行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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2015年10月

北新地『金明飯店』(大阪)紹興酒でお疲れせんべろ。

選挙で一儲け?FullSizeRender

 タクマから呼び出されて、サナエは新地にやってきた。
 また、キャバクラかな。と、思って来たらごく普通の中華料理屋である。店はわりと空いていて、タクマはひとり飲んで待っていた。

「さなやん、悪いな」
 パンチパーマ、ロレックス、指輪が3つギラギラと光っている。昭和のヤクザにしか見えない。タクマと同じ席に座るのが恥ずかしかった。
「お疲れさまセットふたつ。それと、紹興酒や」と、タクマは店員に叫んだ。
 目立たないようにしろよ。あたしたちの席だけ浮いてる。と、サナエは思った。
「先輩のキャバクラに呼び出されるんかと思ってました」
 タクマは大阪市内でキャバクラを2店経営していたからだ。本業は、サナエと同じ不動産屋だけど。こんな不動産屋は、タクマくらいだ。
「あそこは、仕事の話しができんよってな」
「なんか、ええ物件あるんですか?」
「話しが早いわ」
 そう云うとタクマは紹興酒を飲み干して、お代わりを注文した。
「舞台はどうやってん。女優やってんのか?」
「仕事は何ですの?」
 サナエはタクマの話しを遮って云った。長居は無用である。
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 お疲れセットと紹興酒が来た。餃子と鶏である。
「物件はあんたや」と、タクマが云った。
「先輩、キャバクラはダメです」
「キャバ嬢は無理やで。さなやんには、向いてへん」
「ビシッと、ナンバーワンになる自信がありますわ。失礼やな」
 タクマは笑って紹興酒を飲んだ。
「町会議員やれ」と、タクマは真顔で云った。
「何を言ってるのか分かりません」
「田舎の町会議員や。でるだけで当選する物件や。さなやんのことはもう、話しつけとる。来月、引っ越しせいや」
「でませんけど」
「わがままなやっちゃなぁ。あんたの顔がええねん。革新系の議員顔しとんで。俺が、絵描いたるさかい。よっしゃ決まりや。乾杯!」
 タクマと乾杯をしてしまった。いやいや出ないから。
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「実は、もっとええ話しがあるねん。儲かるで」
「不動産ですのん?」
「そうやな。廃棄物の処理場探してるねんけどな」
「どっかの田舎にええ場所ないか? とか、云うんないでしょうね」
「お、その手があったな。どや」
 さなやんにお代わりや、とタクマは店員に叫んだ。
「それ、むっちゃあたしが捕まる話しやんか」
「俺が絵描くて。さなやんは、なにも考えんでええねん。先輩がええ話し持って来てんねんで」
 むちゃくちゃである。
「先輩が出たらええやないですか」
「この顔で出られるか? ヤクザにしか見えへんで。捕まったらどうすんねん」
 タクマは、ロレックスをちゃらちゃら振って云った。
「あたしも捕まりたくありません」
「そうかぁ、うちのジュリちゃんに頼むしかないんかなぁ。あいつ、顔はええけどアホやしなぁ」
 キャバ嬢の代わりかよ。
「まぁ、来週まで返事待つわ。お願いやで、この通りや」
 タクマは頭を下げてサナエに云った。
「キャバ嬢にならなるわ」
「それはお断りや」
 そう云うと、席を立って二千円をテーブルに置いて店を出て行った。
 相変わらず、ふざけた漫画みたいなオヤジである。
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 実はたまに、選挙にでないか? と、サナエは云われることがあった。どれも、革新系の人たちからである。
 あたしそんな顔してんのかな。と、思っていたけど、サナエそっくりの議員がその党にいるのを知っている。その議員と間違われることがあるくらいだ。
 議員をやるほどマメじゃないし、演説なんて無理だと思う。それにタクマの話に乗ると、あたしは確実に逮捕されそうだ。
 サナエは餃子を食べて、紹興酒を飲んだ。この組み合わせは美味しい。
 携帯にメールが来た。タクマからだった。
 『頼むで』
 だから、無理だって。
<取材 サナエ@女優 記事 紙本櫻士@コピーライター>

京都駅『凡凡屋』(京都)女優サナエ、ひとり酒。

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金明飯店
住所 大阪府大阪市北区梅田1ー2ー2 大阪駅前第2ビルB2F
電話 06ー6341ー2788
交通 JR東西線北新地駅(駅前第2ビル最寄りの改札)から徒歩1分
   阪急梅田駅から徒歩10分
   JR大阪駅から徒歩7分
営業 11時から23時30分
定休日 無休
ひとり、千円くらいでした。お疲れさまセットは818円です。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

浅草『大成苑』(東京)浅草下町純情焼き肉屋。

学生の頃から通ってる
昭和な焼き肉屋さん。12182369_916930231732842_1808345843_n


 高校生の時、初めて女の子とデートした時にさ、ふたりで映画を観たんだよ。ハルカって云う娘。僕はクラスで一番可愛いと思っていたんだ。で、勇気を出して電話をかけて映画に誘ったんだ。『スターウォーズ 帝国の逆襲』ってやつ。

 僕は、1時間も前に約束の場所に着いて、文庫本を読んで待ってたんだ。たぶん小林秀雄とかそんなのだったと思うよ。
 ハルカは30分くらい遅れてきたんだ。
「ごめん、待った?」
「ぜんぜん、僕は本があればいくらでも待てるんだよ」
 さすがに、1時間半待つのは大変だったんだけどね。ハルカの顔を見ると、そんなことはもうどうでもよくなってたんだよ。
 
 映画館では、ドキドキだった。
 何かの拍子に手が当たると『手くらい握った方がいいんじゃないか』とか思うわけだよ。結局、そんなことはできやしないんだけどね。たまに彼女の横顔が綺麗だな、と眺めたりしてたから映画の内容は良く覚えていないんだ。
 何年か後、テレビで放映された時に、こんな話だったんだ。と、気づいたくらい。
「あ、ビールと、ロースとヒレください」
 携帯電話がなかったから、誘うのも大変だったよ。電話したら親が出るからさ。お母さんや姉さんならまだいいんだ。お父さんが出てこられると、何云っていいか分からなくなるし切りたくなるね。実際、一度、切ったことがあるかな。
 あーあるね。
 なぜ、こんな話をするかって? 
 映画が終わったら、ここにハルカとご飯を食べに来たからさ。マクドナルドにしようか、迷ったんだけど『大成苑』に、さ。
 友だちとたまに来てたから、ちょっとした馴染みだったんだよ。焼肉屋じゃなくて、マクドナルドにしとけば良かったって、今なら思うよ。
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 よくさ、深い仲になった男女が焼肉屋で食べるって云うでしょう。
 僕は、最初のデートで来ちゃった。何を食べたかは覚えてないよ。お金もなかったし、きっと、安い肉とクッパ・・・。基本、高校生はご飯と安い肉だよ。
 ハルカは焼肉屋に来たのは、初めてだって云ってたなぁ。本当かどうかは知らないけど、たぶん、喜んでたと思う。クラスメートの話とか、先生の話しとか、部活の話しとか延々話してた。その時の、ハルカは素晴らしく可愛かったんだ。
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 僕は、ビールをひちくち飲んだ。
 その時はビールなんか飲まないよ。水? コーラかな?
「クッパください」
 ハルカと食べた懐かしいクッパだ。
 ハルカはどうしてるかって?
 高校を卒業してからは、一度しか会ってないな。すれ違っただけ。で、挨拶程度だったな。なんか、ハルカ変わってたし。
 ここは、変わらないなぁ。今でも、浅草に来ると足がむくんだ。こうしてさ。オマエとも会えるし。
 アライはどうしてる? ずいぶん会ってないな。ハルカとアライつき合ってたのかな。え、オマエ、アライの携帯知ってる?
 ハルカとアライも呼ぼうって、悪い冗談だ。
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「ビールお代わりください」と、僕が云った。
 会いたいとは思うよ。正直言って。
 おいおい、電話するのはやめろって。馬鹿だな。僕は出ないよ。
 アライが来る? ハルカも?
 もう、どうでもいいや。ビールお代わり!!
<取材 アラピー@キャンプ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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大成苑
住所 東京都台東区浅草2ー13ー13
電話 03ー3841ー5544
交通 つくばエクスプレス浅草駅A2口から徒歩3分
営業 12時から翌2時(月曜から日曜)
ひとり3千円くらいでした。せんべろじゃないけど旨い懐かしい焼肉屋さん。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
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土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

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撮影 田原慎一

長尾『鶏っち』(大阪)猫の結婚相談所。

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 雷が鳴った。
 話しも弾まないお見合いが終わって、サナエが帰る途中のことだ。
 ポツリポツリと、雨粒が落ちてきた。折りたたみの傘はなかったかな? と、鞄を探るが生憎、傘は事務所に置いてきたらしい。

 傘を買おうかと探していると、いつかの猫が現れた。
「おや、いつかの姉さん」と、猫が云った。
「ここも君の縄張りなの?」
「最近、世知辛くてねぇ、遠征してるんですよ」
「八剣伝は旨かったでしょう?」
「まぁまぁかな」
 サナエがそう云うと、猫は座ってぺろっと手をなめた。
「あそこの残り物は旨いんだけど・・・」
 残り物が旨いと云われても、困る。
 とはいえ雨宿りができそうなせんべろ屋はないか、と猫に訊いてみた。この辺には詳しいみたいだし。
 ピカッと空が光った。猫が耳を後ろに伏せて警戒をした。
 雷が苦手らしい。
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「降ってきそうですね」と、猫が空を見上げながら云った。
「雨宿りにちょっと飲める、ええ店知らん?」
「鶏っちは、どうです。この辺りじゃぁ新顔の店やけど、おいらたちの間では、いい匂いって評判や」
「食べたことないの?」
 へへ。と猫は笑い。
「おいらは、お金がないもので」と、云った。
「行ってくるわ。お土産も買ってきてあげる」
 そいつはどうも、と猫は手をなめた。
「いいことあるかも知れませんよ。店主は、独身やし」
 猫はそう云うと、狭い路地に消えてしまった。
 風が強くなってきた。低気圧が近づいているのだ。
 サナエは鶏っちへ急いだ。
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 店に入ると同時に、大雨が降ってきた。
「いらっしゃいませ」と、店主が云う。
 店内には誰もいない。時計を見ると、まだ、6時前だった。日が暮れるには早かったが、外は嵐で真っ暗である。
「季節外れの夕立やから、やみますよ」と、店主が洗い物をしながら云った。
「そうだといいねんけど」
 サナエは日本酒を頼んだ。それと焼き鳥。ついでに猫のお土産も。
「独身なんですか?」と、サナエが訊いた。
「そうですけど、どうしてですか?」
「猫がいってたから」
「え?」
「実は、さっきまで見合いしてまして、つい訊いてしまうんです」
 店主は、手を拭きながらサナエを見た。
「猫ってなんです?」
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 こんな猫見ませんか? と、サナエは以前撮った猫の写真を見せた。
「知りませんねぇ。このあたりをうろついてるんですか」
「ええ、まぁ」と、サナエは口を濁した。
 猫と話してるなんて云うと、変な女だと思われてしまう。

 今月は、お見合い強化月間だった。
 二週間に5人会ったけど、どいつもこいつも今ひとつである。子分みたいな男ばかりだとサナエは思っていた。
 お母さんと一緒に来て、自分はほとんど話さないやつ。明らかに人づき合いが苦手で、結婚に向いてなさそうなヤツ。どいつもこいつも・・・。
「どんなタイプが好きなんですか?」と、サナエが訊くと、
「阿部寛か速水もこみちがタイプです」と、さっき会った相手は云った。
 本人が気づいてないかも知れないけど、絶対にゲイだと思う。

 見合いにも飽きていた。
 猫にお見合いを進められて、これで6人目?
 あかんあかん、猫にお見合い相手を進められるようじゃお終いだ。とすると、お土産は紹介料なのか?
 サナエは日本酒をお代わりした。
 しばらくすると
「やんだようですよ」と、店主が云った。
「持ち帰りの焼き鳥できました?」
 これは紹介料だ。
 サナエは支払を済ませて、店を出た。すれ違いに子どもふたりを連れた夫婦が店に入っていった。絵に描いたような楽しげな家族だな、とサナエは思った。
 
「見合いどうでした?」と、猫が現れて云った。
「もう、ええって」
 サナエは紹介料の焼き鳥を猫に渡して云った。
「まだまだ、隠し球はあります」
 猫は美味しそうに焼き鳥を食べて云った。
 
雨は嘘のように上がり、夜空に半月がでていた。
<取材 サナエ@女優 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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鶏っち
住所 大阪府枚方市藤阪中町6ー40
電話 072ー867ー7533
交通 JR長尾駅から徒歩8分
営業 17時30分から24時
定休日 月曜日
ちょい飲み千円ちょいでした。
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撮影 田原慎一

堺筋本町『源』(大阪)なぜ、韓国料理は辛くなったのか?

生マッコリに自信あり。IMG_4215

「なんで韓国料理は辛いんだ?」
 『源』という韓国料理屋の前で僕が云うと、
「ほなら食ってみようや」と、佐々木が云った。
 料理屋は、時間が早いせいか店は空いていて僕たちだけだ。
「とりあえず、生」と、佐々木が生マッコリを注文した。
 テーブルに『当店のマッコリは、生マッコリだから味に自信があります』と書かれたモノがわざわざ置いてあったからだ。きっと旨いのだろう。
「加熱処理をしてないのが、生マッコリや。乳酸菌が生きてるってことやな」と、佐々木が云った。
 飲んでみると、まろやかで飲みやすい。
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「韓国料理は、唐辛子のサプカイシンって成分が辛いんや」
「水が欲しくなるね」と、僕が云った。
唐辛子系は、水を飲んだら最悪や、さらに火がつくで。印度料理では、同じ乳酸菌のラッシー飲むやろ。乳製品は、唐辛子系の辛さを中和するんや。生マッコリも同じやと思うで」
 頼んだ豚キムチが来た。一口つまんでみる。
「これは、旨いね」と僕が云うと、
「意外やな、たまたま入った店やけど、この豚キムチは絶品や。俺がこれまで食べてきた豚キムチを1ダース並べたら、イチバンかもしれん」と、佐々木が感心しながら云った。
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「メキシコ、アフリカ、韓国、四川、インド、タイ」と僕が並べると、
「辛い国ばっかりやな。でも、韓国だけが異質や」と、佐々木が云った。
 確かにそうだ。四川は寒い地方もあるけど、基本、亜熱帯である。暑い国の人々は、辛い食べ物で新陳代謝を上げて乗り切ると聞いたことがある。どれも、暑い国ばかりだった。
 ではなぜ、韓国は辛いのか?
「唐辛子は、日本から韓国に渡ったらしいで、文献にもいくつか記録が残ってる。ほんならなんで中国の『唐』なんや、ってことになるけど、当時、外国のことをなんでも唐って云ってたわけや」
「日本はなぜ辛くならなかったんだろう?」
「熱帯ちゃうしな」
「沖縄は?」と、僕が訊いた。
「韓国は赤いもんが好きみたいやで。唐辛子が入ってくるまでも、わざわざ料理に色素と使って赤く着色してたくらいや。赤が悪霊を遠ざけるのに効くって信じてたのもあるな」
「首里城は赤くないか?」
「沖縄は謎やけど、塩に関係あるのかもしれん」と、佐々木が云った。

 僕は白ワインを注文した。佐々木はビールを。それと、韓国海苔巻きのギンパ。酢飯じゃなく、ごま油を使った巻物だ。日本の海苔巻きに由来する料理である。
「キムチを食べてから、ワインとビールを飲み比べてみよう」と、佐々木が云った。
 やってみると、ワインもビールもさらに辛い。やはり唐辛子には、生マッコリがいいようだ。
「これは、あかんわ」と、佐々木が云って顔をしかめた。
 僕は口直しに、甘いギンパを食べた。
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「あんなに韓国の料理が辛くなったのは、わりと最近なんや。ひとつは、塩が不足した時代に、唐辛子を代用した。日本は、沖縄も塩が不足したのは聞かんからな。それでなくても、俺たちは塩の取り過ぎって云われるくらいや」
 白ワインをやめて、また、僕は生マッコリを頼んだ。ずっと、料理が旨く感じるしね。
 やはり土地の食べ物は土地の酒である。
「豚キムチ旨いな。次も辛い国を探検しよう」と僕が云うと、
「実は、辛いもんが苦手なんや」と、笑い佐々木が舌をだした。
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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源(げん)
住所 大阪府大阪市中央区本町橋1−17
電話 06−6809ー2453
交通 地下鉄堺筋線 堺筋本町駅13番出口から徒歩6分
   地下鉄中央線 堺筋本町駅1番出口から徒歩6分
営業 11時30分から16時 17時から24時(火曜日から日曜日)
定休日 土曜日
ひとり2千円くらいでした。
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年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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撮影 田原慎一

香里園『鶏おう』(大阪)幽霊チサトのやり残し。

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 僕がパソコンをパタパタと叩いていると、ガタっと階下で音がした。
 いつものように猫がサッシを開けてくれと云ってるのかな、と、僕は仕事を中断して、下に降りてみた。
 ガサイレと僕が呼ぶ猫が、たまに音をたてるのだ。
 シンと静まりかえったリビングには、誰もいない。
「誰かいる?」と、僕は独り言のように声をかけた。
「こんばんは」
 声のする方を見ると、チサトがキッチンのテーブルに座っていた。
 リボンのついたベージュのフェルトハッとをかぶり、紺のジャケットを着ている。
 ガタっと、また、音がした。
「猫が来てるみたいよ」と、チサトが云った。
「ガサイレだよ。きっとお腹が減ってるんだ」
「飼い猫?」
「ガサイレは、ハシイさんとこの猫だよ」
 僕は、冷蔵庫からチクワを一本出して、縁側に来ているガサイレにあげた。ガサイレは、チクワを咥えるとどこかへ消えてしまった。
「なんで、ここにいるんだ」
「まだ、やりたりないんだよ」

「葬式に行ったよ」
 チサトは、一ヶ月前に死んでいた。聞くところによると、アルバイトの昼休みが終わったら、倒れて息をしていなかったらしい。死因は、不明だという。
 眠っているような、今にも起きてきそうな死に顔をしていたのを覚えている。自分が死んだことに気づいていないように・・・。
「なんで怖がらないの?」
「キッチンに座って『こんにちは、猫が来てるみたいよ』って、自然に云われたら怖がる間もないよ」
 足だってあるし、幽霊のように見えなかった。
「成仏ってやつは、しないの?」
「知らないわ」
「やり残したことがあるとか?」
「そうねぇ、まず、飲みに行こう
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 チサトが宮崎地鶏に来たことがない、というので『鶏おう』に行くことにした。
 やり残したことが、宮崎地鶏に行くこととは思えないけど、やり残した幽霊がそう云うのだから仕方が無い。
「僕以外の人には、見えないの?」
「店に行けば分かるんじゃない」
 そういうものかと思い、一緒に、店に入ってみた。
「お一人様ですか?」と、店員が云った。
「やっぱり見えないんだ」
「え? どうしました?」と、店員が云った。
 チサトはさっさと、空いてる席に座っている。
「もう一人くるから、ここで」と僕は云い、チサトの前に座った。
「なんか変な感じだ」
「宮崎だから、芋焼酎ね。それと、鳥刺し」と、チサトが云った。
 幽霊が食べられると思えないけど、芋焼酎ふたつと鳥刺しを注文した。
 芋ロックが来た。
「陰膳ってやつだな」と、僕が云うと
「何それ?」と、チサトが焼酎を一口飲んで云った。
「手品みたいだな。他の人には、どう見えてるんだろう」
「どうでも、いいじゃない」
 鳥刺しもぱくぱくと食べている。鳥刺しの幽霊(みたいなもの)を食べているのかもしれない。チサトが食べても鳥刺しは減らないみたいだから・・・。うまくは云えないけど。
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「せんべろ手帳ってのを作ろうって計画してたやんか。あたしの企画書も、とまってるでしょ。きっと、それがいけないんだわ」
 そーなのか?
 お代わりちょうだい。と、チサトが云うと女の子の店員が振り向いた。僕以外の人が、チサトに反応するのが妙だったが、霊感の強い店員なのかもしれない。
「芋ロック下さい」
 僕が繰り返すと店員が怪訝な顔をした。
 誰もいない席で、僕が独り言を呟いて、二人分頼んでる。端から見ると気味悪いんじゃないか。

「幽霊の客に慣れてないみたいやね」
「誰だって慣れてないよ」
「事務所で気が済むまで、仕事の続きをしたい」
「そーすれば成仏するのか?」
「知らないわよ」
 そう云うと、チサトは芋ロック(の霊)を飲み干した。
「あたし海外旅行にも行ってないし、ゴルフもしてないし」
「それ全部しないと成仏できないなら、世の中、幽霊だらけだ」
「そうねぇ、あたしって変わった幽霊?」
 鳥刺しが来ると、チサトがさっと箸をつけた。
「美味しいわよ」

「お連れ様は、来られそうですか?」と、店員が訊いた。
「もう、来てるし」と、チサトが云った。
「来ないようです。これを飲んだら帰ります」
「なんか、そこに誰かいるようで・・・。すみません、変なこといって」
 分かる人もいるんだ。さっさと帰った方がよさそうだった。
「ロックお代わり」と、チサトが云った。
 酔っているようだった。幽霊も酔うらしい。
「芋お代わりですね」と、店員が云った。

「あー、そーです」と、僕が云った。彼女には、聞こえているんだ。
「ややこしいから黙っててくれ」と、僕はチサトに云った。
「すみません」と、店員がなぜかオドオドと謝った。
 面倒なことが始まりそうな気がしていた。
「もう、一軒行こう」と、チサトが先に外にでて僕を呼んでいた。幽霊に取り憑かれが男が死んでしまう牡丹灯籠を、僕は思い出していた。
 大丈夫なんだろうか? 俺。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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鶏おう
住所 大阪府寝屋川市香里新町7ー3
電話 072ー835ー3370
交通 京阪本線香里園駅から徒歩2分
営業 17時から翌1時(月から木・日) 17時から翌2時(金・土・祝日前)
定休日 不定休
ひとり? 二千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

土佐清水『まるくす亭』(高知)せんべろやりよります。

土佐のせんべろぜよ!12167478_839858796111541_520824759_n

 パラダイスに行った。
 川漁師のえっちゃんが働いている店だ。最近、えっちゃんは早番が川漁師、遅番がパラダイスなのである。
「何時間くらいかかったん?」と、えっちゃんが云った。
「枚方から7時間くらいかな」
「疲れたろう。土佐の酒、今夜は飲もう」

 わっとおねーちゃんに囲まれた。
 「献杯やろう。日本酒持って来てや」と、えっちゃんが云った。
 献杯と返杯が続く、土佐の酒の作法である。

 土佐の人たちは酒が出ると、すこぶる陽気になる。文字通りパラダイスである。
 そういえば何かの小説で、坂本龍馬たちの宴会シーンを読んだことがある。よくは覚えていないけど、倒れて反吐が出るまで飲まさないと、土佐の接待は成功したといえない。と書かれてあった。
 えっちゃんたちと飲んでいると、あれは誇張じゃないな。と思うよ。

 えっちゃんとの出会いは奇遇だった。
 四万十川に取材に行った時のことだ。地元の人たちにインタビューをしたんだけど、その中にえっちゃんがいた。カメラマンもエディターもクライアントも東京だったけど、僕だけが大阪だ。
「うち、来年の4月に枚方に『寺田屋』って居酒屋出すんです」と、えっちゃんが僕の名刺を見て云ったのを覚えている。
 四万十まで7時間くらいかかるのに、家から10分のところに店が出来たのも驚きである。
「淀川で寺田屋って云えば、坂本龍馬だよね」と、僕が云った。
 坂本龍馬が泊まっていた伏見の船宿が『寺田屋』だからだ。
「知らんかった。うち、苗字が寺田やから。寺田屋やから」
 偶然だったのか・・・。苗字だたのか・・・。
 なるほどである。
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 さんざん献杯・返杯をして、僕たちはパラダイスを出た。
 何を話したのかも覚えていないし、もはやここがどこかも怪しい。
「もう一軒行こう」と、えっちゃんがフラフラしながら云った。
「土佐にせんべろ屋ってあるの?」
「あるっちゃ」
 案内してくれたのは、土佐清水にある『まるくす亭』だった。中村から車で30分くらい。運転手してくれたのは、パラダイスのユカちゃんだった。
「お腹空いたねぇ」と、助手席のえっちゃんが云った。
 暗い道を飛ばしたら、土佐清水まであっという間だった。酔っていたからかもしれないけど。

『やりよります』
 店に着くと土佐弁で看板が出ていた。方言がなんともいい。
「うちボトルあるから、それで飲もう」と、えっちゃんが云った。
「何がうまい?」
「宋だ鰹とか焼き節とかかな」
 じゃーそれを、と頼み、ボトルは『いいちこ』なので、僕は麦ロックを。
 ユカちゃんは、ウーロン茶だ。
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「お腹空いたー。やっとごはんや」と、ユカちゃんが云った。
「ここ、ボロやけど客筋がええし、お気に入りや」と、えっちゃんが云った。
 いい味だしてる。ボロいところも、むしろいい感じだ。
「龍馬は、鯖寿司が好きだったらしいよ」と僕が云うと、
「そうなん」と、えっちゃんは興味なさそうに云った。
「枚方の寺田屋で、龍馬の鯖寿司だしてよ。あそこなら、僕の家からすぐだ」
「じゃぁ、考えてよ。食わしちゃるけん」
 僕が考えるのかよ。とは思ったけど面白いかもしれない。

「換気扇掃除しないのかなぁ」と、えっちゃんが呟いた。
 汚れてはいるけど、これもまるくす亭の味である。
「いつまでおるん?」
 二、三日? 連日、パラダイスで献杯返杯に呼ばれると死にそうなので、適当に答えておく。ユカちゃんが、宋だ鰹をうまそうに食べていた。
 部屋がぐるぐる回っていた。かなり酔っているらしい。
「換気扇、綺麗にしたいなぁ」と、えっちゃんがぼんやりと呟いていた。
<取材 エツコ@パラダイス 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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まるくす亭
住所 高知県土佐清水市栄町430ー119
電話 0880ー82ー3467
土佐のせんべろ屋です。ボトルがあったけど、ひとり千円以下です。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

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撮影 田原慎一

錦糸町『丸源』(東京)立ち食い蕎麦屋で、せんべろ。

立ち飲みハードボイルド。12166790_914156292010236_291640807_n

 山本カオリが殺害された。
 港署の張刑事が現場に着くと、白金にあるお屋敷は封鎖され、警備の警察官が立っていた。パトカーが数台停めてあり、関係者意外入れないように、黄色いテープが張り巡らされている。
「鑑識は?」と、張が部下の竹下に訊いた。
「10分後に到着します。ホトケさん見ますか?」
「いや、いい」

 張は庭に出た。手入れの行き届いた日本庭園だ。殺された女の父親は、薬品会社のオーナー社長だ。都内の一等地に日本庭園を造るとは、豪儀なもんだな、と庭を眺めながら張は思った。塀は高く、監視カメラもある。一見して、進入するのは難しそうに思えた。
 池に近づくと、鯉がエサを求めて寄ってきた。張は集まってくる鯉を見て、金持ちに群がってくる人たちを思い浮かべていた。自分も含めて・・・。
 竹下が駆け寄ってきた。髪を7、3に分けた若い刑事だ。配属されて、2ヶ月も立っていない男だ。
「鑑識は?」
「すみませんまだです」
「遅いな」
 張はタバコを吸いたかったが、我慢をしていた。昔は、現場でも吸えたものだが・・・。
「被害者は、山本カオリ。25歳。最近、離婚して奥村から旧姓の山本に戻しています」
「ちょっとは慣れたか?」
「まだ、何も分からなくて、先輩に教わっています」
「前の旦那は?」
「連絡がつきません」
「屋敷には誰がいた」
「山本カオリ、ひとりと思われます」
「広い屋敷に、ひとりか」
 ひとりになりたかったのかもしれないな。と、張は思った。秘密で誰かに会うとかだ。
「誰かと部屋で会っていた形跡は認められます」
「なるほど」と、張は云ってメモっていた手帳を閉じだ。
 胸ポケットからメールが届くバイブの音がした。
 携帯を開けメールの発信先を見ると、張の顔色が変わった。
「よろしく頼む」
 携帯をポケットに仕舞うと、張は慌てて現場から立ち去った。
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 平日の午後遅く、アライは丸源で蕎麦を食べていた。
 隣では、スーツを着たサラリーマンがスポーツ新聞を読みながらビールを飲んでいる。営業の途中なのかもしれない。丸源は、立ち食い蕎麦屋だけど、立ち飲みの客がメインの店だ。さっと飲むアライのお気に入りの店だった。
 アライはビールを追加した。
 今日も、適度に常連でカウンターが埋まっていた。どうも蕎麦とビールだけでは、物足りない。どうしたものかと思い、チラッと新聞を横目で見ると『美人令嬢殺害』というタイトルの下に、見覚えのある女が写っていた。
 南署の張刑事が告げに来た事件だ。と、咄嗟に思った。
「悪い、その新聞見せてくれないか?」と、アライはサラリーマンに云った。
 サラリーマンは、黙ってスッと新聞を畳んでアライに渡してくれた。
 アライが、食い入るように記事を読んでいると、
「知り合いかい?」と、カウンターで焼酎のお湯割りを飲んでるオヤジが尋ねた。 くたびれた黒っぽいシャツを着た腹の出たオヤジだ。
「いや。美人だなと思ってね」
 アライがはぐらかすと、
「元旦那が怪しいっすよね。逃げてるんでしょう」と、若い学生風の男が云った。
「重要参考人らしいね」と、サラリーマンがビールを飲んで云った。
 意外に話題になっている事件らしい。
 写真のカオリは笑っている。どこかのパーティーの写真のように思えた。スポーツ新聞が部数を伸ばすために使いそうな写真だった。
「金持ちなのに、なんで殺さたんだろう」と、学生が云った。
 アライは焼き鳥を頼む。それとお代わりのビールも。
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「学生さん金持ちだからだよ。私なんか、金がなくて死にそうだけど、そんなトラブルには巻き込まれないよ。気楽なもんさ」と、お湯割りオヤジが云った。
「元旦那、俺見たことあるよ。新宿でホストのバイトやってたオクムラだ」と、学生が云った。
「一緒に仕事してたの?」と、アライが訊いた。
「ああ、俺は勤まらなくてすぐに辞めちゃったけどね」
「この奥さんは見覚えある?」
「俺、すぐ辞めたから」
「兄さん、まさか、警察じゃねぇだろうな」と、オヤジが云った。
「ただの野次馬だよ」
「いい仕事見つけたとか云ってさ。奥村は俺と一緒に辞めたんだ」と、学生が云った。
 その仕事が、金持ちの奥さんなのかな、とアライは思った。
「奥村はいまどこにいると思う?」と、アライがクイズのように訊いてみた。
「アルゼンチン」と、学生が云った。
「なんで?」
「地球の裏側に儲け話があるって自慢してたからさ。嘘っぽいけど」と、学生が云った。
 アルゼンチンか・・・。ことによると、当たっているかもしれない。オクムラの気配が、どうもしないからだ。
<取材 アライ@キャンプ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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丸源
住所 東京都墨田区江東橋3ー12ー1
電話 03ー3632ー4996
交通 錦糸町駅から徒歩2分
営業 11時から15時 17時から22時(月から金)
   11時から20時(土・日)
せんべろです。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
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掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

堀詰『関羽』(高知)名物は、ゆでタン。

店主は、土佐のいごっそう。12178279_841370642627023_1132692219_n

 高知へ遊びに行くことになり、エツコはR56号をアウディーで飛ばしていた。
「もうちょい、ゆっくり走ろうよ。えっちゃんの運転はひやっとするけん」と、助手席のゆうちゃんが云った。
「コンビニ寄るで、喉が渇いたけん」と、窪川と書かれた看板を見てエツコが云った。

 ゆうちゃんがトイレに行っている間、ホットコーヒーをクルマの横で飲んでいた。遠くで鳥が鳴く声がした。熱いコーヒーを飲みながら、声のする方を見ると雲ひとつ無い青空が広がっていた。

「駅って遠いん?」
 男の声がした。
 振り向くと、ハンティング帽を被ったおじさんが立っていた。口ひげを生やしてジーンズに赤いTシャツを着た50歳くらいの痩せた男だ。
「歩いたら、日が暮れるくらい。遠いよ」と、エツコは云った。
「俺、高知まで行くねんけど、よかったら乗せてくれへん?」
 図々しい男だと思った。それに妙になれなれしい。
 さっさと断って仕舞おうと思っていたら、
 ゆうちゃんが、コンビニの袋を提げて戻ってきた。
「どうしたが?」
「高知までヒッチハイクしたい云うちょうが」
「頼んますわ。仲間とはぐれてん。俺、ユースケってミュージシャンや」
「歌ってるの?」

 ユースケは、これ。と云って、ポケットからなにやら出した。
「ハーモニカ?」と、ゆうちゃんが訊いた。
「ブルースハープや」
 そう云うと、ユースケはハープを鳴らした。
「えいで。その代わり演奏聴かせて」と、エツコが云った。
 商談成立である。

「こんなんもあるで」と、ユースケは大きな鞄からウクレレを出した。

 フランク永井は低音の魅力 神部一郎も低音の魅力
 水原ヒロシも低音の魅力
 漫談の牧伸二は低能魅力
 あーあーあ、やんなっちゃった、あーあーあ驚いた。

「何それ? おもろい」と、ゆーちゃんが云った。
「聞いたことある。でも、むっちゃ古いが」
「ウクレレええやろ。なんでもできるで」と、ユースケが笑いながら云った。
「かっこええヤツないの?」と、ゆーちゃんが云った。
「あるで」と、ユースケが云った。
 ジャズ、シズムアンド・ブルース、昭和歌謡。ユースケの演奏を聞いているうちにあっという間に、高知市内に着いた。
「今晩はライブとかあるん? 聞きにいくけん」と、ゆうちゃんが云った。
「ライブは一昨日、中村でやったんや。パラダイスって店」
「その店、むっちゃ知ってる」と、エツコが云った。
「今晩、堀詰にある『関羽』って店で飲んでるけん」と、ゆうちゃんが誘った。
「おおきに、じゃぁ、行こうかな」と、ユースケはクルマを降りて手を振った。
「絶対、来てね」と、ゆうちゃんも手を振っていた。
 ゆうちゃんは、惚れやすい。ダメンズばかりに引っかかる。
 危ない兆候だった。
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 『関羽』は、昔から馴染みの店で、高知に来るとなんとか時間を作ってでも、店主のオヤジさんに会いに来る。風貌が中国の武将、関羽のような白い髭を生やした土佐のいごっそうである。
 
開店前から人が並ぶくらい、地元では人気店で、今夜はうまく席が空いていてエツコはほっとした。
 
とりあえずビールと名物のゆでタンを頼む。このゆでタンが旨いのだ。
「ユースケくるかな?」と、ゆうちゃんが云った。
「また、変な男にひっかかるなよ」
「えっちゃんこそ」と、ゆうちゃんが笑った。
 人のことは云えない。でも、あの男はないやろう。と、エツコは思っていた。エツコには分かるのだ。あれは、ダメだと・・・。
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 来ないかな、とふたりが思った頃、ユースケが現れた。
 ゆうちゃんの顔がパッと明るくなる。絶対に、危ない。
「ちょい迷いましたわ」と、ユースケが云った。
「昼間、カッコよかった」
 酔ったらしく、ゆうちゃんは顔が赤かい。ユウスケは、ゆうちゃんの隣に座って、ビールを頼んだ。
「明日は、大阪に帰るが?」と、エツコが聞いた。
「あてもないし、どうしようか迷ってるねん」
「うちが、高知案内ちちゃるけん、おりよ」と、ゆうちゃんが云った。
「ほんまに?」と、ユウスケはビールを飲んで云った。口ひげにビールの泡がついている。
「ゆうちゃん、明日仕事やろう」と、エツコが云った。
「大丈夫や」
 そう云うと、ゆうちゃんはビールを飲み干してお代わりをした。軽くユウスケに寄り添っている。まぁ、いいけどね。
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「そんなら、俺、中村に戻って観光しようかな。やることもないし」
「はぐれた友だちは?」と、エツコが云った。
「ええねん。あいつらは」
「中村でライブやったらええが」と、ゆうちゃんが云った。
 もはやどうしようもない。とエツコは思った。ふたりとも大人なんだし。
 今夜は飲もう。折角の、高知で『関羽』だ。と、エツコは思った。
「おかわり!!」と、エツコが叫んだ。

 エツコも酔っていた。
「えっちゃん、まだ、飲み足らんやろう」と、店主が云った。
「おう、飲もう。飲もう」と、エツコが店主に云った。
「わたし楽しい」と、ゆうちゃんが云った。
 なんか女になってる。と、ゆうちゃんを見てエツコは思った。
 ひょっとすると、あたし邪魔なの?
<取材 土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス>
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関羽
住所 高知県高知市帯屋町1ー9ー19
電話 088ー823ー0982
交通 堀詰駅から徒歩2分
ひとり2500円くらいでした。
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浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
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盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

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撮影 田原慎一
 

香里園『希望』(大阪)ピンサロの隣、場末のせんべろ屋。

寝屋川には、希望がある。IMG_1638

 従兄弟のススムから電話があった。
「どこにいるの?」と、サナエが訊いた。
「希望って店」
「じゃぁ、店を出て駅まで来てよ。改札で待ってるから」
「お金がないんだ」
「いくら持ってるの?」
「ワンコイン」
「500円!」
「いや、100円」
 サナエがいなければ無銭飲食である。ススムに『希望』にいろと云って、サナエは急いで寝屋川に向かった。災いがやって来たような気分だった。
IMG_1647
 『希望』は、文字通り繁華街の外れの場末にあった。
 隣はピンク色の看板を掲げる風俗店だ。ススムがいなかったら、来ることもなさそうな場所だ。年期の入ったひさしに『居酒屋』と、大きく書いてある。これじゃぁ、希望じゃなく居酒屋って店名だと、サナエは思った。
「なんで、寝屋川におるねん」と、店に入るなりススムに云った。
 ススムは、4人がけのテーブルでひとりで飲んでいた。赤いディバックが椅子に置いてあり、ブルーのジャージにくたびれたスニーカーを履いている。ススムは、長崎の実家に住んでいるハズだが・・・。
「お金ねーのに、どうやってここに来れたの?」
「青春18切符が残ってたんだ」
 なんで、青春18切符なんや。どこが青春なんや。
「若くないのに、青春18切符をなんで使えるんだ。と、いま、思ったでしょう」
 ススムはビールを飲むと、得意げに云った。勘だけは鋭いのだ。
 金もないのに、よく平気でビール飲めるな。と思い、サナエも麦ロックを頼んだ。
 おっと、今考えたのもバレてる?
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「何歳だって使えるんだよ。魔法の切符なんだ。24時間乗り放題」
 鉄男かよ! どこまでも脳天気である。
「どうして大阪に来たん?」と、サナエはあきれて云った。
「お母さんと喧嘩してさ。いつまでもバンドやってどうするんだ。って、朝から鬼のように怒るんだよ。うるせーばかやろーって、云って・・・」
「当たり前だろ。40歳にもなって無職でバンドで一発当てるって云えば、おばさん怒るよ」
「だから、家出してきた。サナちゃんとこに泊めてよ」
「ありえねー」
 サナエは、長崎の叔母さんに電話をしてススムが大阪に来ていると伝えた。電話の向こうで「ごめんね。すぐ帰るようにするから」と、頭を下げている叔母さんの姿が見える。最悪だ。

「で、どうすんねん?」と、サナエは云った。
「オーディション受けたりするよ」
「ギターは? あては?」
「ない」
 ススムは、子どもの頃は可愛いかった。サナちゃん、サナちゃんって、いつも追いかけてきていたのを覚えている。でも、今は40で無職、独身のオッサンである。ないわー。
「サナちゃん、女優やってるんだって?」
「仕事もしてるぞ」
「僕も、劇団入れねーかな。ここのおばんざい旨いよ。サナちゃんも食えよ」
 100円しか持ってねーオヤジが何云ってんだ。馬鹿なの? 死ぬの? 
「着替えとかは?」
「ない」
 そう云うと、ススムは麦ロックと里芋の炊いたんを頼んだ。
「ディバックに何つめてんねん」とサナエが訊くと、
「JR時刻表と、漫画」と、ススムが云った。
 もはや、何も云う気にもなれなかった。
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「ここの店、希望って云うんだね。いまの、僕にぴったりだ」
「パンドラの箱を開けたら、一瞬にしてろくでもないものが飛び出してさ、希望だけが残ったっていうギリシャ神話知ってる?」
「それくらい知ってるよ。それがどうしたの?」
「箱に希望が残ったから、そいつに希望はないんだよ」
 へへへ、とススムが笑った。何が可笑しいんだろう?
「僕は、大器晩成なんだ」

 これ以上話しても無駄だと思った。サナエは仕方なく、ススムを部屋に泊めることにした。しょうがねぇじゃねーか。
「希望って店名がいいね。旨いしさ。また、来ようよ」と、ススムが云った。
 帰り道、ジャージ姿でのろのろついてくるススムを見て、
「死ねばいいのに」と、サナエは本気で思っていた。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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希望
住所 大阪府寝屋川市香里新町29ー13
電話 072ー832ー6032
交通 京阪本線香里園駅から徒歩2分
ひとり千円ちょいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
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撮影 田原慎一

土佐清水『道楽亭』(高知)川ごはん。海ごはん。

川漁師体験取材がやって来た!11263081_820637848014494_7247814257753302601_n

 今日も四万十の空は雲ひとつなく、ここのところ快晴が続いていた。
「ウナギがよう捕れよう」
 リョウさんは、細長い仕掛けからウナギをバケツにザッとあけながら云った。ウナギの他に川魚、エビもいる。

「それ、スッポンやろう」
 スッポンが、くねくねとバケツの中で暴れているのを見て、エツコが云った。ウナギの仕掛け(延縄)にスッポンが紛れ込んでいたらしい。
 不安定な舟の上で転ばないようにふらついて危なっかしい。エツコは、まだ、舟に慣れていない。
「スッポン鍋は、どうや」と、リョウさんが云った。
「うちが泥抜きするけん、来週にでも鍋にしよう」
「で、あれ、どうなった?」と、リョウさんが訊いた。
「あれって?」
「あれやんか」
「わからん、あれ云われても」
「俺に紹介してくれるって娘や」
「あれかぁ、のうなったわ」
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 リョウさんは、舟先に座ると黙ってタバコに火をつけた。
「ほうかい」と、しばらく黙ってから呟いた。そんなに期待してたのか、とエツコは意外に思った。
川漁師体験の企画がうまくいきゆう。今夜は、その打ち合わせや」
「話しをはぐらかしなや」
 エツコが始めた川漁師体験に客が集まり始めていた。遠くは東京や長野からも申込みが来る。仕事を辞めて恐る恐る始めた事業だったが、やっと注目されはじめていた。
「今晩、テレビ局が来るけん、一緒に来てや。うちやと分からんけん」
「俺だって、テレビなんて知らんぞ」
「漁師さんも一緒に話しが聞きたい云うてた」
「絶対、いやや」
 リョウさんは、仕掛けを川の中に沈めた。人に会うのが苦手なリョウさんだが、協力してもらわないと、とエツコは思っていた。酒さえ飲ませば話し始めるから、実は、リョウさんはちょろい。
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「ディレクターの覚田です」
 エツコは覚田が差し出した名刺を受け取った。関東テレビ第二制作部ディレクターと書いてあった。
「すみません、うちも田中も名刺がないもので」
「いいんです、いいんです。わざわざ、ご足労いただいて恐縮です。私は土佐が初めてなもので、どこでお話をすればよいか分からなくて、宿の者に尋ねたら近くの『道楽亭』が美味しいということで、ここで土佐の料理を食べながら、明日の打ち合わせができればと、いえいえ、お時間はとらせません」
 覚田は45、6くらいに見えた。すり切れたブルージーンズによれよれのカーキ色のシャツを着ていた。長く伸びたくせっ毛を横分けにしていたが、頭が薄くなりかけている。
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「川魚はあるのでしょうか?」と、覚田が訊いた。
 とりあえずビールと、覚田が注文する。
「ここは土佐清水やから、宋だ鰹とか海の魚がええ、思います。タコのカルパッチョも美味しいです」と、エツコが云った。
「来られたことがあるんですか?」
「ええ、何度か。コウロウも旨いですよ」と、エツコが頷いて云った。
「コウロウ?」
「イシダイのでかいヤツ」と、リョウさんがボソっと云った。
「さすが、漁師さん! お詳しい。明日はよろしくお願いします。番組一押しアイドルの平田レイナちゃんが川漁師の体験をしてもらい、その後、河原でバーベキューを撮りたいと考えてます。川漁師料理をガツンと食べます。レイナは人気急上昇中のセクシーアイドルなんですよ。ええ、ええ、まぁ、漁師さん飲んでください。お代わりお願いします〜」
 覚田はレイナちゃんの宣材写真をテーブルに置いた。布が少ないセクシーな水着の写真だ。エツコが見てもドキドキする。
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「うちは、こんなん着れんが」と、エツコは困惑しながら云った。
「そーやなぁ、年齢的に無理やぞ」と、リョウさんがビールを飲んで云った。
 エツコが怖い顔で、リョウさんを睨んだ。
「着れるが!」
「いやいやいや、明日は、普段の服装で結構です。もちろん、着たいのであれば用意させますが、できれば、できればいつも通りで。ただレイナちゃんは、ミニスカートですが、大丈夫ですか?」
「ミニスカ漁師、ええがぞ」と、リョウさんが云った。
 酔ってきたらしい。リョウさんの舌がなめらかになってきた。
 コウロウが来た。土佐清水で上がったばかりのヤツだ。
「旨い。土佐の魚はぜんぜん違いますね」と、覚田が云った。
「川魚もうまいちや」と、リョウさんが云った。
「清流、四万十川で川漁師体験をするセクシーなお二人が共演すれば、視聴者は釘付けでしょう」と、覚田はガッツポーズをしながら云った。
「ミニスカ漁師頑張ります」と、エツコが云った。
「いやいやいや、エツコさんはいつも通りの服装でお願いします」と、覚田が笑いながら云った。
「はぁ、ほっとしました」と、エツコ云うと、
「ほんまや」と、リョウさんが続けた。
 エツコはリョウさんを睨み、ビールを飲み干した。
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 小一時間ほどで、覚田との打ち合わせは終わったが、ふたりは土佐清水で作戦会議をすることになった。まぁ、飲み足りないだけだけど・・・。
 さて、久しぶりの土佐清水、どこへ行こうか。
 夜は、まだまだこれからである。
<取材 エツコ@パラダイス 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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道楽亭
住所 高知県土佐清水市栄町10ー7
電話 0880ー82ー3667
交通 土佐くろしお鉄道宿毛線 土佐中村駅からクルマで30分
営業 17時30分から24時
定休日 日曜日
ひとり2千円くらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
【全国で活躍するせんべろ隊員たち】
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@元女優 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab なるみ@おかえり
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
         沙也加@すくもー 乾@八尾YEG トモコ@吹田YEG
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
      隊員 アラピー@キャンプ命
土浦せんべろ隊長 ススム@ミック
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ! ユウシ@会津YEG
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命 弓子@キャベツ千切り
全米せんべろ隊長 としゆき@カマス・ワシントン
盛岡せんべろ隊長 アキ@盛岡美人
土佐せんべろ隊長 エツコ@パラダイス

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

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