行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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枚方

枚方『そば切り 天笑』(大阪)ミシュランの蕎麦。

酒と蕎麦と幽霊。IMG_5176


 幽霊を連れて、蕎麦を食べに行った。
 チサトという若い女の幽霊だ。やり残したことで、成仏できないと言う。
「やり残したことってなんなの?」
 そば切り『天笑』のテーブル席に着くと、僕は質問をした。
「いろいろあんのよ幽霊にも」と、チサトははぐらかす。
 僕は、お酒を二種類注文した。ひとつは、ちさとの分である。
「ふたつ同時に出してください。飲み比べたいから」と、僕は怪訝そうにしている店員に云った。店員にはチサトが見えないから。
 幽霊が、お酒を飲んだり食べたりすることも、みんなは知らない。
 でも、お供えするってことは、実は、分かっているのかもって思うことがある。

 去年の秋頃、チサトが化けて出だした。
 生前は、知り合い程度だったが、死んでからは毎日のように顔を出す。僕の事務所に来てパソコンでなにやらしてるし、ソファーに寝転がって本を本でたりもする。ことによると、生きているんじゃないかと、錯覚を覚えるほどだった。
「気が散るから、消えてくれない」と僕が言うと、本当に消えるから幽霊なんだろう。たぶんね。
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 お酒が来た。
 僕のアテはメザシ。チサトには漬け物がついていた。
「蕎麦を打ってゆであがるまで、酒を飲んで待ってるのが粋ってもんだ」
「そうなの? でも、お酒を飲んで待つってのはいいわね」
 僕が、チサトのぐい飲みにお酒を注ぐと、彼女は美味しそうに杯を傾けた。
「浅草に、大黒屋って蕎麦屋があるんだ。あそこは、蕎麦がでてくるまで酒を飲みながら鍋を食べて待つ。なかなかでてこない。蕎麦を食べに来たんだけど、蕎麦で〆る勢い」
「蕎麦を食べに来てるのに?」
「そう、それくらいでてこない。で、蕎麦の量ががちょっぴりなんで、お代わりしたくなるけど、もはやできない。お代わりなんかしたら、また、鍋からやり直しだ」
「ここもそう?」
「違うけど、酒を飲みながらって待つのはいいもんだよ。江戸時代は、蕎麦屋は飲み屋だったんだ。時代劇で、蕎麦屋で飲んでたりするだろう」
「くだらないことに詳しいのね」と、チサトは手酌でぐい飲みに酒を注いだ。
IMG_5169
 店員が来て、そろそろお蕎麦をお持ちしましょうか? と、僕に尋ねた。
 鴨汁蕎麦を二つ、僕は注文した。
「大盛りですか?」
 いえ、大盛りではなくて二つね。
「なんか申し訳ないな」と、チサトが言った。
「いいんだよ」と僕が言うと、
「分かりました」と、店員が答えた。
 なんか、話しがつながっているのが僕だけ可笑しい。
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「前から思ってたんだけど、幽霊が飲んだり食べたりした後って、気が抜けたような味がするんだ。食べ物の魂がなくなるからかな」
「そんなの分かんないよ」
 そう言うと、チサトは酒をお代わりした。
 気づかない店員に、僕がお代わりを伝える。仕方なく、チサトが飲んだ酒を、僕も飲む。やっぱり、気が抜けているように思う。
「今年の抱負だけど」
「幽霊に抱負なんてあるの?」
「やり残したことを、ひとつひとつ片づけるんだ」
「幾つもあるのかよ」
 これでは当分、付きまとわれそうだ。やれやれ。
「牡丹灯籠って落語で、幽霊に憑かれて死んじゃう話しがあるだろ」
「そんなの知らないよ」
「そんなこともあるのかなって思ってさ」
 取り憑かれて死にたくはない。
 チサトは、ふーんって言いながら、僕の杯をひょいと奪って飲み干した・
 あ、っと言うと、へへへと笑う。
IMG_5170
「蕎麦屋で飲むのも、やり残したことかな」
 こいつに取り憑かれて死ぬなんてことは、なさそうだな、と笑顔を見ながら思った。
 僕は、旨い鴨汁蕎麦と、気の抜けた鴨汁蕎麦を食べて(とはいえ、美味しい)店を出た。
 チサトに話しかけようと振り向くと、姿がない。
 さっさと、成仏してくれよ。と思ったけど、それはなさそうだ。たぶん。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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そば切り 天笑
住所 大阪府枚方市岡南町10ー30
電話 0728ー46ー7166
交通 京阪本線枚方市駅から徒歩5分
営業 11時から14時30分 17時30分から19時
定休日 水曜日・木曜日
ひとり2000円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG もーちゃん@トラベラー
         オーシタ@スリランカ アサミ@セレブ
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方公園『餃子の女王』(大阪)立ち飲み餃子でせんべろ。

クリスマス・ストーリー。IMG_5001

 立ち飲み餃子屋ができたらしい。
 紹興酒で餃子でもと覗いてみることにした。
 
今日は、冬至であたりはすっかり暗かった。僕は枚方公園駅を降り、サラリーマンたちが歩く細い道に入ると、遠くに赤い提灯が見えた。冷たい風が吹いていた。

 中華らしい赤い扉を開けると、中に7人くらいお客さんが飲んでいた。OLがひとり、後は会社帰りのサラリーマンたちだ。たぶん。
 僕は、焼きニラ餃子と生ビールを注文した。
 湯豆腐なら、すぐできると云うので、それも頼む。
 女店主が、餃子を鉄板に並べ、出汁をかける。熱い鉄板から湯気が立ち上ると、彼女はさっと蓋をかぶせた。
「カミモトさんですね」と、隣の男が声をかけてきた。
 仕立てのいいスーツに、ロレックスをしていた。ネクタイの趣味は、いまひとつだが、靴はイタリア製の高価なものだ。
 誰だろう? 僕は人の顔を覚えるのが苦手だから、失礼をすることがよくある。ことによると知り合いかもしれなかった。
「どこかでお会いましたか?」と、僕は云った。
「中学で一緒だった。吉田です」
 覚えがなかった。
「すみません。何組でしたか?」
「E組の吉田俊之ですよ」
 思い出した。中学生の時とは、印象が違っていたけど。
「あ、小学校も一緒だったとっちゃん?」
「あの頃は、太ってましたから」
 ビールと湯豆腐が来た。
 いま、どうしてる? と、僕たちは乾杯をした。
 僕は、相変わらずなんだけどね。
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 とっちゃんは、勉強ができない子どもだった。運動もだ。絵も、音楽も。それで虐められることはなかったが、みんなに出来ない子、と軽んじられていたと思う。
 中学を卒業したとき、就職をした生徒が数人いたけど、とっちゃんもそのひとりだ。
「確か肉屋さんに就職したんじゃなかった?」
「ずっと、そこにいて、いま社長です」と、とっちゃんは誇らしげに云った。
「そいつは、すごい」
 とっちゃんすごいよ。と、本当に思う。
「みんなには会う?」
「いえ、松本くんとか、中学卒業した後に、たまに遊んだりしてましたが」
 話し方が大人びているのに驚いていた。
 とっちゃんが先生に当てられると、教科書がまったく読めないのを覚えている。当時、僕は、どうして読めないのかが分からなかった。何もかもできない子どもだったんだ。
「結婚は?」と、僕は訊いた。
「婿養子なんです。だから、今は今村です」と、とっちゃんは照れくさそうに云い、名刺をくれた。
 子どもが3人いて、二人は大学に通っている。ひとりは今年中学三年らしい。
 立派になっているとっちゃんがまぶしかった(僕なんかよりね)。
 冬至、勉強も運動もなにもかもできないとっちゃんを、僕は小馬鹿にしていたように思う。
 学校という制度が、とっちゃんには向いていなかっただけなのに。
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 そういえば牛乳配達のバイトをしているとっちゃんを、何度か見たことがあった。
 例えば、雨が降る冬の寒い早朝に。
 とっちゃんは、薄汚れた白い牛乳屋のレインコートを来て、自転車の荷台に空になった牛乳瓶を並べていた。事情もあったのかもしれないけど、毎日欠かさず、牛乳配達をしていた。同じ中学生の僕には、とても出来なかっただろう。
 僕たちは、ビールのお代わりをした。
 すまなかったな、と僕は口に出かけたけど黙っていた。

「今日は、どうしてここに?」と、僕は訊いた。
 とっちゃんは、ビールを飲んで、しばらく黙っていた。
「新しい店ができたら、商売の勉強に来るんです」
 興味本位に飲みに来る僕とは大違いである。
「今日は、ゆっくり飲めるの?」
「もう、帰らないと。この後、子どもたちと妻にクリスマス・プレゼントを渡すんですよ」
「早いプレゼントだね」
「明日から、台湾に出張なんです。クリスマスなのにね」
 とっちゃんは照れ笑いをしながら、ビールを飲んだ。
 いい笑顔だった。
 いまの僕は、いい笑顔をしているだろうか。
 メリークリスマス。みんなうまくいくといいね。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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餃子の女王
住所 大阪府枚方市伊加賀東町5ー30
電話 090ー1589ー0141
交通 京阪枚方公園駅から徒歩3分
営業 16時から翌1時
せんべろ屋です。
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掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
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撮影 田原慎一

枚方『適塾牛鍋パン』(大阪)日本酒に合うパン作ってみました。

せんべろなパン。IMG_5100

 福沢諭吉が適塾の塾頭だった時、よく牛鍋屋に通ったという。
 諭吉が牛鍋を食べる様子を日記で読んで、当時の味を食してみたいな、と思った。
 丁度、枚方マルシェで何かを出さないか、と云われてたしね。
 そこで平安時代の食と江戸時代の食、明治時代の食を再現して、お弁当を作り枚方マルシェで売ってみた。去年の11月のことだ。
 牛鍋だけじゃつまらないと、平安、江戸、明治の三種類を作ってみたのである。 明治時代が『適塾牛鍋弁当』。
 話題になって新聞から取材が来たりもした。
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 で、今年も枚方マルシェでやってくれないか、と声が掛かり、去年と同じじゃ面白くないぞ、と思いパンに挟んで手軽に牛鍋を体験できる『牛鍋パン』を作ってみようと思いついた。
 諭吉さんは、パンと肉が大好きだったし、大酒飲みだったそうだから、酒に合うとなお、いい。せんべろ探検隊が作るパンだしね。
 うーむ、難しそうだ。
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 『千人の月見の宴』で、月見弁当を作ってくれた藤下シェフにお願いしようと、僕は、枚方公園にある『ビストロ・ル・パッサージュ』を訪ねた。作ってくれるだろうか・・・。
 店に入ると、ディナーを食べているお客さんが、二組。僕は、誰も座っていないカウンターに席を取った。ここなら、シャフと話しながら飲むことができる。
 シェフは、忙しそうに鍋を振っている。
 一息ついたところで、僕は適塾牛鍋パンについて、簡単に説明をしてみた。シェフは黙って聞いていた。どうだろう?
「当時、牛鍋は味噌味だったんです。何しろ、猪鍋をイメージした料理でしたから」と、僕は云った。
「レシピは残っているんですか?」と、シェフが訊いた。
「福沢諭吉の日記に、書生たち食べる様子が書かれているけど、レシピというほどじゃありません。味噌味だったこととネギが入っていたことくらい」
 僕は、赤ワインとオムレツを注文した。

 この店は、8時を過ぎると「あるものなら作るよ」という、ドラマ『深夜食堂』と同じスタイルになる。店の名前も、8時からは『深夜食堂』だ。
 例えば、オムレツを頼むと、エスカルゴのオムレツだったり、鹿肉のオムレツだったり、何かしら楽しませてくれる。
 寿司を頼むと、寿司を握ってくれたりね。
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「たぶん、いい肉を使ってなかったでしょう」
「僕もそう思ってます。日記にもそうありました」
 赤ワインが出てきた。南アフリカのKWVだ。
「それをパンに挟んで出すわけですね?」
「福沢諭吉は、お酒が好きだったから、ワインに合うのがいいかも」
「日本酒ですよ。牛鍋なんだし、パンを工夫すればいいんです」
「ライスバーガーみたいなのじゃなくても、パンで日本酒で食べられますか?」
 藤下シェフは、黙って頷いて笑っていた。

 数日後、出来上がったと連絡が入り、店で試作品を食べてみた。
「美味しいと思います」と、僕が云うと、
「ダメですね。まだ日本酒に合いません。当日まで、いろいろと試してみます」
 僕には十分に思えた。当時の、牛鍋を体験できて旨いのだから。
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 マルシェ当日、試食の時とは違うパンになっていた。数段、旨い。日本酒と食べると、酒が進むのが不思議だった。
「これは日本酒に合うね」と、サナエが酒を片手に云った。
「パンに合うわけないと思って食べるから、余計に驚きますね」と、みーやんが云った。
 というわけで、作ってしまいました。せんべろパン。
 『適塾牛鍋パン』を、みんなに食べてもらえたら、と。
 来年、みんなにお酒飲んで味わってもらえるように、いろいろ試してみるね。

 もちろん大阪せんべろ隊で。
 今回は、イベント番外編でした。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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撮影 田原慎一
 

枚方『四万十 寺田屋』(大阪)龍馬の鯖寿司を食べる。

しばてん踊りの夜。IMG_4621

 川漁師のえっちゃんが大阪に遊びに来た。
 というより、飲みに来た。飲んだのは『寺田屋』である。
 何年か前、僕が四万十に取材に行ったとき、
「大阪に店を出すんよ」と、えっちゃんが云った店である。
 どの辺りに出すんだろう? と、思っていたら枚方である。僕の家から10分くらいの場所で、驚きだった。四万十までクルマで7時間くらいかかるのに・・・。

 淀川の宿場街で『寺田屋』と云えば、京都伏見にある龍馬の船宿である。お登世さんがやってた宿で、寺田屋事件とか幕末の歴史にしばしば登場する。
 えっちゃんの寺田屋って龍馬に関係あるの? と訊いたら、
「うちの苗字は、寺田やけん」と、えっちゃんが云った。
 なるほどね。ややこしや。
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「献杯」と、えっちゃんが云った。
 土佐流に、彼女がお銚子を斜めに注いでくれる。お銚子は、お酒が注ぎやすいように尖った口があるが、そこからは注がない。縁が切れないように、切れの悪い場所から注ぐ。
 献杯、返杯が始まると大変である。
「酒は、倒れるまで飲むもんやけん」は、えっちゃんの口癖である。
 返杯!! と、彼女がお猪口を差し出した。
 真似してお銚子を斜めにして注ぐ。
 じゃぁ、献杯。と、続く。果てしない。
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「ここの鯖寿司って、土佐の清水鯖?」
「そうやけど」
「酢は、橙酢かな」
「柑橘系の酢を使うちょるよ」
 坂本龍馬の好物の記録が残っている。
 龍馬が、友人の家に遊びに行ったときのことだ。
『坂本が好きであるから、鯖の刺身へ橙の酢をかけたものを出した』とある。
 えっちゃんの店では、その龍馬が食べた鯖寿司を食べることができるらしい。寺田屋では、特に何も云ってないけどね。
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 僕は、龍馬の鯖寿司と、カツオの藁焼きを頼んだ。カツオは、塩とニンニクで食べる。
 龍馬の鯖寿司食べてみたいしね。
「藁焼きやったら煙たくなるって、えっちゃんが嫌がるんや」と、厨房でカツオを藁でいぶしながら板長が云った。板長の手元から、炎が上がっている。
 厨房から藁が焼ける匂いが漂ってきた。田舎の民家で、囲炉裏を囲んでいるような気分だ。
「うち、そんなこと云うちょらんで」
 そうかな。云いそうである。
 僕は、日本酒が並んでいる瓶の中から、岡田以蔵を選んで頼んだ。龍馬の鯖寿司と、酒は人斬り以蔵だ。一口飲むと、旨い。
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 今日は、ええもん持っちょるんよ。と、えっちゃんが鞄から風呂敷のようなものを出した。
 何かの顔が描いてある手ぬぐいだった。ハサミを出して、目の部分を開ける。
「負けた方が、踊るんよ」と、えっちゃんは頭に被って云った。
 しばてん踊りだと云う。えっちゃんが手をヒラヒラさせて、ユーモラスに踊って見せた。
「何に負けたら?」
 なんでも、ええで。
「これを被ると、誰でも踊りたくなる魔法の手ぬぐいや」
 ことによると、龍馬も踊ったのかもしれない。ふと、そんな風に思った。
 献杯!!
 えっちゃんが踊っていた。飲みたいだけじゃないのか。ひらひらひらひら。
 返杯!!
 僕も被ってみる。すると、なんだか踊りたくなる。
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「ええやろう。土佐に来たら、いっぱい踊らせてあげるけん」
 何杯飲んだのか、分からない。
 献杯と返杯が続く。
 しばてんがひらひらと踊っている。えっちゃんの笑い声が聞こえていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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寺田屋
住所 大阪府枚方市岡東町11ー14 菊本ビル1F
電話 072ー845ー2001
交通 枚方市駅から徒歩2分
営業 17時から24時
定休日 月曜日
5千円くらいでした。飲み過ぎです。
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撮影 田原慎一

枚方市『パン・デ・トール』飲み放題なの? ランチなの?

ランチせんべろ。IMG_4346

 居候のススムを連れてランチに行くことになった。
 たまには、昼飯じゃなくて、小洒落た店でランチに行きたかったからだ。
「さなちゃん、ここがいいよ」と、助手席のススムが云った。
 つぶれそうな小汚いラーメン屋だった。傾斜のついた狭い駐車場がひとつ。クルマの運転が苦手なので気が進まなかった。
「もっと、小ぎれいな店を見つけろよ」
「そーかなぁ、ラーメンにチャーハンにビールって魅力的だよ」
 母親と喧嘩して一文無しで家出をしてきたヤツが何を云ってるんだ。と思った。 服もいま着てるジャージだけ。帰りにユニクロにでも寄らないと、不潔で部屋に置いておくわけにはいかない。
「バイトくらいしろ」
「あ、ここは?」
 スルーかよ。
 パン・デ・トールというレストランだった。サナエが想像した素敵さに、いまひとつだけど、まぁ、いいか安そうだし、と駐車場にハンドルを切ることにした。
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「隣がパン屋さんだ。この洋食屋は、きっと旨いよ」と、ススムが適当なことを云う。確かに隣はパン屋さんだ。『ぱんの蔵』という看板が出ている。
 ファミレス風のパン・デ・トールに入ると、若い女性店員が案内をしてくれ、四人がけのテーブルに座った。広いテーブルが嬉しい。
「飲み放題があるよ」
「あるね」
「僕はそれ」
「ランチに来て、なんで飲み放題なんだよ」
「ランチも頼むよ。当たり前だろ。僕は、オムライスだ。さなちゃんは?」
 カツカレーにした。自分だけかよと思ったが、飲み放題の値段が1200円で安い。夜、飲まれるよりいいか、とススムの分だけ頼んだ。
 赤ワインから。面倒だからどんどん飲んでくれ! と、思う。
「俺、日本で五本の指に入るくらい不味いカツカレーを食べたことあるんだ」
 東京の渋谷のガード下にある食堂らしい。ああ、あの暗い通りか、と昔の記憶を辿っていた。
「カツカレーってさ、揚げたカツにカレーかけるだけじゃん。どうやったら、不味いカツカレーができるのか不思議なんだ。で、次云ったとき、カツ丼を頼んだんだよ」
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「なんで、不味い店に通うんだよ」
「なんとなく、入っちゃったんだよ。研究ってやつかな。そしたら、これが日本で三本の指に入るくらい不味い」
「なんで、三本なの?」
「だって、残したんだよ。この俺がさ。ハラ減ってるのにカツ丼残したのは生まれて初めてだよ。どうしたら、あんなに不味いカツカレーとかカツ丼とか作れるんだろう? カツとタマゴで不味いものなんて作れないよ」
 ススムは腕組みをして黙ってしまった。何を考えてるのかは不明だ。
 店員がカツカレーを運んできた。話しを聞かれたようで、怪訝な顔をしている。
 この店のカツカレーじゃないです。と、云いかけたけどやめとく。
 説明がややこしいし。
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「カツカレーちょっとくれよ」と、ススムがスプーンですくって食べた。
 旨い。旨い。と、笑ってる。40過ぎのおっさんがやることじゃない。
 オムライスも来た。ホワイトクリームのかかったオムライスだ。ずいぶん大きい。カツカレーもだけど、ここは全体的に大盛りなのかもしれない。
「さなちゃん、俺ができそうなバイトない? 楽でさ」
「ねーよ。あんたの母さんが迷惑かけるに決まってっから、さっさと長崎に追い返してくれって、手紙が来たよ」
「心配性なんだよ」
 ススムは、旨そうにオムライスを食べてワインをお代わりした。
 こいつ、馬鹿なの? 死ぬの?
「居候がいたら、彼氏ができないんだよ」
 従兄弟のススムは『居候』と呼んでいた。
「バンドのオーディション頑張るからさ。年内にバイトも探すよ」
 こいつ、来年までいる気かよ。

 友だちの広告屋からメールが来た。なんだろう。と、読むと、急ぎで選挙ポスターを貼るバイトを探しているという。
「誰かいない?」 
 目の前にいる。と、返事をした。

「何杯目?」
「わかんない。美味しいよワイン」
「叔母さん家で、何してたの?」
「引きこもりってやつだよ」
「引きこもってないじゃん。あたしの家に来てるし」
「じゃ、ニート」
「どうすんだよ。これから」
「自立しないとダメだね。だから家出なんだ」
 ススムは、自慢げに云うと、ワインのお代わりをした。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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パン・デ・トール
住所 大阪府枚方市田口山2ー31ー1
電話 072ー836ー5522
交通 JR東西線長尾駅から京阪バス『春日山』から徒歩3分
営業 9時から22時 9時から11時30分(モーニング)
   11時から15時(ランチ)
定休日 不定休
ひとり千円くらい。飲み放題は1200円でした。
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掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

牧野『丸天房』(枚方)酒屋に寄り添う立ち飲み屋。

気になる立ち飲み屋。IMG_4437

 看板もない。店名も分からない。
 日が暮れると提灯に灯りがともり、ビニールで囲われた中から、ぼんやりと人影が見える。たぶん、せんべろ屋だ。とは、思っていたけど、行きそびれていた。
 よし、と思い中に入る。
 女性の店主がサーバーから生ビールを注ぎ、帽子を被ったお爺さんがひとり黙って飲んでいた。グレーの作業着を着たおじいさんだ。大工さんか、何かの職人なのだろうか。

 僕は、壁に貼ってあるメニューから樽酒を選んだ。
 女店主がコップに浪波と注ぎ、溢れた酒が受け皿の枡に零れる。酒飲みは、この零れた酒が嬉しい。
 おじいさんが、焼き鳥を注文する。すると女主人が店を出て行った。
 隣の酒屋で調理しているのかもしれない。丸天酒店に寄り添うような立ち飲み屋だからだ。酒屋の隅で飲む角打ちとも、ちょっと違うように思う。
IMG_4445
 僕は樽酒をひとくち飲んだ。檜の香りが口に広がる。
 なかなか旨い。黙って、飲んでいると、
「どうしたんですか?」と、聞き覚えのある声がした。
 みーやんだった。カーキ色のジャンバーに、鞄をたすき掛けにしている。僕の隣にスッと入ってきた。
「そっちが、どうしたんです」と、僕が訊いた。
「僕の家は、この辺なんです」
 みーやんも行きそびれていた店だと云う。
 みーやんは、ビールとおでんを注文した。女主人が、また、店を出て行く。何か頼むと、主人がいなくなる。なんか可笑しい。
IMG_4451
 みーやんの携帯が鳴った。
 仕事の電話のようだった。鞄から地図を出し境界がどうのなど話している。そう云えば、みーやんは測量士の資格を持っていたなと、僕は思い出していた。
 長い電話が終わると、みーやんはビールを飲んでほっとしたような顔になった。
「ここって何という店なの?」と、僕が訊くと
「分からへんのです」と、みーやんが云った。
「せんべろ屋だよね。ここ」
「僕もそー思います」
 そう云うと、みーやんはビールを飲み干した。
「この後、ギター教室の先生をやるんです」と、みーやんが云った。
「誰が来るの?」
「よく分からへんねんけど、5人くらいかな」
 みーやんはビールのお代わりをした。
「樽酒旨いよ」
「酒の匂いをさせて先生はできへんからビールです」
 ビールだって酒だろう。でも、みーやん的には水らしい。
「フランス人は、水の代わりにワインを飲むじゃないですか。俺は、水の代わりにビールなんですわ」
 なんだか分かったような、分からないような、ことを云った。
 ビールは、ビール。ウィーンは、いつもウィーン。水は、水だと思う。
IMG_4447
 女主人が、また、店を出て行った。おじいさんが何か注文したらしい。
「なんで、店の中で作らへんのかな」と、みーやんが云った。
「このユルイ感じが、好きだな」
 僕は、この店が気に入っているのに気づいた。
 女主人が、お皿を持って戻ってきた。
 僕が、樽酒をお代わりをする。みーやんが焼き鳥を頼む。またまた、女主人が店を出て行く。なんか妙な具合だった。落ち着いて居心地がいいのに、忙しない。
 しばらくすると
「ギターの先生やってきます」と、みーやんが店を出て行った。
 お爺さんもいつの間にやら、居なくなっていた。
 僕もそろそろ、と思い樽酒の残りを飲む。雀が電線に集まったり、飛んでいったり、また帰って来たり。そんな風景が思い浮かんだ。
IMG_4440
 お勘定を払い、僕も店を後にした。
 振り向くと、ビニールにうっすらと店主の影が映っていた。
 幻のようなせんべろ屋である。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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丸天房
住所 大阪府枚方市牧野坂2ー5ー23
交通 牧野駅から徒歩2分くらい
せんべろ屋です。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー ナホ@バイオリニスト
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
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撮影 田原慎一

長尾『鶏っち』(大阪)猫の結婚相談所。

見合い。FullSizeRender2

 雷が鳴った。
 話しも弾まないお見合いが終わって、サナエが帰る途中のことだ。
 ポツリポツリと、雨粒が落ちてきた。折りたたみの傘はなかったかな? と、鞄を探るが生憎、傘は事務所に置いてきたらしい。

 傘を買おうかと探していると、いつかの猫が現れた。
「おや、いつかの姉さん」と、猫が云った。
「ここも君の縄張りなの?」
「最近、世知辛くてねぇ、遠征してるんですよ」
「八剣伝は旨かったでしょう?」
「まぁまぁかな」
 サナエがそう云うと、猫は座ってぺろっと手をなめた。
「あそこの残り物は旨いんだけど・・・」
 残り物が旨いと云われても、困る。
 とはいえ雨宿りができそうなせんべろ屋はないか、と猫に訊いてみた。この辺には詳しいみたいだし。
 ピカッと空が光った。猫が耳を後ろに伏せて警戒をした。
 雷が苦手らしい。
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「降ってきそうですね」と、猫が空を見上げながら云った。
「雨宿りにちょっと飲める、ええ店知らん?」
「鶏っちは、どうです。この辺りじゃぁ新顔の店やけど、おいらたちの間では、いい匂いって評判や」
「食べたことないの?」
 へへ。と猫は笑い。
「おいらは、お金がないもので」と、云った。
「行ってくるわ。お土産も買ってきてあげる」
 そいつはどうも、と猫は手をなめた。
「いいことあるかも知れませんよ。店主は、独身やし」
 猫はそう云うと、狭い路地に消えてしまった。
 風が強くなってきた。低気圧が近づいているのだ。
 サナエは鶏っちへ急いだ。
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 店に入ると同時に、大雨が降ってきた。
「いらっしゃいませ」と、店主が云う。
 店内には誰もいない。時計を見ると、まだ、6時前だった。日が暮れるには早かったが、外は嵐で真っ暗である。
「季節外れの夕立やから、やみますよ」と、店主が洗い物をしながら云った。
「そうだといいねんけど」
 サナエは日本酒を頼んだ。それと焼き鳥。ついでに猫のお土産も。
「独身なんですか?」と、サナエが訊いた。
「そうですけど、どうしてですか?」
「猫がいってたから」
「え?」
「実は、さっきまで見合いしてまして、つい訊いてしまうんです」
 店主は、手を拭きながらサナエを見た。
「猫ってなんです?」
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 こんな猫見ませんか? と、サナエは以前撮った猫の写真を見せた。
「知りませんねぇ。このあたりをうろついてるんですか」
「ええ、まぁ」と、サナエは口を濁した。
 猫と話してるなんて云うと、変な女だと思われてしまう。

 今月は、お見合い強化月間だった。
 二週間に5人会ったけど、どいつもこいつも今ひとつである。子分みたいな男ばかりだとサナエは思っていた。
 お母さんと一緒に来て、自分はほとんど話さないやつ。明らかに人づき合いが苦手で、結婚に向いてなさそうなヤツ。どいつもこいつも・・・。
「どんなタイプが好きなんですか?」と、サナエが訊くと、
「阿部寛か速水もこみちがタイプです」と、さっき会った相手は云った。
 本人が気づいてないかも知れないけど、絶対にゲイだと思う。

 見合いにも飽きていた。
 猫にお見合いを進められて、これで6人目?
 あかんあかん、猫にお見合い相手を進められるようじゃお終いだ。とすると、お土産は紹介料なのか?
 サナエは日本酒をお代わりした。
 しばらくすると
「やんだようですよ」と、店主が云った。
「持ち帰りの焼き鳥できました?」
 これは紹介料だ。
 サナエは支払を済ませて、店を出た。すれ違いに子どもふたりを連れた夫婦が店に入っていった。絵に描いたような楽しげな家族だな、とサナエは思った。
 
「見合いどうでした?」と、猫が現れて云った。
「もう、ええって」
 サナエは紹介料の焼き鳥を猫に渡して云った。
「まだまだ、隠し球はあります」
 猫は美味しそうに焼き鳥を食べて云った。
 
雨は嘘のように上がり、夜空に半月がでていた。
<取材 サナエ@女優 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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鶏っち
住所 大阪府枚方市藤阪中町6ー40
電話 072ー867ー7533
交通 JR長尾駅から徒歩8分
営業 17時30分から24時
定休日 月曜日
ちょい飲み千円ちょいでした。
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撮影 田原慎一

枚方市『鳥将軍』(大阪)犬のツヨシに誘われて。

寄ってけよ。IMG_3745

 〆のラーメンでも食べて帰ろうか、と枚方の裏通りを歩いていると、
「焼き鳥食ってけよ」と、一匹の犬が声をかけてきた。
「柴犬かい?」と、僕が訊くと、
「そんなもんちゃいますよ。へへへ」と、笑う。
 雑種らしい。
 マクドナルドのような太い眉毛が愛嬌のある茶色い犬だった。

 鳥将軍という看板が出ていた。宮崎地鶏の店のようだ。暖簾の向こうで、店員がビールを運んでいるのが見えた。
「ここの犬なの?」
「犬だなんて失礼なヤツやな。ツヨシや」
「長渕とか?」
 店内に長渕剛のでかいポスターが貼ってあったからだ。
「そうや、自分ナガブチツヨシや」
 そう云うと、しっぽをちぎれそうなくらい振り、二度吠えた。
「飼い主がナガブチファンなんや」と、ツヨシが云った。
 でも、どう見ても長渕剛って、顔じゃない。お笑い系?
「ラーメン食べようと思っているんだ」
「ラーメンならここにあるで。お客さんや!」と、ツヨシは吠えるように云った。
IMG_3742
 店内は、炭火で焼ける鳥のいい匂いが漂っていた。
 僕は、ツヨシの近くのカウンターに座った。隣にはサラリーマンたちが二組。奥のテーブルにOL4人組がかしましく飲んでいた。ツヨシは、客たちに時々、声をかける。OLたちに、可愛い、なんて云われていい気になっているようだった。

「ムネ焼きでええか?」とツヨシが僕に云った。
 ずいぶん、偉そうだ。ツヨシが注文すると、店員たちがモクモクと仕事を始める。店長なのか?
「それと、鳥ユッケと、麦ロック」と、ツヨシが店員に吠えた。
「まだ、僕は注文してないよ」と、僕が云うと、
「細かいこと云ってたら友だちなくすで」と、ツヨシがしっぽを振りながら叫んだ。ツヨシの一声で、僕の注文が確定らしい。
 髭を生やした人間の店長は、ツヨシのいいなりのようだ。時々、ツヨシが軽口を叩くと、店員たちが笑った。
「宮崎地鶏は、串に刺さんと焼くんや。地鶏は歯ごたえがあって旨いねんで。おっと、ヨダレが出てきよった」、そう云うとツヨシは、前足でヨダレを拭いた。
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 鳥ユッケが来た。卵を箸でつぶしていただく。
「旨いやろ?」と、ツヨシが云った。
「少し静かにしろよ」と、人間の店長がツヨシに云った。
「何、眠たいこと云うてんねん。きっちり、焼かんと味がおちるで、しかし。兄さん、俺が都城に行ったとき、地鶏の鉄板焼きと鶏刺しだけで、勝負している店があってな、あそこは旨かったわ」と、ツヨシが云った。
「どうやって行くんだい?」と、僕がツヨシに尋ねた。
「クルマやな。飛行機は落ちるからかなんねん」
「気にしないでください。話半分やから」と、女の子の店員が云った。
 〆のラーメンを頼んだ。
「泡が合うで。シンプルな鳥スープのラーメンに、泡がオススメや」と、ツヨシが云った。
 ツヨシは、僕の代わりにスパークリング・ワインとラーメンを注文した。
「よく喋る犬ですね」と、僕は女の子の店員に云った。
「そうなの。でも、よく働くのよ」と、彼女がスパークリングワインをカウンターに置きながら云った。
「ツヨシや。犬、云うな」
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 ラーメンが来た。僕は、泡をひとくち飲んで、スープをレンゲですすった。ツヨシの云う通り、スープに泡がよく合う。
「どや」と、ツヨシが吠えた。
 僕は、人間の店長に「旨いよ」と告げると、ツヨシが代わりに「そやろ」返事をした。麺は固めで、僕の好みだ。スルスルと喉を通り、たちまち、僕は平らげてしまった。
 残ったスパークリングを飲み干し、
「ごちそうさま、帰るよ」と、僕は店員に告げた。
 ツヨシは何かが気になるのか、外を黙ってしばらく見ていた。どうしたの? と、声を掛けようとしたら、
「真っ直ぐ帰れよ」と、ツヨシに云われる。
 支払を済まし、僕は店をでた。空の月が欠けていた。もう、10月なんだ
な、と月を見ながら思った。
 パチンコ屋の角まで行き振り向くと、ツヨシが、何か言いたげに僕を見ていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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鳥将軍
住所 大阪府枚方市岡本町2ー12 野村ビル1F
電話 072ー846ー1611
交通 枚方市駅から徒歩2分
営業 17時から翌1時(日から木) 17時から翌2時(金・土)
定休日 無休
二千五百円くらいでした。
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撮影 田原慎一

枚方『リザキッチン』(大阪)優しいせんべろ。

シェフの吉田さんがいいのだ。IMG_2341

 いつも、料理とお酒のことばかり考えている女性のシェフである。
「休日は何をしているの?」と訊くと、
「美味しいモノを食べてます」と、答える。趣味は、たぶん、料理。
 彼女が働いているのが、リザキッチンだ。たまに、無性に吉田シェフの料理を食べたくなる。もちろんお酒を飲みながら。

「キッシュある?」と、吉田さんに訊いた。
「すみません、売り切れました」
「キッシュを食べに来たんだ」
「次、来たときはとびきりのキッシュを作っておきます」と、吉田さんは笑いながら云った。
「じゃぁ、麦ロックに合いそうなやつを」
「承知しました」
 吉田さんは、そう云うとキッチンに戻った。僕は、野菜を盛り合わせをサカナに、だいたい飲んでいる。後は、適当に見繕ってくれる。
IMG_2202
 ずっと以前だけど、リザキッチンでライブを企画したことがある。オーナーの太田さんに、何か面白いことできないかしら? と、相談されて始めた企画である。丁度、友人のバイオリニストが東ヨーロッパから帰ってきたところで、ジプシージャズと東ヨーロッパ料理のコラボを提案した。
 バイオリニストの熊澤洋子さんと、ギタリストの岡田しげひろさんのデュオ『しげとくま』ライブだ。
 ブルガリア料理、ハンガリー料理、ポーランド料理・・・。しげとくまのジプシージャズを聴きながら、シェフの東欧料理を食べる。なるべく現地の味を再現して、ご当地ワインと一緒に。
 ヨーグルトがたっぷり入ったブルガリアのムサカにシチュー、ハンガリーの肉料理などなどで、ワインが何本も空いてしまった。せんべろじゃないけど、滅多に食べない東欧料理との一期一会は、素晴らしい宴だった。
 それがリザキッチンライブの第一回目だった。
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「外国に行ってたよね?」と、吉田さんに訊いた。
「フランスです」
「ルーブルには行った?」
「いえ、料理のお勉強でしたから」
 どうも、料理オタクである。でも、そこがいいのだ。ちゃんと酒飲みだし・・・。彼女は飲んでも顔色が変わらない。余程、強いのだろうと思っている。

「せんべろ探検隊やってるんだ」
「なんですかそれ?」
「せんえんでべろべろに酔える店を探して彷徨う。たまに、危険なまんべろ屋にも行く」
「私はせんべろがいいです。安いとこ」
「僕もそーだ」
 麦ロックを飲み干して云った。
 いいワインがあるよ。と、吉田さんが云う。キッシュがないのが残念だけど、僕はそれを注文した。
「日曜日に山本さんのライブを河川敷でやったんだ」
「リザでも、先月やりました。野外ライブ行きたかったなぁ」
 ギタリストの山本佳史さんもリザライブの常連である。『千人の月見の宴』に出てくれたギタリストだ。
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「あの人、アルコールだめなんですよね」と、吉田さんが云った。
 オールバックに髭を生やし、ジプシージャズのギタリストなのに酒がだめなのだ。
「ジプシージャズ奏者と、クラシック奏者の違いって分かる?」と、僕が訊いた。
「どこでも演奏できるかどうか? とか」
「ジプシー奏者は、演奏する前に飲む。クラシックの人は、演奏が終わってから飲む。それから、ジプシー奏者は、楽譜があると弾けない。クラシックは楽譜がないと弾けない。正反対なんだ」
「山本さん、楽譜読めないの?」
「もちろん」
 馴染みの店でシェフと話しをしながら飲むのって、小幸福だと思う。次は、とびきりのキッシュにワインを!!
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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リザキッチン
住所 大阪府枚方市大垣内2ー17ー5
電話 072ー843ー0986
交通 京阪本線枚方市駅から徒歩7分
営業 11時30分から23時
定休日 日・祝
二千円いかないくらいでした。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
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千人の月見の宴

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「千人で飲もう」と、始まった『千人の月見の宴』プロジェクトが無事終わりました。当日、1100人ご来場いただき、本当に、千人で宴会です。
 能楽師・辰巳満次郎による『薪能』と、ジプシー・スィング・ジャズ『山本佳史トリオ』も、素晴らしかったです。

 みなさん、ありがとう!! 来年もやります。
 今夜は、枚方公園たくちゃんを貸し切って、打ち上げです。

 もちろん、せんべろ探検も続けます!!




せんべろ探検隊員エマが受けつけ。

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薪能は川風で、大きく揺れていました。
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舞台の様子です。
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ジャズ、山本佳史トリオ。
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会場はこんな感じです。桟敷席で宴会です。
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ご来場、ありがとうございました。

<大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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