
 あったあったと、店に入ると人でいっぱいだった。
 京橋の松井の場合、迷う儀式などなく、客でいっぱいかどうかだって、外から一目瞭然だ。客層も、松葉はカタギで松井はわけありのように思える。
 場所柄、松葉はOLやサラリーマンが、ちょっと寄って飲むイメージである。カタギじゃなさそうな人もいるけどね。
 生ビールと串カツを2、3注文する。
 隣では、若いOLがひとりでウーロン茶を飲みながら、串カツを食べていた。
 そんな客を散見するのも、松井とは違うように思う。
IMG_2038
 余談だけど、クレイジーケンバンドの『タイガー&ドラゴン』を聴くと、横浜で暮らしていた20代の頃をありありと思い出す。
 JR横須賀線の田浦駅を過ぎたあたりのトンネルを抜けると、海が見える。僕は、大学のガールフレンドと、黒のアルト・ツインカムで江ノ島に向かっていた。
 のつもりだったけど、そのままどんつきの三笠公園で行き止まりだった。今みたいに、カーナビなんかない時代である。
「絶対、迷ってるよぉ」と、ガールフレンドが助手席で云った。
「戦艦三笠があるから見てみよう」と、バツが悪い僕は云った。
 雲ひとつない初夏の青空が広がっていたように思う。
 クルマを降りて少し歩くと、
 意外と小ぶりなグレーの戦艦が、ひっそりと佇んでいた。日露戦争では、連合艦隊の旗艦だった船である。
 僕は、戦艦三笠を見上げながら、
「ここには二度と来ないだろうな」と思っていた。根拠はないのだけど、確かにあれ以来、訪れていない。
IMG_2043
 せんべろ屋を探しながら彷徨う新梅田食堂街は、何かのゲームのようだ。かくれんぼとか、鬼ごっことか。迷うゲーム。
 僕が方向音痴ってのもあるけど、たぶん、みんなそんな風に思って彷徨うのを楽しんでるんじゃないか。
 僕はビールを飲みながら、公園に佇む戦艦三笠を思い出していた。あの娘、いま、どうしてるんだろう?
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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松葉総本店
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食道街1F
電話 06−6312−6615
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 14時から22時(月から金)
   12時から22時(土)
   11時30分から21時30分(日)
   12時から21時30分(祝)
定休日 1月1日から3日
千円ちょっとでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
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         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

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撮影 田原慎一

梅田『しおや』(大阪)ニューヨークの中国人。

酔えば、バイリンガル。IMG_2044

 迷路のような新梅田食道街に迷い込んだ。
 むしろ、迷うのが楽しい。
 串揚げ屋、中華、ステーキ、ソーセージとビールと、世界の食文化が狭い洞窟にひしめき合い、ぐつぐつと煮える食の坩堝(るつぼ)のように思えた。

 こんな店ができたんだ。と、僕は立ち食いの寿司屋に入った。
 『しおや』である。
 ここの客は、常連というより、会社帰りにちょっと寄って腹ごしらえをしているように見えた。江戸時代に、ちょっとつまむ屋台の寿司屋が、こんな感じなのかもしれない。
 ハシゴをして、いささか酔ったようだった。生ビールを飲んで、酔いを覚ますくらいに。
 カップルが、僕の隣に入って来た。
 一見して、外国人だと分かる。30代前半くらいで、男性は銀縁の眼鏡を掛けている。チノパンとチェックの上品なシャツを着ていた。大学の研究室にでもいそうなタイプだ。女性は、地味だけどシンプルな淡いブルーのワンピースだ。歩きやすそうなローヒールを履いていた。おそらくアジア、中国人かも。
 彼らは、まず、お茶を頼んだ。大きな湯飲みに、緑茶が注がれる。
 中国の人は、アルコールではなく、お茶で食事をするのをよく見かける。
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(以下、会話は英語で)
「こんにちは、中国から来たの?」と、僕が尋ねた。
「いや、ニューヨークから来たんだ。二週間ほど、日本で観光だよ」と、男性が言った。
「僕は、オオシ。よろしく」と、握手をした。
「私は、シャンドン。彼女は、妻です」と、シャンドンが云った。
 奥さんとも握手をする。中国からアメリカに移住した、裕福な夫婦なのかもしれない。奥さんは、細身で上品な感じを受けた。
「どこをまわったの?」
 僕が尋ねると、シャンドンはiPhoneをポケットから出して、撮影した写真を見せてくれた。ディズニーランド、どこかのホテル、どこかの日本庭園、どこかのホテルから見た景色・・・。
「明日、帰るんです。今夜は、大阪を楽しみたい」と、奥さんが云った。

 僕は、英語が話せないのだけど、酔うとなぜかスルスルと簡単な会話ができる。
 何年か前、世界遺産の白川郷に行ったときも、そうだった。
 オーストラリアから来たバックパッカーのチャーリー(確かそんな名前だった)と、居酒屋で英語で会話をしていて驚いたのを覚えてる。

「さっきまで名古屋城を見てきたんだ」と、チャーリーが云った。
「今夜は、ゆっくり過ごせるの?」
「いや、これから京都に行く」
 チャーリーにとって、名古屋から白川郷、京都はちょっとそこまでという距離らしい。 オーストラリアは広いからなぁ、と僕は思った。
 僕は、根室に親戚がいるんだけど、東京に来たついでに、大阪に顔を出しに来ることがある。そんな感覚なのだろう。
IMG_2051
「日本人はシャイで、こうやって話しが出来たのは初めてです」と、シャンドンが云った。
「僕は、酔うとフランクなんだ」
「お寿司って、美味しい」と、奥さんがマグロを食べて云った。
「ニューヨークにも寿司屋あるよね」と、僕が尋ねると、
「素敵な店がたくさんあるわ」と、奥さんが云った。
 でも、本場の寿司を食べるのなら、ここぢゃないと思うよ。『しおや』美味しいけど。
「これから、どこに?」と、僕は訊いてみた。
「ヨドバシカメラに行くんだ」と、シャンドンが云った。
 なるほど、と僕は納得をする。
「素敵な買い物ができるといいね」
「ありがとう。楽しみ」と、奥さんが云った。
 僕はビールを飲み干し、お勘定をしてもらった。僕は、酔っている間だけ、バイリンガルになる。英語上戸ってのがあるのか?
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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しおや 寿司店 新梅田食道街
住所 大阪府大阪市北区角田町9−28
電話 06−6366−0246
交通 梅田駅からすぐ
営業 11時30分から23時
定休日 無休
千円とすこしでした。
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日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
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撮影 田原慎一
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