不思議なせんべろもある。
寝屋川駅で降りて、ウロウロ歩いていると心ひかれる店を見つけた。せんべろには、勘とか匂いが大切なのだ。
空を見上げると月が出ていた。初夏の心地いい夜のことである。
狭い階段を上がると踊り場に『いっとう』と、殴り書きをした看板があった。そうそう、こんな店を探していたんだ。
年期の入った扉を開けると、燻製の香がした。
『いっとう』は、燻製バーなのである。
この香にはビールかな? とか思ったけど、麦ロックを頼む。
「初めて?」と、マスターがお皿に盛った突き出しを渡してくれた。
ずいぶん大盛りの突き出しである。枝豆を食べてみると、燻製にしてあった。初めて食べる味である。大人になって、初めて口にする食べ物に出会うと嬉しい。
「この店は、バルで見つけてん」と、隣に座っていた女の子が云った。寝屋川バルというイベントがあったらしい。細身のブラック・ジーンズに赤いコンバースをはいている。シンプルな半袖の白シャツを着ていた。
彼女はひとりでビールとジャーキーの燻製を食べていた。
「燻製した枝豆美味しいでしょう?」と、枝豆を口に運びながら彼女が云った。
「バルは友だちと?」
「そう、3人でまわってん。おもろかったで」
「占ってあげるよ」と彼女は突然云うと、カバンからタロットカードを出した。
え? と思ったけど、当然、やってもらう。だって楽しいじゃないか。
彼女は、酔っている。表情はしっかりしていたけど、かなり。
狭いカウンターにカードを散らすと「手でクルクル回して」と、彼女は云った。
僕はその通りにする。クルクルクルクル。
「ふーん」と、カードを並べながら彼女は云った。
なんだか不安である。僕は、ビールを注文した。
「なんにも動いてない」
カードをめくりながら彼女は云った。
「なんにもしてへんでしょう?」
言葉が突き刺さった。最近、ルーティーンワークをこなしているだけだなと、感じていたからだ。
「変化の必要性」と、彼女は手帳に書いてビリッと破いて、僕に渡してくれた。丸い優しい字だ。
マスターは、忙しそうに洗い物をしている。カップルがふたり店に入ってカウンターに座った。楽しそうにメニューを見ながら話しをしている。
「ありがとう」と云うと、彼女はカードをカバンにしまった。
「また会うと思うよ、きっと」と云い残して、彼女は料金を払いドアから出て行った。
帰り道、変化の必要性について、僕は頭から離れなかった。
変化の必要性かぁ。また、会うと思うよ、かぁ。きっとなのかぁ。
燻製Ber 一燈
住所 大阪府寝屋川市八坂町16−15 白鳳ビル2F
交通 京阪本線寝屋川駅から北へ徒歩2分
営業 19時〜
定休日 日曜日
「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
隊員 さなえ@婚活中
隊員 みーやん@ギタリスト
東京せんべろ隊長 西やん@上々颱風
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一
寝屋川駅で降りて、ウロウロ歩いていると心ひかれる店を見つけた。せんべろには、勘とか匂いが大切なのだ。
空を見上げると月が出ていた。初夏の心地いい夜のことである。
狭い階段を上がると踊り場に『いっとう』と、殴り書きをした看板があった。そうそう、こんな店を探していたんだ。
年期の入った扉を開けると、燻製の香がした。
『いっとう』は、燻製バーなのである。
この香にはビールかな? とか思ったけど、麦ロックを頼む。
「初めて?」と、マスターがお皿に盛った突き出しを渡してくれた。
ずいぶん大盛りの突き出しである。枝豆を食べてみると、燻製にしてあった。初めて食べる味である。大人になって、初めて口にする食べ物に出会うと嬉しい。
「この店は、バルで見つけてん」と、隣に座っていた女の子が云った。寝屋川バルというイベントがあったらしい。細身のブラック・ジーンズに赤いコンバースをはいている。シンプルな半袖の白シャツを着ていた。
彼女はひとりでビールとジャーキーの燻製を食べていた。
「燻製した枝豆美味しいでしょう?」と、枝豆を口に運びながら彼女が云った。
「バルは友だちと?」
「そう、3人でまわってん。おもろかったで」
「占ってあげるよ」と彼女は突然云うと、カバンからタロットカードを出した。
え? と思ったけど、当然、やってもらう。だって楽しいじゃないか。
彼女は、酔っている。表情はしっかりしていたけど、かなり。
狭いカウンターにカードを散らすと「手でクルクル回して」と、彼女は云った。
僕はその通りにする。クルクルクルクル。
「ふーん」と、カードを並べながら彼女は云った。
なんだか不安である。僕は、ビールを注文した。
「なんにも動いてない」
カードをめくりながら彼女は云った。
「なんにもしてへんでしょう?」
言葉が突き刺さった。最近、ルーティーンワークをこなしているだけだなと、感じていたからだ。
「変化の必要性」と、彼女は手帳に書いてビリッと破いて、僕に渡してくれた。丸い優しい字だ。
マスターは、忙しそうに洗い物をしている。カップルがふたり店に入ってカウンターに座った。楽しそうにメニューを見ながら話しをしている。
「ありがとう」と云うと、彼女はカードをカバンにしまった。
「また会うと思うよ、きっと」と云い残して、彼女は料金を払いドアから出て行った。
帰り道、変化の必要性について、僕は頭から離れなかった。
変化の必要性かぁ。また、会うと思うよ、かぁ。きっとなのかぁ。
燻製Ber 一燈
住所 大阪府寝屋川市八坂町16−15 白鳳ビル2F
交通 京阪本線寝屋川駅から北へ徒歩2分
営業 19時〜
定休日 日曜日
「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち
大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
隊員 さなえ@婚活中
隊員 みーやん@ギタリスト
東京せんべろ隊長 西やん@上々颱風
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命
※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一