浦和ネーネーズと。11739603_867480496677816_1705403444_n

「島ラッキョウの天ぷらがヤバイの。軽く塩もみしてるのか、塩漬けしてるのか、ほんのり塩味なの」と、カオリが云った。

 カオリと会うのは久しぶりだった。
 ハイランドマスターズという大学のサークルにいた時は、しょっちゅう遊んでたけど、卒業したら疎遠になった。みんなともね。
 ハイランドマスターズは、テニスをしたり旅行に行ったりする、他愛もないサークルだ。
 でも、ちゃんとみんなそこで青春してたんだ。おそろいのダサイスタジャン作ったりして。
 いいことも、もちろん嫌なこともあったけどね。

「ここの島ラッキョウって、騙されたような美味しさなんだよ」と、カオリが続けた。
「よく分からないな」と僕が云うと、
「わかんないから、騙されたようななの」と、カオリが云った。
 カオリは、宮古島で暮らしたことがある。突然、勤めていた会社を辞めて島に移住して、みんなを驚かせた。びっくりだよ。
 オンボロのユーノスロードスターに乗りながら、宮古島には、そう10年くらい暮らしていたんだ。島の建築会社で働いていたように思う。ここでもいろいろあったらしい。
 いいことも、もちろん嫌なことも。
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 看板娘のアヤちゃんが、ゴーヤ&ヤーコンの泡盛割と、オリオンビールを持ってきた。
「ちょっと苦いの」と、ひとくち泡盛を飲んでカオリが云った。
「そう云いながら、いつも注文するんですよ。きれっきれの苦いヤツ」
 アヤちゃんはそう云うと、伝票を手にした。
 僕たちは、アヤちゃんに珍味豆腐三種盛りと、ラフテー、ゴーヤチャンプルを注文する。
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 一度、宮古島から大きな貝が送られてきたことがあるんだ。
 中で金魚が飼えそうなくらいの貝だ。
「海岸で拾ったんだけど、大きいでしょう?」と、カオリの手紙が添えてあった。
 そして重い。すごく。いまでも、庭の片隅にある(野良猫の水飲み場になってる)。

「宮古島には、パートゥーンってやつがいるのよ」
 そう云うと、カオリはオリオンビールを注文した。11737085_867480960011103_1495212052_n
「動物?」
「島の精霊なの。島にはパートゥーンの気配を感じる場所があるんだよ」
「本当に?」
「本当に」
 オリオンビールをグラスに注ぎながら、カオリが云った。
 案外、真剣な顔である。
「庭の椅子でウトウトしてた時、目の前にパートゥーンが3人いたの」
「そりゃ、酔っ払ってたからじゃない」
「悪い! でも気がついたら、顔にドロがついてて、やっぱりって。ドロの精霊だからさ」
 えーっと、相当、酔っていたのだと思うよ。ドロくらいつくだろう。

 この店に来ると、カオリは落ち着くらしい。浦和でいちばん近い沖縄だからかもしれない。浦和せんべろ探検も続く。

<取材 かおりん@もつ命 記事 紙本櫻士@コピーライター>

※命薬(ぬちぐすい) 食べ物、美味しい料理のこと。長寿の薬。
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命薬(ぬちぐすい)
住所 埼玉県さいたま市浦和区高砂町6−2
電話 048−885−1251
交通 浦和駅から徒歩3分
営業 ランチ 月から金11時30分から14時(祝日を除く)
   月から木・日 17時から24時
   金・土・祝日前 17時から翌1時
定休日 無休
ひとり2千円ちょいくらいでした。
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「ええ体してるやん。せんべろ隊に入らへんか?」
年齢・経験不問。お酒が飲めなくても安心して活動できます。
日本全国で巡礼する隊員たち。

大阪せんべろ隊長 紙本櫻士@コピーライター
      隊員 さなえ@婚活中 みーやん@ギタリスト えま@野菜ソムリエ
         かおりん@シャンボール
東京せんべろ隊長 にしやん@上々颱風
      隊員 ひろみ@デザイナー
掛川せんべろ隊長 川人拓也@伝える人
会津せんべろ隊長 吉川@ジュニエコ100開催地だ!
浦和せんべろ隊長 かおりん@もつ命

※行け! って感じのせんべろモデルはmaiちゃんです。感謝!!!
撮影 田原慎一