行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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埼玉せんべろ探検隊

浦和『金太郎』(埼玉)カマンベールもんじゃがすごい。

北の国から。12270413_925251044234094_1176460071_n

「埼玉でごめん」
「なんも。東京も埼玉も内地だから」
「内地って・・・」
 根室から、従姉妹のはるぴょんが来ていた。東京のもんじゃ焼きが食べたいと云うからじゃぁ『金太郎』だな、と連れてきたのだ。
 だって美味しいんだもん。近いしね。
「かおりんに、前に会ったのはいつだっけ?」
 はるぴょんのアニメ声を久しぶりに聴くと懐かしい。長い髪をショートカットにしていたけど、変わってないなぁ、と声を聞きながら思った。
 子どもの頃と、同じ声なんだよ。
「忘れちゃった。一昨年、おじさんの法事だっけ。お寺がむちゃくちゃ寒かった二月の」
「そんなに経ってたっけ」
 ここ? と、もんじゃと書いてある暖簾を見てはるぴょんが云った。
「初めて食べるから、わくわくするよ」
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「いらっしゃい」
 店員の大久保さんが元気よく云った。赤いTシャツを着てタオルで鉢巻きをしている。俳優にこんな人いたな、と会う度に思っているけど、思い出せないでいる。誰だっけ?
「従姉妹のはるちゃん」
「美人が来ると、店が華やぐなぁ」

 同じTシャツを着たおじさんが云った。眼鏡をかけた人なつこそうな人だ。笑顔がいい。
「うちの専務なんです」と、大久保さんが云った。

「東京の人は、口がうまいから」と訛ながら、はるぴょんがぺこりとお辞儀をした。
「ここ埼玉だから」
「おんなじ内地っしょ」
 子どもの頃、根室に遊びに行ったわたしのことを内地の友だちって紹介してたのを思い出していた。内地かい。と、みんな驚いたように反応するのが不思議だった。
「彼女、根室から遊びに来てるんです」
「もんじゃ焼きは根室にはないの?」と、大久保さんが訊いた。
「なんにもないです」と、はるぴょんが云った。
 なんにもないことないだろう。
 いつものやつ焼いてください。と、注文した。それと、ビールもふたつ。
「カマンベールまるごと焼くもんじゃが美味しいの」
「ケンタッキーがないのよ」
 なんのこと? と、はるぴょんの顔を見た。
「根室にないの。中標津とか、釧路に行く人がいたら、お土産に頼んだりするんだよ」
 そうなのか。ケンタを特別なお土産にと思ったことなかった。
 まぁ、まずはビールで乾杯だ。
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 カマンベールもんじゃがやってきた。
 ごろんとカマンベールがのっかっている。すごいのだ。
「これこれ」と、わたしは頬を緩ませながら云った。
 早速、大久保さんがじゃじゃっと混ぜて、熱い鉄板に乗せてくれる。もんじゃの焼ける香りが漂う。なんだか嬉しい。
「焦げたとこが美味しいの」と、わたしが云った。
「街中が暖かいねぇ。根室じゃ、8月にストーブ焚くときがあるんだよ」
「プーチンは元気?」と、訊いた。
 はるぴょんが飼っている白い犬だ。ムツゴロウの動物大国から、貰ってきた由緒正しい雑種らしい。
「カラスからかわれて可愛そうなの」
 どういうこと?
 カオリは首を傾げて、はるぴょんを見た。ビールをひとくち飲む。喉が渇いているから旨い。泡まで美味しい。
 カマンベールが溶けて、いい具合。食べられそうかな?
 心の声が聞こえたのか、
「もう、食べられるよ」と、大久保さんが云った。
 楽しみ、とはるぴょんが小さなヘラでもんじゃをすくう。美味しい! と、アニメ声が響いた。で
 しょう? と、わたしも焦げたところをすくって一口食べた。おお、美味。
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「カラスが二匹やってきて、片方がプーチンの注意を引くの。それで、片方がえさ入れを咥えて逃げるんだよ。最後に、えさ入れがプーチンの小屋の上に置いたりもするんだよ。やつらは、毎日プーチンをからかいに来るの」
 犬がカラスにからかわれてるんだ・・・。
「でも、仲のいい友だちもいるんだよ」
「友だち?」
「マリーってお隣さんの柴犬。プーチンと散歩に行くと、マリーもついてくるんだ」
「マリーの飼い主と一緒に?」
「マリーは、勝手に来るから飼い主はいないわ」
「放し飼いなの?」
「そういうわけじゃないけど、毎日、家を抜け出してくるみたい」
「変なの」

 何年か前、はるぴょんの家に遊びに云ったことがあった。
 真冬の根室で流氷を見に行った時のことだ。プーチンは氷のように堅い雪の上で寝ていたのを覚えている。プーチンが寝る場所だけ、氷が溶けて地面がうっすらと見えていた。
 浦和の室内犬だったら、たちまち死んでしまいそうだ。服を着て散歩している犬を見かけると、いつも氷の上で寝ているプーチンを思い出す。
「これからどこに行く予定?」
「ディズニーランドと、そうねぇ大阪にも寄りたいな」
「大阪遠いよ」
「そうかな。たこ焼き食べたいし」
 普通、東京のついでに大阪に寄ったりはしない。はるぴょんの距離感は、わたしとは違うらしい。
「来年は、根室に来なよ」
「じゃぁ、ケンタッキー持って」
「ミスタードーナツもね」
 わたしたちは、笑いながらビールのお代わりをした。
<取材 かおりん@もつ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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金太郎
住所 埼玉県さいたま市浦和区仲町2ー3ー4
電話 048ー822ー8833
交通 浦和駅西口より徒歩6分
営業 11時30分から14時 17時から23時30分(月から金)
   11時30から23時30分(土・日・祝)
定休日 無休
ひとり2千円くらい。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

浦和『ディージャイ』(埼玉)タイ! 辛い! 旨い!

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 時々、タイが恋しくなる。
 カオリは、大好きなプーケットを思い出しながら電車に揺られていた。いますぐ、トゥクトゥクに乗って食事に繰り出したい。電車の窓から、街のネオンをぼんやり眺めながら、賑やかなカタの街を恋しく思った。

 今夜はタイ料理が食べたいな。
 カオリは、浦和にあるタイ料理の店で食事をすることにした。そこはタイの街に紛れ込んだような料理店だった。

 浦和の駅からしばらく歩くと『ディージャイ』の看板が見えた。懐かしいタイ語で、何か書いてある。店の名前だろうか?
 ひとりだと、いろいろタイ料理が楽しめない。近所に住む妹のカナを呼ぼう。と思い、メールをすると、すぐ行く。と、カナから返事が戻ってきた。
 カオリは「ふたり」と、タイ人の店員に注げ、席をとった。タイのレモンサワーを注文する。これがタイ料理に合うのだ。
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 辺りが急に騒がしくなってきた。英語とタイ語が飛び交っている。外国人のお客さんが入ってきたらしい。

「まるで、カタにいるみたい」と、カオリは思った。
 隣のテーブルに白人のカップルが座って、ピザを食べていた。赤ワインがふたつテーブルに並んでいる。
 ピザなんかあったっけ? 
 パスタの匂い、ピザが焦げる匂いが、店内に漂っていた。なんか変! カオリはそう思い、店を見回すと、カタの街にあったイタリア料理の店に座っていた。確か、カッパニーナという店だったと思う。
 寒いからと被ってた帽子が消えて、フレアのミニスカートにTシャツという真夏の格好になっていた。
 大きなサラダとピザ、と、赤ワインを店員が運んできた。
「ひとりなの?」と、ウィンクをしながら若い男の店員が云った。
 注文したっけ? お金は? と、カオリは慌てて鞄をさぐると財布が出てきた。 開けると米ドルとバーツと円が混じって入っていて、ほっとする。これだけあれば十分だろう。
 混乱していた。
 さっきまで浦和の『ディージャイ』で、カオリは妹を待っていた。いや、本当はカタの街に来ている? 寝ぼけているか、なにかの勘違いなんじゃないか。と、カオリは、落ち着いて考えた。夢遊病とか・・・。
 パスタを食べ、ワインをひとくち飲んだ。これは、幻じゃない。でも、自分が信じられなくなっていた。絶対、浦和にいた。いや、そっちが夢なのかもしれない・・・。
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「おねぇちゃん」と、後ろからカナの声がした。
 振り向くと、カナの笑顔があった。
「急に呼び出すから、慌てちゃったよ」と、カナが云った。
 もとに戻っていた。頭に手を当てると、帽子も被っている。
「あたし、変じゃなかった?」と、カオリが訊いた。
「え、ぼんやりしてたけど、べつに」と、カナが云った。
 生春巻きとイカのガーリック炒めが来た。いつの間に注文したんだろう? 
「生春巻きって、お酒のおつまみにぴったりだよね」と、カナが云った。
「カッパニーナ覚えてる?」と、カオリが訊いた。
「カタの?」
「そう」
「お土産屋が並んだ狭い路地にあるイタメシだ。生ハムのメロンがでかかったねぇ」
「いま、そこに行ってたの」と、カオリが云った。
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 カナが店員に、イカのガーリック炒めにパクチーをもっとかけてほしい。と、頼んだ。
「今日は、パクチーを沢山仕入れられませんでしたので」と、やんわりと断られる。
「次は、パクチー持込だな」とカナが云った。
 好物なのだ。
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「辛い麺が食べたい」と、カナが云った。
「タオル持ってきた?」と、カオリが訊いた。
 カナが、頷きながらビールを飲む。
「ハンカチじゃなくて、タオルだよね」と、カナが笑いながら云った。
「信じてくれないかもしれないけど、プーケットに飛んでたの」と、カオリが云った。カナは相変わらずスルーしている。

 テーブルに、スプーンがひとつ光っていた。
 カオリがカッパリーナで使っていたパスタのスプーンだった。
<取材 カオリン@もつ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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ディージャイ
住所 埼玉県さいたま市浦和区仲町1ー10ー11 エソールビル1F
電話 048ー709ー9898
交通 JR浦和駅西口から徒歩7分
営業 11時30分から15時 17時30分から23時30分(月・水・土)
   11時30分から15時 17時30分から22時30分(日・祝)
定休日 火曜日
ひとり二千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
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【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

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撮影 田原慎一

浦和『弁慶』(埼玉)セーラー服で焼き鳥屋。

「高校の帰り道、よく、屋台の焼き鳥屋に11938915_893721944053671_1443789981_n行ったんだ」

「立ち飲み?」と、ユミが訊いた。
「飲まないよぉ。みんなで立って焼き鳥。ひと串とかふた串とか」と、カオリが云った。
「セーラー服で?」
「セーラー服で」

 そう云うと、ユミがもんじゃの上にカマンベールチーズを置いた。チーズともんじゃの焦げた香りが広がる。こんなにチーズを乗っけたら、儲からないんじゃないかとカオリは思った。カオリは、ユミのバイト先に来ていて、今夜は、ユミと食事をする約束をしている。
 カオリはウーロン茶を飲みながら、もんじゃが焦げる鉄板をぼんやり眺めていた。

「駅向こうに男子校があって、美味しい焼き鳥屋が、そっち側だったんだ。だから、行きづらくさぁ」と、カオリが云った。
「男の子も食べてた?」
「男の子たちは、ドーナツ屋に集まってた」
「逆なんじゃない」
「そーかもね」
「浦和の美味しい焼き鳥屋ってどこ?」とカオリが訊くと、
「弁慶かな」と、ユミがすかさず答えた。
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 赤い提灯がぶら下がる弁慶の入り口をくぐると、中は客でいっぱい。
 せんべろっぽい雰囲気も漂ってよさそう、とカオリは思った。
「ご予約は?」と、おばさんが訊いた。
「してません」と、ユミが云うと、
 おばさんは一瞬困った顔をしてから、
「いまなら、丁度、空いてるよ」と、席に案内してくれた。
 予約をした方がいいらしい。
 座ると、カラダが誰かにぶつかりそうな混雑具合だ(実際、おばさんとぶつかった)。
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 とりあえず、キウイサワーで乾杯。
「キウイいっぱいでしょう?」と、ユミが云った。
 甘くなく美味しい。
 ポテトサラダのトマトを食べてみると、とっても懐かしい味がした。
「トマトが甘い」とカオリが云うと、
「家で作ってるトマトだからね。キュウリもラッキョウも自家製さ」
 と、おばちゃんは云うと、焼き鳥の皿をトンとテーブルに置いた。
「ラッキョウも食べてみるかい」とおばちゃんが云うので、
 ラッキョウも注文する。
「このポテトサラダ、わたしの実家の味がする」と、ユミが云った。
 マカロニとリンゴが入ったポテサラだ。
 弁慶の家庭菜園で育てているものばかりだという。家族で経営してて、家庭菜園かぁ。と、カオリは思った。
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「宮古島が懐かしいね」と、ユミが云った。
 ユミは、宮古島出身だった。カオリも宮古島にしばらく移住していたから、島話がつきない。
「オトーリやろうか?」と、ユミが云った。
 少し酔っているらしい。
「むりむり、オトーリグラスないし」
「そっかぁ」と、ユミは残念そうに云った。

 オトーリは、宮古島のお酒の席で行われる風習だ。親になった人は、何を話しても云い。話し終わると親は聞いていた子に酒を注ぐ、飲み干すと杯を親に返し次の人に親が注ぐ、一周すると次の親が決まり、また、口上を述べる。それを延々繰り返すのである。

 焼き鳥を食べてみた。
「旨いかい?」と、常連らしいおじさんが声をかけてきた。
 カオリが頷くと、
「浦和じゃ、ここが一番だ」と、おじさんが云った。
 なぜか、誇らしげである。
 わたしかセーラー服で食べてたのって、何年前だろう?
 甘辛い味噌だれが、あの時の味に似ていた。
 焼き鳥屋台は、まだ、あるんだろうか・・・。
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「わたし、宮古島に好きな人がいたの」と、カオリが云った。
「いきなり、親なの」
「詳しく云うとばれちゃうけど、自然観察とかダイビングとかやっていた人で、ある団体に嫌われてて、島にいられなくなったんだ。私にもなにも云わずに消えてしまったんだよ」
「逃げた?」と、ユミがキウイサワーを飲んで云った。
「そうとも云う」
 カオリは、キウイサワーを飲み干して、生ビールを頼んだ。
「今度、島でオトーリやろうね」と、ユミが笑った。
 潮っぽい草いきれ、真っ白な砂浜、酔っ払いがゴロゴロと道路に寝転がる島。
 長い間、戻ってないな。と、カオリは思った。
 そう、戻っていない。つい、そう思った。
 こころは、まだ、島にあるのかもしれない。ビールを飲みながら、カオリは島で好きだった人を思い出していた。
<取材 かおりん@もつ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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弁慶
住所 埼玉県さいたま市浦和区仲町2ー15ー9
電話 048ー831ー0915
交通 浦和駅から徒歩8分くらい
営業 17時から23時
定休日 日曜日 第二土曜日
ひとり二千円とちょっとでした。せんべろもいけます。
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浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
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全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
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土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

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撮影 田原慎一

浦和『田子商店』(埼玉)ふぞろいの林檎たち。

浦和女子会は、楽し。11805655_875554695870396_814099280_n

 サヨコとまゆゆに会うと、たちまち学生時代の”あの頃”に戻ることができる。
 最近、ふさぎ込みがちだったカオリは、みんなと会うのを心待ちにしていた。
 小学生の息子も素直でいい子だ。職場結婚したパートナーは、いつも優しい。もう、10年以上一緒にいる。特に、トラブルがあるわけじゃない。
 喧嘩をすると2、3日口をきかないことがあるけど、みんなそんなものだろうとカオリは思っている。でも、ちょっぴり鬱だった。

 浦和駅につくとサヨコが先に来て待っていた。
 紺の花柄をあしらったワンピースと服に合わせた紺のコルク・サンダルを履いていた。カオリが手を振ると、ニッコリと笑って手を振り返した。
「久しぶり」
 サヨコの声を聞いて、カオリはほっとした。
 サヨコのiPhoneに、メールが来た。
「まゆゆ遅れるみたい。先に行っててだって」と、サヨコが云った。
「相変わらずだね」とカオリが云うと、
「いつものことさぁ」と、サヨコが云った。
 まゆゆは、たいてい遅れてやってくる。
「浦和なのに、海の家みたい」
 『鮮魚浜焼』と書かれた大きな看板を見上げて、カオリが云った。

 店に入ると、元気な女性店員が迎えてくれた。
「前に会ったことありますか?」と店員が訊くと、
「初めてだと思います」と、カオリが云った。
 店員につられて、カオリもハキハキとした声になっていた。
「あれ、あたしの勘違いでした。ごゆっくり」と、店員が云った。
 といっても、ビールケースに板を一枚置いただけの椅子である。長く座ると、おしりが痛くなりそう、とカオリは思った。
 席に着くと、サヨコが生ビールを2つ注文した。
 サヨコはお酒が大好きで、彼女もまた浦和女子会を楽しみにしていた。
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「職場に真っ黒な人がいてさぁ」と、カオリが云った。
 カオリは、東京の企業に勤めていた。
「イケメン?」
「そうじゃなくて、黒いんだよ。で、どうしてそんなに黒いの? って訊いてみたの」
「日焼けサロンとか?」
「自宅の庭で焼いているんだって、いまどき、紫外線浴びるなんてありえない」
「若いの?」
「太ったおじさん」
「ありえねー」
 生ビールが来た。ふたりで乾杯である。
「今日って、日本酒対決だよね」と、カオリが云った。
 サヨコが企画した対決だ。
「ビールはチェーサーだよ」と、サヨコがビールを飲んで云った。

 しばらくすると、
「久しぶり〜」と、まゆゆが来た。
 可愛いチェックのワンピースに、ピンクのスエードサンダル。ピンクは、彼女のトレードマークだった。学生時代と変わらない渚のバルコニーで待っていそうな雰囲気である。
 生ビールを追加し、サザエの壺焼きと、カンパチとマグロの刺身を注文した。
 サヨコは、早速、南部美人を。
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「菊池くん覚えてる?」と、まゆゆが云った。
「早稲田のラグビー部の菊池くん?」と、カオリが云った。
「ラグビー同好会だよ」
 まゆゆが訂正した。そう云えば、学生時代も同じように訂正していたのを、カオリは思い出した。つき合ってたんだと思う。たぶん。
 サザエの壺焼きが来た。磯のいい香りが漂う。まだ、熱々で触ると火傷しそうだ。イカ焼きも追加する。

「その菊池くんが、東京に来たからこの間、会ったんだ」と、まゆゆが云った。
「菊池くんて、徳島で公務員やってるんじゃなかった?」と、カオリが云った。
「かっこよかったよね。名前はなんだっけ?」と、サヨコが尋ねた。
「ユウタよ」と、まゆゆが云った。
「ちゃんと勝負ブラつけてた?」と、カオリが冗談めかして云った。
「そんなんじゃないよ。でもさ、ユウタ、田舎のおじさんになってたんだ」
 まゆゆはビールをひとくち飲んで云った。首をいくぶん傾げている。

「ガッカリ?」と、サヨコが云った。
「話しててつまんないの。こんな人だっけ? って」
「向こうだって、思ってるかもしれないじゃない」と、サヨコが云った。
「そりゃそーだけどさ、なんだか寂しいなぁって」と、まゆゆが云った。
 カオリとサヨコには、早稲田の学生だった菊池くんしか思い浮かばなかった。爽やかな80年代の男子大学生の菊池くんだ。そういえば、菊池くんも陽に焼けて真っ黒だったな。と、カオリは思い出していた。
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「カオリとサヨコの話しもしたよ。そしたら、また、みんなで会おうって」
「わたしはいいわ」と、サヨコが云った。
「結婚してるの?」とカオリが訊いた。
 バツイチらしい。
「あの頃の菊池くんなら会いたいけど、いまの"菊池さん"は、見ない方がよさそうね」とサヨコが云った。
 彼女は、いつもシニカルだった。
 そこが、彼女の魅力だったりする。自分にないものを補いながら、私たちはバランスよくつき合ってる。カオリは、そんな風に思っていた。
 学生時代の友だちの噂話をし、人には云えないよもやま話を一通りすると、カオリは心がいくぶん晴れたように思った。

 日本酒対決というほど飲まなかったけど、お盆明けにまた対決しよう、と約束して3人は店をでた。
 風のない、星がキレイな夜だった。
<取材 浦和せんべろ探検隊 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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田子商店
住所 埼玉県さいたま市南区沼影1−6−19
電話 048−837−9552
交通 JR埼京線武蔵浦和駅から徒歩2分
   JR武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩2分
営業 17時から翌1時(月から木・日)
   17時から翌3時(金・土)
定休日 無休
ひとり2千円とちょっと
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

浦和『命薬(ぬちぐすい)』(埼玉)テーゲー・テーゲー。

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「島ラッキョウの天ぷらがヤバイの。軽く塩もみしてるのか、塩漬けしてるのか、ほんのり塩味なの」と、カオリが云った。

 カオリと会うのは久しぶりだった。
 ハイランドマスターズという大学のサークルにいた時は、しょっちゅう遊んでたけど、卒業したら疎遠になった。みんなともね。
 ハイランドマスターズは、テニスをしたり旅行に行ったりする、他愛もないサークルだ。
 でも、ちゃんとみんなそこで青春してたんだ。おそろいのダサイスタジャン作ったりして。
 いいことも、もちろん嫌なこともあったけどね。

「ここの島ラッキョウって、騙されたような美味しさなんだよ」と、カオリが続けた。
「よく分からないな」と僕が云うと、
「わかんないから、騙されたようななの」と、カオリが云った。
 カオリは、宮古島で暮らしたことがある。突然、勤めていた会社を辞めて島に移住して、みんなを驚かせた。びっくりだよ。
 オンボロのユーノスロードスターに乗りながら、宮古島には、そう10年くらい暮らしていたんだ。島の建築会社で働いていたように思う。ここでもいろいろあったらしい。
 いいことも、もちろん嫌なことも。
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 看板娘のアヤちゃんが、ゴーヤ&ヤーコンの泡盛割と、オリオンビールを持ってきた。
「ちょっと苦いの」と、ひとくち泡盛を飲んでカオリが云った。
「そう云いながら、いつも注文するんですよ。きれっきれの苦いヤツ」
 アヤちゃんはそう云うと、伝票を手にした。
 僕たちは、アヤちゃんに珍味豆腐三種盛りと、ラフテー、ゴーヤチャンプルを注文する。
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 一度、宮古島から大きな貝が送られてきたことがあるんだ。
 中で金魚が飼えそうなくらいの貝だ。
「海岸で拾ったんだけど、大きいでしょう?」と、カオリの手紙が添えてあった。
 そして重い。すごく。いまでも、庭の片隅にある(野良猫の水飲み場になってる)。

「宮古島には、パートゥーンってやつがいるのよ」
 そう云うと、カオリはオリオンビールを注文した。11737085_867480960011103_1495212052_n
「動物?」
「島の精霊なの。島にはパートゥーンの気配を感じる場所があるんだよ」
「本当に?」
「本当に」
 オリオンビールをグラスに注ぎながら、カオリが云った。
 案外、真剣な顔である。
「庭の椅子でウトウトしてた時、目の前にパートゥーンが3人いたの」
「そりゃ、酔っ払ってたからじゃない」
「悪い! でも気がついたら、顔にドロがついてて、やっぱりって。ドロの精霊だからさ」
 えーっと、相当、酔っていたのだと思うよ。ドロくらいつくだろう。

 この店に来ると、カオリは落ち着くらしい。浦和でいちばん近い沖縄だからかもしれない。浦和せんべろ探検も続く。

<取材 かおりん@もつ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>

※命薬(ぬちぐすい) 食べ物、美味しい料理のこと。長寿の薬。
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命薬(ぬちぐすい)
住所 埼玉県さいたま市浦和区高砂町6−2
電話 048−885−1251
交通 浦和駅から徒歩3分
営業 ランチ 月から金11時30分から14時(祝日を除く)
   月から木・日 17時から24時
   金・土・祝日前 17時から翌1時
定休日 無休
ひとり2千円ちょいくらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 さなえ@婚活中 みーやん@ギタリスト えま@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

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