行け! せんべろ探検隊。

千円でべろべろに酔える店を彷徨う、せんべろ探検隊ストーリーです。探検隊だから、時には、危険なまんべろも。いざ、せんべろ劇場へ! まぐまぐで、メールマガジンを発行してます。ほぼ週末に人気記事を発送してます。

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2015年07月

枚方『Cave(ケーブ)』(大阪)スカイプと怪しい中国の女子大生。

「どうせなら千人で飲もう」11733517_916808761710668_221105958_n

 みーやんせんべろ隊員が口を滑らせ始まった『千人の月見の宴』が、迫ってきていた(9月27日だ)。
 気がつけば、後、二ヶ月しかないのだ。

 どうしよう、どうしよう
 と、連日打ち合わせて飲んでいるわけだが、今夜のテーマは能舞台についてだ。
 どうやらサナエに何かアイデアがあるらしい。
 なんだろう? と、
 僕たちは、BAR『Cave』に集まることになった。
 カウンターに座り、僕とサナエはソルティードック、みーやんは生ビールを注文した。時間が止まっているみたいに、同じ場所、同じオーダー、同じ顔ぶれである。

「段ボールで能舞台つくったら面白いと思わん?」と、サナエが云った。
「工作か!」と、みーやんが突っ込んだ。
「強化段ボールってのがあんだよ。木と同じ強度で、軽さは三分の一の」
「なんで、突然、段ボール?」と僕が訊くと、
「知り合いの会社が、強化段ボールで災害時用のトイレ造ってるねん」と、サナエが云った。
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「トイレと能舞台は、ちゃうやろ」
 みーやんがビールを一口飲んで云った。僕はナッツを注文する。
 マスターは無言でうなづき、ナッツの皿をコトリっと僕たちの前に置いた。
 ソルティードックを飲むと、塩の味が口に広がった。
「たぶん、能舞台も造れるんちゃかと思って、その会社の社長と話ししてきてん」
「で?」と、僕が云った。
「能舞台の後ろの壁に松があるやろ。あれも金箔貼ってドーンとできるって。社長は、乗り気やで」と、サナエが云った。
 なんだか、嬉しそうである。
「暗い河川敷に、ぼんやりと能舞台が照らし出されてたら、カッコええと思う」と、みーやんが云った。
「スカイプって知ってる?」と、サナエが云った。
 もちろん、知っている。インターネットで会話ができるソフトである。
「スカイプ使って会議せーへん。もう、時間がなくってデートもできへん」と、サナエが云った。
 あれ? デートしてんのか? という疑問はおいといて。
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 スカイプでは、妙な経験があった。
 中国の政治家の経歴を調べていたときのことである。
 僕は、国家主席から、彼はどうやって出世したんだろう? と若いときから辿っていた。国家の指導部や地方長官から、警察官僚とかも・・・。

 突然、スカイプからチャットの申込みが入った。
「こんにちは、私は、中国の女子大生です」
 僕は、いささか躊躇はしたけど、チャットに答えた。
「こんにちは」
「いま、何をしていますか?」と、彼女が訊いた。
「インターネットで調べ物をしていました。あなたは誰ですか?」
「重慶の大学に通っている杏(シン)です。日本に興味があります」
 そんなわきゃないだろ。と、思った。
 僕は、軍服を着た男が、キーボードの前でチャットをしている姿を思い浮かべていた。

 杏とは、今は中国で流行っている音楽のことや、重慶の旨い食べ物、日本の音楽をどう思うかなどなど、を話した。杏は、僕に日本のことを訊いてきた。
 中国の女子大生の生の声は面白かった。女子大生じゃないだろうけど。たぶん。
 それからスカイプをつけると、杏が話しかけて来るようになった。
 それは3ヶ月くらい続き、突然、杏は姿を消した。
 本当の話である。
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 気がつくと、店内は混み合っていた。
 時計を見ると、11時を少し回っていた。
「ダンボールの能舞台って面白いよ。話しを進めよう」と、僕が云った。
「スカイプ会議は?」と、サナエが云った。
「時間ないしね。それも」と、僕が云った。
 みーやんはスカイプをやったことがないらしい。やってみるよ。と、みーやんも賛成する。

 スカイプをつける度に、いまでも杏のことが気になる。けど、まぁ、いっか。
 せんべろ探検隊どこへ行く。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>

第一回 千人の月見の宴 薪能とジャズ
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Cave(ケーブ)
住所 大阪府枚方市川原町4−11−11
電話 072−843−3111
交通 京阪本線枚方市駅から徒歩4分くらい
営業 20時から翌5時
定休日 日曜日
ひとり千円ちょっとでした。打ち合わせだし。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方『馬力食堂』(大阪)ノストラダムスと囲炉裏と岩魚。

1999年の馬力食堂。IMG_2165

 ノストラダムスの大予言で、地球が滅亡すると言われてた1999年の7月頃、佐々木と馬力食堂でビールを飲んでいたのを覚えている。
 確か店の中央に、薄暗い小さな個室があって、そこでパスタとサラダを食べながらノストラダムスの話しをしたんだ。

「そろそろ滅亡だな」と、僕が云った。
「え?」と、友人の佐々木が云った。
「ノストラダムスだよ」
「ああ、詐欺師の」
「ノストラダムスが?」
「いや、やつはたんなる詩人や。関係者全員、詐欺師やな」
 そう云うと、佐々木はビールを飲んでお代わりをした。

「図書館で占いの本読んだことあるか?」と、佐々木は云った。
 あるような、ないような・・・。小学生の時、ノストラダムスの大予言を読んで怖かった記憶ならあったけど。
「図書館にある占いの本は、古い予言書が多いんや。1980年に出たヤツとか、その本が書かれた以前の占いは、バッチリ当たってるけど、その後は全部ハズレや」
 どういうことなんだろう? 僕は佐々木に尋ねた。
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「ええか、いま、俺が占い本を書くとする。阪神大震災も東日本大震災もソ連の崩壊も、俺は全部予言して当てることができるんや」
「そりゃそーやろ。知ってんねんから」
「その百発百中の俺が、未来を予言するんや。北朝鮮が崩壊するとか、富士山が爆発するとか」
「しそうやな」
「ところが、そんなもん吹き飛ばすような現実の地震とか、事件が起こる。富士山は爆発しないのに、や」
「未来は、わからない?」
「だいたい、わからん」
 結局、8月が来て、ノストラダムスは忘れられていった。
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 久しぶりに馬力食堂に入った。
 焼酎が全部半額と黒板に書かれていたのに、釣られてである。
 中央にあった、薄暗い小さな個室はなくなっていた。かわりに大きな囲炉裏が据えつけてある。岩魚が数本刺さっていた。
 僕は、佐藤のロックと岩魚を注文した。

「焼くのに時間がかかりますが」と、店主がすまなさそうに云った。
 もちろん、かまわない。美味しい焼酎を味わっていればいいのだ。
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「前に来たときと、店の印象が変わりましたね」と、僕が云った。
「3年くらい前ですか?」と、店主が岩魚を焼きながら云った。
 人のよさそうな丸顔のご主人だった。
「いえ、小さな個室があった時です」
「それは、オーナーが違う時ですね。馬力食堂じゃなかった時かもしれません」
「パスタとか焼きそばとか、唐揚げとか、若者向きの店だったと思います」
「その時のことは、わたしは知らないんです」

 岩魚が焼き上がった。僕は、佐藤をお代わりする。
 串を持ってかぶりつくと、いい塩加減の焦げた岩魚が口にひろがった。僕は子どもの頃、川遊びをして、河原で焼いて食べた岩魚を思い出していた。
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 メニューに幻の牛すじ焼きとあった。旨い牛すじがあって、惚れ込んだご主人が、なんとか頼み込んで仕入れているらしい。それも注文する。

 馬力食堂は、いつしか、こだわりの店になっていた。
 未来なんて分からない。佐々木の云う通りだった。
 身近なことすら分からない。
「未来なんて分からない」
 僕は、1999年7月にここにいた、佐々木に云った。
<記事 おおさかせんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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馬力食堂
住所 大阪府枚方市三栗1−1−12
電話 072−848−5688
交通 京阪本線御殿山駅より徒歩5分くらい
営業 17時30分から翌1時
二千円ちょとでした。美味しかったので。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

浦和『田子商店』(埼玉)ふぞろいの林檎たち。

浦和女子会は、楽し。11805655_875554695870396_814099280_n

 サヨコとまゆゆに会うと、たちまち学生時代の”あの頃”に戻ることができる。
 最近、ふさぎ込みがちだったカオリは、みんなと会うのを心待ちにしていた。
 小学生の息子も素直でいい子だ。職場結婚したパートナーは、いつも優しい。もう、10年以上一緒にいる。特に、トラブルがあるわけじゃない。
 喧嘩をすると2、3日口をきかないことがあるけど、みんなそんなものだろうとカオリは思っている。でも、ちょっぴり鬱だった。

 浦和駅につくとサヨコが先に来て待っていた。
 紺の花柄をあしらったワンピースと服に合わせた紺のコルク・サンダルを履いていた。カオリが手を振ると、ニッコリと笑って手を振り返した。
「久しぶり」
 サヨコの声を聞いて、カオリはほっとした。
 サヨコのiPhoneに、メールが来た。
「まゆゆ遅れるみたい。先に行っててだって」と、サヨコが云った。
「相変わらずだね」とカオリが云うと、
「いつものことさぁ」と、サヨコが云った。
 まゆゆは、たいてい遅れてやってくる。
「浦和なのに、海の家みたい」
 『鮮魚浜焼』と書かれた大きな看板を見上げて、カオリが云った。

 店に入ると、元気な女性店員が迎えてくれた。
「前に会ったことありますか?」と店員が訊くと、
「初めてだと思います」と、カオリが云った。
 店員につられて、カオリもハキハキとした声になっていた。
「あれ、あたしの勘違いでした。ごゆっくり」と、店員が云った。
 といっても、ビールケースに板を一枚置いただけの椅子である。長く座ると、おしりが痛くなりそう、とカオリは思った。
 席に着くと、サヨコが生ビールを2つ注文した。
 サヨコはお酒が大好きで、彼女もまた浦和女子会を楽しみにしていた。
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「職場に真っ黒な人がいてさぁ」と、カオリが云った。
 カオリは、東京の企業に勤めていた。
「イケメン?」
「そうじゃなくて、黒いんだよ。で、どうしてそんなに黒いの? って訊いてみたの」
「日焼けサロンとか?」
「自宅の庭で焼いているんだって、いまどき、紫外線浴びるなんてありえない」
「若いの?」
「太ったおじさん」
「ありえねー」
 生ビールが来た。ふたりで乾杯である。
「今日って、日本酒対決だよね」と、カオリが云った。
 サヨコが企画した対決だ。
「ビールはチェーサーだよ」と、サヨコがビールを飲んで云った。

 しばらくすると、
「久しぶり〜」と、まゆゆが来た。
 可愛いチェックのワンピースに、ピンクのスエードサンダル。ピンクは、彼女のトレードマークだった。学生時代と変わらない渚のバルコニーで待っていそうな雰囲気である。
 生ビールを追加し、サザエの壺焼きと、カンパチとマグロの刺身を注文した。
 サヨコは、早速、南部美人を。
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「菊池くん覚えてる?」と、まゆゆが云った。
「早稲田のラグビー部の菊池くん?」と、カオリが云った。
「ラグビー同好会だよ」
 まゆゆが訂正した。そう云えば、学生時代も同じように訂正していたのを、カオリは思い出した。つき合ってたんだと思う。たぶん。
 サザエの壺焼きが来た。磯のいい香りが漂う。まだ、熱々で触ると火傷しそうだ。イカ焼きも追加する。

「その菊池くんが、東京に来たからこの間、会ったんだ」と、まゆゆが云った。
「菊池くんて、徳島で公務員やってるんじゃなかった?」と、カオリが云った。
「かっこよかったよね。名前はなんだっけ?」と、サヨコが尋ねた。
「ユウタよ」と、まゆゆが云った。
「ちゃんと勝負ブラつけてた?」と、カオリが冗談めかして云った。
「そんなんじゃないよ。でもさ、ユウタ、田舎のおじさんになってたんだ」
 まゆゆはビールをひとくち飲んで云った。首をいくぶん傾げている。

「ガッカリ?」と、サヨコが云った。
「話しててつまんないの。こんな人だっけ? って」
「向こうだって、思ってるかもしれないじゃない」と、サヨコが云った。
「そりゃそーだけどさ、なんだか寂しいなぁって」と、まゆゆが云った。
 カオリとサヨコには、早稲田の学生だった菊池くんしか思い浮かばなかった。爽やかな80年代の男子大学生の菊池くんだ。そういえば、菊池くんも陽に焼けて真っ黒だったな。と、カオリは思い出していた。
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「カオリとサヨコの話しもしたよ。そしたら、また、みんなで会おうって」
「わたしはいいわ」と、サヨコが云った。
「結婚してるの?」とカオリが訊いた。
 バツイチらしい。
「あの頃の菊池くんなら会いたいけど、いまの"菊池さん"は、見ない方がよさそうね」とサヨコが云った。
 彼女は、いつもシニカルだった。
 そこが、彼女の魅力だったりする。自分にないものを補いながら、私たちはバランスよくつき合ってる。カオリは、そんな風に思っていた。
 学生時代の友だちの噂話をし、人には云えないよもやま話を一通りすると、カオリは心がいくぶん晴れたように思った。

 日本酒対決というほど飲まなかったけど、お盆明けにまた対決しよう、と約束して3人は店をでた。
 風のない、星がキレイな夜だった。
<取材 浦和せんべろ探検隊 記事 紙本櫻士@コピーライター>
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田子商店
住所 埼玉県さいたま市南区沼影1−6−19
電話 048−837−9552
交通 JR埼京線武蔵浦和駅から徒歩2分
   JR武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩2分
営業 17時から翌1時(月から木・日)
   17時から翌3時(金・土)
定休日 無休
ひとり2千円とちょっと
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ c@ab
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
      隊員 サヨコ@ピアノ命 まゆゆ@ピンク命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方『兄やん』(大阪)亀の手って食べられるの?

凜とした、せんべろ屋。IMG_2130

 『兄やん』に入ると、そう感じた。
 外観は違うけどね。
 中央のテーブルは、ビールケースだし、立ち飲みだし、せんべろだし、枚方だけど、なぜだか80年代に渋谷あたりで元気だった『チャールストン・カフェ』を思い出す。
 当時、トムコリンズとか、ブルーハワイなんか飲んでいたように思う。『兄やん』の天井でクルクルまわっている小洒落た扇風機が、連想させるのかもしれない。でも、この店は、どこか80年代の香がする。気配というか。
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「亀の手ですよね」
 カウンターに亀の手が置いてあり、僕は思わず店主に訊いた。
「ワサビ醤油で食べるとうまいよ」と、店主が云った。
「すごいカタチですね」
「こいつ貝とちゃうらしいで」
「フジツボも、貝じゃないらしいですね。味噌汁にして食べると、ものすごく磯臭いけど、それなりに旨かったです」
 生ビールを頼む。亀の手も。
 店主が、トンっと亀の手を盛った皿をカウンターに置いた。
「こうやって食べんねん」
 店主が亀の手をひとつ手に取ると、柔らかく尖った部分の皮をむいて、ぱくっと食べた。
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「ぴゅって、潮が飛びますよ」と、隣で飲んでる若い男が云った。
 ウォーリーを探せのような赤い横縞のTシャツを着て、半ズボンにビーサンである。四角い黒縁のメガネが印象的だった。たぶん常連さんだ。

 以前、共同通信の取材仕事(イラストルポ)で、山菜採りの名人に会ったことがある。
 一度山に入ると、たちまち食材を大量に集めて、なんでも天ぷらにしちゃうおじさんである。すごい能力なのだ。
「近くの磯でも食材を調達しよう」と、名人が云った。
 その時、僕は初めて亀の手とかフジツボが食べられることを知った。
 こいつら食べ物だったんだ、と。
「山で遭難して、餓死するなんてありえない」と、名人が言ったのを覚えている。
 山は、食材の宝庫らしいのだった。

 亀の手をむきながら食べていると、気をつけないと、たまにぴゅーっと潮で攻撃してくる。確かにウォーリーの云った通りである。注意してても、やられる。
「兄やん、ウニ」と、ウォーリーが云った。
 店主は、兄やんと呼ばれているようだった。ウニも旨そうだ。
 壁に掛かったメニューを見ると、魚介類が多い。ハタハタ、ウニ、サバ、兜焼きなどなど。兄やんは、魚介類が得意なのかもしれない。
 僕は、好物のハタハタを頼んだ。それと、麦のロックである。
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 ハタハタが焼き上がり、兄やんがカウンターにトンっと置いた。
「醤油ありますか?」と僕が訊くと、
「塩にレモンが旨いよ」と、兄やんが云った。
 僕は、ハタハタに醤油をかけて食べるのが好きなのだけど、塩とレモンでいただく。確かに旨い。でも、醤油も欲しい。
 兄やんのこだわりが、この店の良さなんだ、と思う。
 80年代の気配は、兄やんの思い出の残り香なのかもしれない。
 そう思うと『兄やん』という店名も、パズルのピースのようにピタリとはまり、合点がいくのであった。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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立呑処 兄やん
住所 大阪府枚方市御殿山町5−6
電話 072−396−0953
交通 京阪本線御殿山駅から徒歩1分
営業 17時から翌2時
定休日 日曜日
千円ちょっとでした。安い。
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撮影 田原慎一

京橋『vineria gianni(ヴィネリア・ジャンニ)』(大阪)京橋の隠れ家イタリアン。

『千人の月見の宴』と能舞台。IMG_2021

 中秋の名月の日、僕たちせんべろ探検隊は、(なぜか)薪能をやるわけだけど、能舞台についてよく分かっていなかった。そこで、能楽師のオオハシさんに、能舞台についてレクチャーをお願いした。
 オオハシさんは快く引き受けてくれ、早速、お会いすることに。
 JR京橋駅からすぐのイタリアン『ヴェネリア・ジャンニ』で、ワインでも飲みながらである。
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 待ち合わせたのは平日の昼過ぎで、店内は人がまばらだった。
 
せんべろ立ち飲み屋街の京橋だけど、ぽつんと隠れ家のように、ジャンニは佇んでいる。大抵は、静かな店だ。
 僕が来て程なく、オオハシさんが顔をだした。ダークブルーのサマースーツと白いレギュラーシャツを着て、茶色い皮の鞄を手にしていた。
 オオハシさんと会うのは、半年ぶりだった。

 相変わらず能楽師というより、若いビジネスマンといった感じである。
 僕たちは、ウェイターに白ワインのセットを頼んだ。
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「三間四方の正方形をした舞台で、演者が舞います」と、オオハシさんが云った。
「三間というと?」
「5、5メートルです。後ろに『橋がかり』と呼ばれる通路があります。これも重要な空間で、どこに立つかでシテは心のアヤや舞台との関係を演じます」
 ウェイターが、グラスにワインを注いだ。さっそく、一口飲む。
 すっきりとしたワインだった。夏の日の午後は、こんな白がいい。
「ボトルを置いてきますね」と、ウェイターが云った。
 僕が写真を撮っていたからである。心遣いがいい。
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 四角い舞台があればなんとかなる、と思っていた。どうやら、そうではないらしい。オオハシさんに続けてもらう。
「柱が重要なんです」と、オオハシさんが云った。
「僕は、観るのに邪魔だと思ってました」
「面をつけると視野が、極端に狭くなります。柱を目印にして、私たちは舞っているんです」
 オオハシさんは、ワインを飲み干すと、お代わりをした。顔色が少しも変わらない。オオハシさんは、アルコールが強いのかもしれなかった。
「橋がかりの入り口に、幕をお願いできますか?」
 そう云うとオオハシさんは、鞄から舞台の見取り図と、写真を数枚出してテーブルに並べた。五色の幕の写真、橋がかり、舞台、柱。
 大きな鏡の写真もあった。
「この鏡は?」と僕が訊くと、
「鏡の間という、装束を整える場所です。ここに入った時から、能が始まります」
「演目は、月に関係するものがいいと思っています」と、僕が云った。
「面白い演目がございます」と、オオハシさんが云った。
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 京橋のせんべろ街にいることを忘れるような会話である。
 ヴィネリア・ジャンニも隠れ家のようだし。

 もうすぐ、8月だ。今年の夏は、忙しくなりそうだった。
 そして、何かが起こりそうだ・・・。
 せんべろ探検隊どこへ行く。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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Vineria gianni(ヴィネリア・ジャンニ)
住所 大阪府大阪市都島区東野田町3−4−21
電話 06−6314−6633
交通 JR京橋駅北口を右に出てすぐ
営業 12時から18時(火曜日から金曜日)18時から24時
定休日 月曜日・第三日曜日
ふたりで二千円くらいでした。喫茶店みたいな使い方だからかも。
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         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
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撮影 田原慎一

天満『やきにく番長』(大阪)太陽の塔というタイムカプセル。

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「太陽の塔に忍び込んだこと、覚えてる?」と、ハッチョが云った。
 覚えていた。

 ハッチョは、子どもの頃からの友人だった。久しぶりに飲もうと天満で会うことに。どこの店にしようかと、まずは、天満の雑踏を探検である。
「ビール安いよ」
 僕たちは、若い男の店員に呼び止められた。
 『やきにく番長』の店員である。おっと、生ビールが170円!
 やきにくという気分ではなかったけど、生ビールの安さに釣られて僕たちは『やきにく番長』に吸い込まれた。
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「万博が廃墟だった頃だね」と、僕が云った。
 現在、日本万国博覧会場跡はキレイに整備され、万博記念公園になっている。ところが、一時期だけど、一部廃墟だったことがある。

「ここ、にぎり寿司があるんやな」と、メニューを眺めながらハッチョが云った。
 頃合いを見て、若い女性店員が、注文を取りに来た。
「穴子の押し寿司ある?」と、ハッチョが店員に訊いた。
 そういえばハッチョは穴子の押し寿司が、昔から好きだった。
「すみません。握りならできます」と、彼女がすまなさそうに云った。
「そんなら、穴子入れて、にぎり盛り合わせと、黒ビール」と、僕が云った。
 氷点下のスーパードライブラックが170円である。安い。
 黒ビールと突き出しの枝豆が来ると、再会に、乾杯をした。前にハッチョと飲んだのは、いつだっただろう。
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 僕たちは自転車に乗って万国博覧会跡地に、何度も探検に行った。
 たぶん、70年代後半だったと思う。
「ここから中に入れるんちゃうか?」
 ある時、ニッシーが太陽の塔へ続く入り口(らしきもの)を発見した。どうやら太陽の塔の内部へ続いてそうだった。覗くと、中は真っ暗だ。
 ハッチョが持ってきた懐中電灯をつけて中を照らした(僕たちは懐中電灯を持っていた。探検隊だから)。
「行けそうやで」と、ハッチョが云った。
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「ニッシーどうしてる?」と、僕は黒ビールを飲みながら訊いた。
「離婚して、いまは、広島にいるらしい」と、ハッチョが云った。
「連絡先は?」
「分からない」
「僕も、向こうからしたら行方不明だからな」
「俺もや」と、ハッチョが云った。

 懐中電灯に照らされた太陽の塔の内部は、1970年でとまっていた。
 少年サンデーが床に落ちていた。開いてみると赤塚不二夫の『天才バカボン』が掲載されていたのを覚えている。雑誌は、湿気を含んで少し膨らんでいた。
「でかいアンモナイトがある」と、ニッシーが云った。ニッシーの懐中電灯が照らした先に、アンモナイトの模型があった。中央に展示された生命の樹に、当時の展示物が埃を被ってじっとしていた。まるで、何かを待っているように、だ。
 岡本太郎氏の幽霊もたまに、覗きに来てそうだ。
 壁に落書きがあった。僕たち以外にも、誰かが忍び込んだのかもしれない。
 1970年の匂いが、当時のまま閉じ込めたタイムカプセルのよう思えた。
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「新聞で読んでんけど、太陽の塔の内部、公開するらしいで」と、ハッチョが云った。
「耐震工事が難しいって、最近、書いてあったな」と、僕が云った。
「穴子食っていいか?」と、ハッチョが云った。
「もちろん。うまかったらお代わりしよう」
「廃墟だった太陽の塔って、子供心をそそったなぁ」と、ハッチョが云った。
「あの後、行った?」
「それが、行ってみたら鎖で蓋が開かんようになってた。たぶん、ばれたんやな」
「子どもが入ったら危ないからなぁ(自分も子どもだったけど)。でも、ちょっと危険なことって素敵だったりするんだ」と、僕は云った。
「安全な公園で、探検はできへんて」
 ハッチョは、黒ビールを飲んで云った。

「せんべろ探検は、安全な探検かな」と僕が訊くと、
「ちょっと危険な香がするから、おもろい」と、ハッチョが笑いながら云った。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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やきにく番長 天満店
住所 大阪府大阪市北区池田町7−5
電話 06−6354−2941
交通 JR天満駅から徒歩3分くらい
営業 12時から24時
定休日 無休
ひとり千円ちょっと。焼き肉食べなかったし。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

枚方『宴屋じんべい』(大阪)打ち合わせは、せんべろ屋で。

千人の月見の宴。IMG_1842

 おおさか地域創造ファンド事業に採択されました。
 大阪せんべろ探検隊が、大阪府に提出した事業にである。といっても、僕とサナエ隊員とみーやん隊員の3人だけど。

「中秋の名月に淀川河川敷で飲もう」と、誰かが云いだしたシンプルな企画だった。
「どうせなら、千人で飲もう」とみーやんが云い、
「どうせなら、薪能を観ながら飲もう」と、サナエが云い、
「どうせなら、ジャズの演奏を聞きながら飲もう」と、僕が云った。
「なんで薪能やねん」とみーやんが尋ねると、
「かっこええやん」と、サナエが云った。
fund
「それはそれとして、僕たちだけじゃ無理だろう」と僕が云うと、
「これに応募したら」
 みーやんが鞄から『おおさか地域創造ファンド』の応募書類を出して云った。
 春の花見でのことである。
 あれから、書類選考があって、プレゼンがあって、審査があって、実は、昨日、僕たちの『千人の月見の宴』が『おおさか地域創造ファンド』に採択された。

 すわ、打ち合わせだ、と僕たちはじんべいに集まった。
 せんべろ探検隊的に、ビールでも飲みながらの打ち合わせである。
 とりあえず、企画が通ったことに、僕たちは小さく乾杯をした。
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「やらなあかんようになったな」と、サナエが云った。
「薪能なんだけど、無形文化財の大御所が舞うとこになりそう」と、僕が云った。
「そりゃ、おおごとやな」と、みーやんが云った。
「まずは、こぢんまりとやるんじゃなかったっけ?」と、サナエが云った。
「なんか話しが大きくなってきたんだ」と、僕が云った。
「国交省は乗り気で、ぜひ、頑張ってくださいって担当者からメールが来たよ」と、みーやんが云った。
「こじんまりとやろうよ。初回トライアルで」と、サナエがビールをひとくち飲んで云った。まぁまぁ小さくと、手でジェスチャーをしながら。
「じんべいは、マグロやな」と、ミーヤンはマグロのぶつ切りを注文した。
 壁にマグロのメニューが大きく書かれてある。マグロが得意のように思えた。
「せんべろ屋を出そう」と、サナエが云った。
「月夜の立ち飲み屋?」と僕が云うと、
「3人とも、当日大忙しやで、絶対。あ、それから豚足も」と、ミーヤンが云った。
IMG_1847
 僕は、麦のロックを注文する。
 豚足とマグロのぶつ切りが来た。豚足は、ここの名物らしい。
「せんべろ屋は、魅力的だと思うよ。採用」と、僕が云った。
「採用かよ」と、サナエが云った。
 急いで、WEBサイトを作り、チラシを作り、ポスターを作り、資金も作らなければならない。
 9月27日(日)の中秋の名月まで大忙しである。
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 豚足はトロトロに調理してあった。食べると、口の中で溶けるくらいに。
「能舞台はどうすんの?」と、みーやんが云った。
「一緒に、ファンド事業採択された段ボール屋さんがいたやん。特殊な強化段ボールがあるって云ってたから、それ使えないかなと思って、来週、アポ取ったで」と、サナエが云った。

 紙の舞台は面白いと思う。
 ただ、足をドンっとついた時に、いい音が鳴るかどうかは心配だった。ああ、かがり火はどうしよう・・・。
「こじんまりやろうよ」と、サナエが云った。
 できればそうしたい。月見に丁度よい人数って、何人くらいなんだろう。
 せんべろ探検隊どこへ行く。
<記事 大阪せんべろ探検隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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宴屋じんべい
住所 大阪府枚方市岡東町24−1
電話 072−843−2437
交通 京阪本線枚方市駅から徒歩2分
営業 11時30分から24時
定休日 無休
ひとり千円ちょっとでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

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撮影 田原慎一

四条『矢尾定』(京都)大船鉾と祇園後祭り。

こんなせんべろも、ある。IMG_2091

 祇園祭りは、7月14日から16日だと思っていた。
 梅雨も明けない蒸し暑い日のお祭りというイメージである。実際は、7月1日から1ヶ月続く祭りなのだそうだ。
 この時期、京都は華やぐ。

 最近、後祭りが復活したらしい。
 7月21日から23日に行われる山鉾巡行である。
 京都での打ち合わせが終わり、たまたま新町通を歩いていると『大船鉾』に出くわした。
大船鉾は、応仁の乱で焼失し、その後何度も再建されては焼失したという。目の前にある大船鉾は、150年ぶりに復活した鉾だそうだ。
 生憎の雨であり、大船鉾はカッパを着ていた。

 打ち合わせには、佐々木と来ていた。
 丁度、昼時でどこかでランチでもと、僕たちが店を探していた時のことである。
 「After celeblationやな」と、大船鉾を見上げながら佐々木が云った。
「なんやそれ」
「後の祭りや」
「そういう意味じゃないだろう」
「前祭りは豪華絢爛やけど、後祭りは山鉾も少なくて寂しいわけや。前祭りを見逃した人が、せめて後祭りでも。から来て、時期を逃して用を成さないこと。By 広辞苑や」と、佐々木が云った。
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 『矢尾定』という、定食屋を見つけた。
 いい感じの京町屋の店である。
 客がまばらの店に入り席に着くと、格子戸から人が行き来する様子がうかがえた。京都らしさの演出がいい。
 僕たちがメニューを見ていると、
 「矢尾定オリジナルの『大船鉾』がおすすめです」と、女性店員が云った。
 720mlで二千円である。ふたりで飲めば、せんべろではないか。
「飲みきれなければ、お持ち帰りいただけますよって」と、背中を押され「そうどすか」と頼んでみた。
「伏見の酒蔵で松本はんに作ってもろてます」と、店員が一杯目を注いでくれた。
 キリッと冷えた純米酒である。
 ランチはと云うと、どれも突き出しのようにチョコチョコと盛った皿が並んでいた。せんべろ的ではないか。
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「この後、俺は研究室に戻るけど、ここは飲んどこう」と、佐々木は杯を重ねた。
「千人の月見の宴まで、後、2ヶ月くらいだ」と、僕が云った。
 9月27日に企画している、僕たちのお祭りである。佐々木は、月見の宴を手伝ってくれる。
「まぁ、飲め」と、佐々木が酒を注いでくれた。
「雨も心配だ」と、僕が云うと、
「まぁ、飲め」と、佐々木が云った。
「いい飲みっぷりですね」と、隣に座っていた老夫婦のご主人が云った。
 こりゃどうも、と僕は挨拶をする。
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「壁に掛かっているのは何だろう?」と佐々木に尋ねると、
「粽(ちまき)ですよ」と、隣のご主人が教えてくれた。
 祇園祭りの名物のひとつで、笹の葉で作られた疫病・災難除けのお守りらしい。
 もともと、下水道も上水道もなかった高温多湿の京都で、感染症や病気が多発したことを鎮めるためという意味合いが、祇園祭りにはあったらしい。
 ご主人が詳しくレクチャーしてくれた。
「勉強になります」と、佐々木が云った。
 真夏の京都は、本当に蒸し暑い。なんだって、腐りそうである。
 いまでも粽を壁に掛けて祈る気持ちは、分かるというものだ。
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 祭りの時期の京都は、どこか華やいでいた。
 冷酒を飲みながら、僕は月見の宴のことをぼんやりと考えていた。僕たちの祭りは、これからである。
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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ごはん処 矢尾定(やおさだ)
住所 京都府京都市下京区新町綾小路上ル四条町361
電話 075−351−3518(お問い合わせ用)
交通 阪急烏丸駅、地下鉄四条駅から徒歩4分
営業 11時30分から20時30分
定休日 水曜日
ひとり1700円でした。こんなせんべろもあります。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
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         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
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撮影 田原慎一
 

梅田『松葉』(大阪)タイガー&ドラゴン。

どっちが虎で、龍?IMG_2033

 京橋『松井』と梅田『松葉』が、僕の中では、二度づけ禁止の串カツ店では双璧である。いわば、タイガー&ドラゴン。どっちが虎かはわからないけど。

 串揚げ店では、有名どころに新世界の『だるま』とか『横綱』があるけど、こっちは双璧というより、みんな仲良く龍である。

 いつ来ても新梅田食道街は、迷路だ。お目当ては、松葉の串カツなんだけど、うろうろ彷徨うことになる。彷徨うのも、また、楽しである。
 あったあったと、店に入ると人でいっぱいだった。
 京橋の松井の場合、迷う儀式などなく、客でいっぱいかどうかだって、外から一目瞭然だ。客層も、松葉はカタギで松井はわけありのように思える。
 場所柄、松葉はOLやサラリーマンが、ちょっと寄って飲むイメージである。カタギじゃなさそうな人もいるけどね。
 生ビールと串カツを2、3注文する。
 隣では、若いOLがひとりでウーロン茶を飲みながら、串カツを食べていた。
 そんな客を散見するのも、松井とは違うように思う。
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 余談だけど、クレイジーケンバンドの『タイガー&ドラゴン』を聴くと、横浜で暮らしていた20代の頃をありありと思い出す。
 JR横須賀線の田浦駅を過ぎたあたりのトンネルを抜けると、海が見える。僕は、大学のガールフレンドと、黒のアルト・ツインカムで江ノ島に向かっていた。
 のつもりだったけど、そのままどんつきの三笠公園で行き止まりだった。今みたいに、カーナビなんかない時代である。
「絶対、迷ってるよぉ」と、ガールフレンドが助手席で云った。
「戦艦三笠があるから見てみよう」と、バツが悪い僕は云った。
 雲ひとつない初夏の青空が広がっていたように思う。
 クルマを降りて少し歩くと、
 意外と小ぶりなグレーの戦艦が、ひっそりと佇んでいた。日露戦争では、連合艦隊の旗艦だった船である。
 僕は、戦艦三笠を見上げながら、
「ここには二度と来ないだろうな」と思っていた。根拠はないのだけど、確かにあれ以来、訪れていない。
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 せんべろ屋を探しながら彷徨う新梅田食堂街は、何かのゲームのようだ。かくれんぼとか、鬼ごっことか。迷うゲーム。
 僕が方向音痴ってのもあるけど、たぶん、みんなそんな風に思って彷徨うのを楽しんでるんじゃないか。
 僕はビールを飲みながら、公園に佇む戦艦三笠を思い出していた。あの娘、いま、どうしてるんだろう?
<記事 大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター>
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松葉総本店
住所 大阪府大阪市北区角田町9−25 新梅田食道街1F
電話 06−6312−6615
交通 阪急梅田駅、JR大阪駅、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅から徒歩2分
営業 14時から22時(月から金)
   12時から22時(土)
   11時30分から21時30分(日)
   12時から21時30分(祝)
定休日 1月1日から3日
千円ちょっとでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 サナエ@婚活中 みーやん@ギタリスト エマ@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
下町せんべろ隊長 ジュンイチ@八木商店
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一

梅田『しおや』(大阪)ニューヨークの中国人。

酔えば、バイリンガル。IMG_2044

 迷路のような新梅田食道街に迷い込んだ。
 むしろ、迷うのが楽しい。
 串揚げ屋、中華、ステーキ、ソーセージとビールと、世界の食文化が狭い洞窟にひしめき合い、ぐつぐつと煮える食の坩堝(るつぼ)のように思えた。

 こんな店ができたんだ。と、僕は立ち食いの寿司屋に入った。
 『しおや』である。
 ここの客は、常連というより、会社帰りにちょっと寄って腹ごしらえをしているように見えた。江戸時代に、ちょっとつまむ屋台の寿司屋が、こんな感じなのかもしれない。
 ハシゴをして、いささか酔ったようだった。生ビールを飲んで、酔いを覚ますくらいに。
 カップルが、僕の隣に入って来た。
 一見して、外国人だと分かる。30代前半くらいで、男性は銀縁の眼鏡を掛けている。チノパンとチェックの上品なシャツを着ていた。大学の研究室にでもいそうなタイプだ。女性は、地味だけどシンプルな淡いブルーのワンピースだ。歩きやすそうなローヒールを履いていた。おそらくアジア、中国人かも。
 彼らは、まず、お茶を頼んだ。大きな湯飲みに、緑茶が注がれる。
 中国の人は、アルコールではなく、お茶で食事をするのをよく見かける。
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(以下、会話は英語で)
「こんにちは、中国から来たの?」と、僕が尋ねた。
「いや、ニューヨークから来たんだ。二週間ほど、日本で観光だよ」と、男性が言った。
「僕は、オオシ。よろしく」と、握手をした。
「私は、シャンドン。彼女は、妻です」と、シャンドンが云った。
 奥さんとも握手をする。中国からアメリカに移住した、裕福な夫婦なのかもしれない。奥さんは、細身で上品な感じを受けた。
「どこをまわったの?」
 僕が尋ねると、シャンドンはiPhoneをポケットから出して、撮影した写真を見せてくれた。ディズニーランド、どこかのホテル、どこかの日本庭園、どこかのホテルから見た景色・・・。
「明日、帰るんです。今夜は、大阪を楽しみたい」と、奥さんが云った。

 僕は、英語が話せないのだけど、酔うとなぜかスルスルと簡単な会話ができる。
 何年か前、世界遺産の白川郷に行ったときも、そうだった。
 オーストラリアから来たバックパッカーのチャーリー(確かそんな名前だった)と、居酒屋で英語で会話をしていて驚いたのを覚えてる。

「さっきまで名古屋城を見てきたんだ」と、チャーリーが云った。
「今夜は、ゆっくり過ごせるの?」
「いや、これから京都に行く」
 チャーリーにとって、名古屋から白川郷、京都はちょっとそこまでという距離らしい。 オーストラリアは広いからなぁ、と僕は思った。
 僕は、根室に親戚がいるんだけど、東京に来たついでに、大阪に顔を出しに来ることがある。そんな感覚なのだろう。
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「日本人はシャイで、こうやって話しが出来たのは初めてです」と、シャンドンが云った。
「僕は、酔うとフランクなんだ」
「お寿司って、美味しい」と、奥さんがマグロを食べて云った。
「ニューヨークにも寿司屋あるよね」と、僕が尋ねると、
「素敵な店がたくさんあるわ」と、奥さんが云った。
 でも、本場の寿司を食べるのなら、ここぢゃないと思うよ。『しおや』美味しいけど。
「これから、どこに?」と、僕は訊いてみた。
「ヨドバシカメラに行くんだ」と、シャンドンが云った。
 なるほど、と僕は納得をする。
「素敵な買い物ができるといいね」
「ありがとう。楽しみ」と、奥さんが云った。
 僕はビールを飲み干し、お勘定をしてもらった。僕は、酔っている間だけ、バイリンガルになる。英語上戸ってのがあるのか?
<記事 大阪せんべろ探検隊 紙本櫻士@コピーライター>
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しおや 寿司店 新梅田食道街
住所 大阪府大阪市北区角田町9−28
電話 06−6366−0246
交通 梅田駅からすぐ
営業 11時30分から23時
定休日 無休
千円とすこしでした。
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年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
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         かおりん@シャンボール ハラタク@じもてぃ ホソカネーゼ@らふぃね
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
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