行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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寝屋川

香里園『鶏おう』(大阪)幽霊チサトのやり残し。

せんべろ手帳。IMG_1919

 僕がパソコンをパタパタと叩いていると、ガタっと階下で音がした。
 いつものように猫がサッシを開けてくれと云ってるのかな、と、僕は仕事を中断して、下に降りてみた。
 ガサイレと僕が呼ぶ猫が、たまに音をたてるのだ。
 シンと静まりかえったリビングには、誰もいない。
「誰かいる?」と、僕は独り言のように声をかけた。
「こんばんは」
 声のする方を見ると、チサトがキッチンのテーブルに座っていた。
 リボンのついたベージュのフェルトハッとをかぶり、紺のジャケットを着ている。
 ガタっと、また、音がした。
「猫が来てるみたいよ」と、チサトが云った。
「ガサイレだよ。きっとお腹が減ってるんだ」
「飼い猫?」
「ガサイレは、ハシイさんとこの猫だよ」
 僕は、冷蔵庫からチクワを一本出して、縁側に来ているガサイレにあげた。ガサイレは、チクワを咥えるとどこかへ消えてしまった。
「なんで、ここにいるんだ」
「まだ、やりたりないんだよ」

「葬式に行ったよ」
 チサトは、一ヶ月前に死んでいた。聞くところによると、アルバイトの昼休みが終わったら、倒れて息をしていなかったらしい。死因は、不明だという。
 眠っているような、今にも起きてきそうな死に顔をしていたのを覚えている。自分が死んだことに気づいていないように・・・。
「なんで怖がらないの?」
「キッチンに座って『こんにちは、猫が来てるみたいよ』って、自然に云われたら怖がる間もないよ」
 足だってあるし、幽霊のように見えなかった。
「成仏ってやつは、しないの?」
「知らないわ」
「やり残したことがあるとか?」
「そうねぇ、まず、飲みに行こう
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 チサトが宮崎地鶏に来たことがない、というので『鶏おう』に行くことにした。
 やり残したことが、宮崎地鶏に行くこととは思えないけど、やり残した幽霊がそう云うのだから仕方が無い。
「僕以外の人には、見えないの?」
「店に行けば分かるんじゃない」
 そういうものかと思い、一緒に、店に入ってみた。
「お一人様ですか?」と、店員が云った。
「やっぱり見えないんだ」
「え? どうしました?」と、店員が云った。
 チサトはさっさと、空いてる席に座っている。
「もう一人くるから、ここで」と僕は云い、チサトの前に座った。
「なんか変な感じだ」
「宮崎だから、芋焼酎ね。それと、鳥刺し」と、チサトが云った。
 幽霊が食べられると思えないけど、芋焼酎ふたつと鳥刺しを注文した。
 芋ロックが来た。
「陰膳ってやつだな」と、僕が云うと
「何それ?」と、チサトが焼酎を一口飲んで云った。
「手品みたいだな。他の人には、どう見えてるんだろう」
「どうでも、いいじゃない」
 鳥刺しもぱくぱくと食べている。鳥刺しの幽霊(みたいなもの)を食べているのかもしれない。チサトが食べても鳥刺しは減らないみたいだから・・・。うまくは云えないけど。
IMG_1928
「せんべろ手帳ってのを作ろうって計画してたやんか。あたしの企画書も、とまってるでしょ。きっと、それがいけないんだわ」
 そーなのか?
 お代わりちょうだい。と、チサトが云うと女の子の店員が振り向いた。僕以外の人が、チサトに反応するのが妙だったが、霊感の強い店員なのかもしれない。
「芋ロック下さい」
 僕が繰り返すと店員が怪訝な顔をした。
 誰もいない席で、僕が独り言を呟いて、二人分頼んでる。端から見ると気味悪いんじゃないか。

「幽霊の客に慣れてないみたいやね」
「誰だって慣れてないよ」
「事務所で気が済むまで、仕事の続きをしたい」
「そーすれば成仏するのか?」
「知らないわよ」
 そう云うと、チサトは芋ロック(の霊)を飲み干した。
「あたし海外旅行にも行ってないし、ゴルフもしてないし」
「それ全部しないと成仏できないなら、世の中、幽霊だらけだ」
「そうねぇ、あたしって変わった幽霊?」
 鳥刺しが来ると、チサトがさっと箸をつけた。
「美味しいわよ」

「お連れ様は、来られそうですか?」と、店員が訊いた。
「もう、来てるし」と、チサトが云った。
「来ないようです。これを飲んだら帰ります」
「なんか、そこに誰かいるようで・・・。すみません、変なこといって」
 分かる人もいるんだ。さっさと帰った方がよさそうだった。
「ロックお代わり」と、チサトが云った。
 酔っているようだった。幽霊も酔うらしい。
「芋お代わりですね」と、店員が云った。

「あー、そーです」と、僕が云った。彼女には、聞こえているんだ。
「ややこしいから黙っててくれ」と、僕はチサトに云った。
「すみません」と、店員がなぜかオドオドと謝った。
 面倒なことが始まりそうな気がしていた。
「もう、一軒行こう」と、チサトが先に外にでて僕を呼んでいた。幽霊に取り憑かれが男が死んでしまう牡丹灯籠を、僕は思い出していた。
 大丈夫なんだろうか? 俺。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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鶏おう
住所 大阪府寝屋川市香里新町7ー3
電話 072ー835ー3370
交通 京阪本線香里園駅から徒歩2分
営業 17時から翌1時(月から木・日) 17時から翌2時(金・土・祝日前)
定休日 不定休
ひとり? 二千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

香里園『希望』(大阪)ピンサロの隣、場末のせんべろ屋。

寝屋川には、希望がある。IMG_1638

 従兄弟のススムから電話があった。
「どこにいるの?」と、サナエが訊いた。
「希望って店」
「じゃぁ、店を出て駅まで来てよ。改札で待ってるから」
「お金がないんだ」
「いくら持ってるの?」
「ワンコイン」
「500円!」
「いや、100円」
 サナエがいなければ無銭飲食である。ススムに『希望』にいろと云って、サナエは急いで寝屋川に向かった。災いがやって来たような気分だった。
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 『希望』は、文字通り繁華街の外れの場末にあった。
 隣はピンク色の看板を掲げる風俗店だ。ススムがいなかったら、来ることもなさそうな場所だ。年期の入ったひさしに『居酒屋』と、大きく書いてある。これじゃぁ、希望じゃなく居酒屋って店名だと、サナエは思った。
「なんで、寝屋川におるねん」と、店に入るなりススムに云った。
 ススムは、4人がけのテーブルでひとりで飲んでいた。赤いディバックが椅子に置いてあり、ブルーのジャージにくたびれたスニーカーを履いている。ススムは、長崎の実家に住んでいるハズだが・・・。
「お金ねーのに、どうやってここに来れたの?」
「青春18切符が残ってたんだ」
 なんで、青春18切符なんや。どこが青春なんや。
「若くないのに、青春18切符をなんで使えるんだ。と、いま、思ったでしょう」
 ススムはビールを飲むと、得意げに云った。勘だけは鋭いのだ。
 金もないのに、よく平気でビール飲めるな。と思い、サナエも麦ロックを頼んだ。
 おっと、今考えたのもバレてる?
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「何歳だって使えるんだよ。魔法の切符なんだ。24時間乗り放題」
 鉄男かよ! どこまでも脳天気である。
「どうして大阪に来たん?」と、サナエはあきれて云った。
「お母さんと喧嘩してさ。いつまでもバンドやってどうするんだ。って、朝から鬼のように怒るんだよ。うるせーばかやろーって、云って・・・」
「当たり前だろ。40歳にもなって無職でバンドで一発当てるって云えば、おばさん怒るよ」
「だから、家出してきた。サナちゃんとこに泊めてよ」
「ありえねー」
 サナエは、長崎の叔母さんに電話をしてススムが大阪に来ていると伝えた。電話の向こうで「ごめんね。すぐ帰るようにするから」と、頭を下げている叔母さんの姿が見える。最悪だ。

「で、どうすんねん?」と、サナエは云った。
「オーディション受けたりするよ」
「ギターは? あては?」
「ない」
 ススムは、子どもの頃は可愛いかった。サナちゃん、サナちゃんって、いつも追いかけてきていたのを覚えている。でも、今は40で無職、独身のオッサンである。ないわー。
「サナちゃん、女優やってるんだって?」
「仕事もしてるぞ」
「僕も、劇団入れねーかな。ここのおばんざい旨いよ。サナちゃんも食えよ」
 100円しか持ってねーオヤジが何云ってんだ。馬鹿なの? 死ぬの? 
「着替えとかは?」
「ない」
 そう云うと、ススムは麦ロックと里芋の炊いたんを頼んだ。
「ディバックに何つめてんねん」とサナエが訊くと、
「JR時刻表と、漫画」と、ススムが云った。
 もはや、何も云う気にもなれなかった。
IMG_1643
「ここの店、希望って云うんだね。いまの、僕にぴったりだ」
「パンドラの箱を開けたら、一瞬にしてろくでもないものが飛び出してさ、希望だけが残ったっていうギリシャ神話知ってる?」
「それくらい知ってるよ。それがどうしたの?」
「箱に希望が残ったから、そいつに希望はないんだよ」
 へへへ、とススムが笑った。何が可笑しいんだろう?
「僕は、大器晩成なんだ」

 これ以上話しても無駄だと思った。サナエは仕方なく、ススムを部屋に泊めることにした。しょうがねぇじゃねーか。
「希望って店名がいいね。旨いしさ。また、来ようよ」と、ススムが云った。
 帰り道、ジャージ姿でのろのろついてくるススムを見て、
「死ねばいいのに」と、サナエは本気で思っていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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希望
住所 大阪府寝屋川市香里新町29ー13
電話 072ー832ー6032
交通 京阪本線香里園駅から徒歩2分
ひとり千円ちょいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
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撮影 田原慎一

香里園『フレッシュネスバーガー』(寝屋川)BRUTUSとハンバーガーとビール。

BURUTUSとかPOPEYEとか。151010_1827~002

 フレッシュネスバーガーでは、ビールが飲めるのがいい。
 ハンバーグも旨いけど、流れている空気がいい。80年代の日本人が憧れていたアメリカを感じる。その頃を思い出しながら、ハンバーガーをかじり雑誌を読んでビールを飲む。小幸福である。

 60年代、70年代って、何でもしっかり選ばないと自分らしい空間を作ることができなかった。気に入ったモノをそろえるには、お金も掛けなければならない。例えお金をかけたって、難しかったりもした。
 要するに、貧しかったのである。
 ところが80年代になると、若者はちょっとした工夫で心地よい音楽、ファッション、雑誌、食べ物、空間を手に入れることができるようになった。
 高度成長期も終わり、親たちが豊になったのだ。
 若者はみんな、得意になって自分の部屋を一変させたのが、80年代である。お金だってたいして掛からないしね。
 大滝詠一の曲がヒットしたのは、心地よい空間を音楽で空間を満たしたかったからだと思う。山下達郎も、松田聖子も、村上春樹、糸井重里も、YMOも、あの頃の空気感を演出する重要なアイテムだった。
 心地よい、未来がやってきたのである。
 雑誌なら、Hot-Dog PRESS、POPEYE、BRUTAUS、GORO。こうやって並べると、みんな横文字なんだと気づく。
 つまり、どこか日本人が考えるアメリカなんである。えーっと、つまりインチキのね。
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 そんなことを考えながら、フレッシュネスバーガーで、僕はビールを飲んでいた。
 少し離れた場所に、ヘッドホンをしながら髪の長いスーツを着た女性がノートにレポートのようなものを書いている。黒い大きなバッグを横に置いて、レポートに没頭していた。彼女のテーブルには、コーヒーがひとつ。
 僕は、時々、彼女をぼんやり眺めている。
 天井では、大きな扇風機の羽根がゆっくりと回っていた。香里園店は、駅ナカにあるから、電車からはき出された人通りが店内から見ることが出来た。でも、誰も入ってこない。商品が、いささか高いからかもしれない。
 僕は、雑誌ラックからBRUTUSを取ってきて、パラパラとめくりながらビールを飲んでいた。今月の特集は、日本のワインである。「日本のワインは今、まさに成熟期を迎え飲み頃です」と、キャプションが踊っている。mono magazineは、ミッドセンチュリーの家具の特集だった。
 どうやら、どちらも80年代を過ごした読者層向けの雑誌になっているらしい。 この店のターゲットも、そうなのかもしれない。
 つまり、僕がここに居て心地いいのは、ターゲットに入っているからなのだろう。
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 携帯が鳴った。
「いまどこにいる?」と、カメラマンの江藤くんだった。
「ハンバーガー屋でビール飲んでる」
「カラオケで盛り上がってるんだ。来いよ」
 携帯の向こうで、誰かが湘南乃風の『睡蓮花』を歌っているのが聞こえてきた。
 80年代から一気に、気分は平成である。なぜか、神経を逆なでされたような気がした。
「オマエを呼べって、みんなうるさいから俺が掛けてんだ。来いよ」
 そう云うと、江藤は電話を切った。どこでカラオケやっているのかも云わずに・・・。
 僕はビールを飲んで活字を読んでいたかった。レポートを書いていた女の子はいなくなり、代わりに若いサラリーマンが座って文庫本を読んでいた。
 携帯が鳴った。平成の江藤からだった。
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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フレッシュネスバーガー 香里園店
住所 大阪府寝屋川市香里南之町19ー1
電話 072ー837ー0921
交通 香里園駅
営業 7時から22時
定休日 無休
だいたいせんべろ。
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撮影 田原慎一

香里園『サクラサク』(大阪)昭和というよりも。

一目会ったその日から。IMG_3708

 女優サナエから電話がかかってきた。
「反省会だから、サクサクに集合」
「なんの反省会?」
「今日の見合いの反省会に決まってるだろ」
 そう云うと、サナエは電話を切った。

 10月は見合い強化月間とサナエが云っていたから、早速、何回か見合いをしたのだろう。どうなったのかな、と、僕は電車でサクサクに急いだ。
 着くと、カウンターに7人の男たちが立って並んで飲んでいた。オーナーのミヤちゃんと若い女の子の店員ふたりで、忙しそうだ。ふたりとも白シャツを着ていた。

 テーブルで座って、サナエはハートランドを飲んでいた。
 珍しく白シャツに紺のスカートである。黒いヒールは、下ろしたてのようだった。そのままサクサクのカウンターに入れそうなファッションである。
「上から下まで、買ったばかりに見えるよ」と僕が云うと、
「急いで見合いしてきたから、買ったばかり」と、サナエが云った。
 棚にある大きな紙袋に、着ていた服と靴が一式入っているらしい。
「まるで、逃亡犯みたいだ」
「うっせーよ」
 そう云うと、サナエはハートランドをひとくち飲んだ。
IMG_3719
 僕も、サナエと同じハートランドを頼む。
「なんで目玉焼き食べてるの?」と、僕が訊いた。
「昔、親父と母親がデートした時、ハムエッグを食べたっていってたのを思い出したんや。メニューにあったから、なんとなく昭和のハムエッグを食べたくなって。ほら、赤ウインナーもあるし、メニューが昭和や」と、サナエが云った。
 昭和といっても、僕にはわたせせいぞうの昭和に見えた。なんとなく80年代の空気を感じる。

「見合いどうやったん?」
「それ、聞くの? 聞きたいの?」
「云わなくていい」
「眠たくなったんや。相手の会話が、ものすごく催眠術師のようにアタシを眠たくさせるねん。途中、洗面所で顔を洗って出直したくらいや」
 サナエはそう云うと、ぐっと冷酒を頼んだ。
「福山くんに、少しくらい似てた?」
「福山くんと言うよりも・・・」
 パンチでデートか! サナエ、そいつは古い。
「ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある。見知らぬあなたと、見知らぬあなたに、デートを取り持つ、パンチDEデート。あれ、冒頭、覚えてる」と、サナエが云った。
 司会の桂三枝と西川きよしが交互に云う、お決まりのセリフだった。
 相手の顔は中央で区切られていて視聴者にしか見えず、最後に、司会者が小さなのぞき穴から相手を見て、感想を云うのがお決まりの演出だ。
「どんな人が好きですか?」と、司会者(桂三枝)が訊くと、
「福山くん」と、女性が答える。すると三枝が覗いて、
「福山くんというよりも、バナナジュースという感じです」と、訳の分からない感想を云う。
 最後に、ご対面となり、ふたりで話し合い、付き合うかどうかを決める趣向だった。
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 みやちゃんがカウンターから、ビールを片手にテーブルに移動してきた。
「この格好なら、店員になれるよね」と、サナエのシャツを見て僕が云った。
「うちの娘いいでしょう。笑顔がぱっとして、店が華やぐの」と、みやちゃんが云った。
「スルーかよ」と、サナエが云うと、
 みやちゃんが、ふふふ、と笑った。
「あと、ふたり後から来るよ」と、サナエが云った。
「呼んだの?」と僕が云うと、
「当たり前だろ、反省会なんやから」と、サナエが云った。
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「会津せんべろ隊長は、ねるとん紅鯨団に出たらしいよ」と、僕が云った。
 『ねるとん紅鯨団』は、1987年から1994年まで続いたフジテレビの人気お見合い番組だ。司会はとんねるず。なので、ねるとん。
「隊長は、うまくいったの?」と、みやちゃんが訊いた。
「僕と付き合ってください、っていったら、ごめんなさい、だったらしい」
「見合いは、奥が深いんや」と、サナエが云った。
 見合いのプロが云うのだからそうなんだろう。
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 昭和に乱立していたお見合い番組がなくなったように思う。もはや、日本人は番組に頼らなくても、相手を見つけることが出来るようになったのかもしれない。
 どうだろう?
「みんな遅いなぁ」
 そう云うと、サナエはハートランドをお代わりした。
 反省会は、まだ、始まったばかり。サナエの見合いも、当分、続きそうだった。 もちろんせんべろ探検も、続くのだ。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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サクラサク
住所 大阪府寝屋川市香里南之町30ー1 第3林ビル1F
電話 072ー381ー8900
交通 京阪本線香里園駅から徒歩3分
営業 17時から23時30分
定休日 日曜日
ひとり2千円くらい。結構、飲みました。
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      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
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撮影 田原慎一

寝屋川『燻製Ber 一燈』(大阪)占うオンナ。

不思議なせんべろもある。IMG_1598

 寝屋川駅で降りて、ウロウロ歩いていると心ひかれる店を見つけた。せんべろには、勘とか匂いが大切なのだ。
 空を見上げると月が出ていた。初夏の心地いい夜のことである。

 狭い階段を上がると踊り場に『いっとう』と、殴り書きをした看板があった。そうそう、こんな店を探していたんだ。
 年期の入った扉を開けると、燻製の香がした。
『いっとう』は、燻製バーなのである。
 この香にはビールかな? とか思ったけど、麦ロックを頼む。
「初めて?」と、マスターがお皿に盛った突き出しを渡してくれた。
 ずいぶん大盛りの突き出しである。枝豆を食べてみると、燻製にしてあった。初めて食べる味である。大人になって、初めて口にする食べ物に出会うと嬉しい。
IMG_1612
「この店は、バルで見つけてん」と、隣に座っていた女の子が云った。寝屋川バルというイベントがあったらしい。細身のブラック・ジーンズに赤いコンバースをはいている。シンプルな半袖の白シャツを着ていた。
 彼女はひとりでビールとジャーキーの燻製を食べていた。
「燻製した枝豆美味しいでしょう?」と、枝豆を口に運びながら彼女が云った。
「バルは友だちと?」
「そう、3人でまわってん。おもろかったで」
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「占ってあげるよ」と彼女は突然云うと、カバンからタロットカードを出した。
 え? と思ったけど、当然、やってもらう。だって楽しいじゃないか。
 彼女は、酔っている。表情はしっかりしていたけど、かなり。

 狭いカウンターにカードを散らすと「手でクルクル回して」と、彼女は云った。
 僕はその通りにする。クルクルクルクル。
「ふーん」と、カードを並べながら彼女は云った。
 なんだか不安である。僕は、ビールを注文した。
「なんにも動いてない」
 カードをめくりながら彼女は云った。
「なんにもしてへんでしょう?」
 言葉が突き刺さった。最近、ルーティーンワークをこなしているだけだなと、感じていたからだ。
「変化の必要性」と、彼女は手帳に書いてビリッと破いて、僕に渡してくれた。丸い優しい字だ。
 マスターは、忙しそうに洗い物をしている。カップルがふたり店に入ってカウンターに座った。楽しそうにメニューを見ながら話しをしている。
「ありがとう」と云うと、彼女はカードをカバンにしまった。
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「また会うと思うよ、きっと」と云い残して、彼女は料金を払いドアから出て行った。
 帰り道、変化の必要性について、僕は頭から離れなかった。
 変化の必要性かぁ。また、会うと思うよ、かぁ。きっとなのかぁ。

燻製Ber 一燈
住所 大阪府寝屋川市八坂町16−15 白鳳ビル2F
交通 京阪本線寝屋川駅から北へ徒歩2分
営業 19時〜
定休日 日曜日

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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
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日本全国で巡礼する隊員たち
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 さなえ@婚活中
      隊員 みーやん@ギタリスト
東京せんべろ隊長 西やん@上々颱風
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!

浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
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撮影 田原慎一
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